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浅井章博

ブログについて

Born in Japanだが医者としてはMade in USA。日本とは異なるコンセプトで組み立てられた研修システムで医師となる。そんな中で、自分を成長させてくれた出会いについて一つ一つ綴っていく。

浅井章博

岐阜県産 味付けは名古屋。2003年名古屋大学医学部卒。卒業後すぐにボストンで基礎研究。NYベスイスラエル病院にて一般小児科の研修を始め、その後NYのコロンビア大学小児科に移り2010年小児科レジデント修了。シカゴのノースウェスタン大の小児消化器・肝臓移植科にて専門医修了。現在はシンシナティー小児病院で小児肝臓病をテーマにPhysician-Scientistとして臨床と研究を両立している。

★おすすめ

アメリカでは、出産してへその緒が切れた瞬間から、赤ん坊のケアは小児科の責任になります。産まれてすぐの処置は、産科のナースがします。出産病院には小児科医が常駐していて、出産時に子供に何かの異変がありそうだと予想された時は分娩室に駆けつけます。順調な出産の場合、ナースが全て処置をするので、分娩室で小児科に会うことはありません。

アメリカで出産のために産科病院に入院したら、最初に ”産まれてくる子供の小児科医は決めてありますか?” と聞かれます。何故かというと、順調に出産して子供が誕生した次の日の朝、小児科医が赤ん坊をチェックしに来ることになっていて、この時の小児科医を前もって指名できるからです。 もし決まっていなくても大丈夫です。 ”まだ決めていない”と答えると、その出産病院が提携している小児科医のグループの当番の小児科医が子供をチェックしに来ます。それで、その当番で来た小児科医が気に入ったら、退院後もその人のクリニックに通えばいいのです。

しかし、やはり前もって小児科を選んでおくのがおすすめです。 選ぶときの要素は
自分の保険を取るかどうか
クリニックの場所
医師グループのメンバーの数
週末も開いているか
入院させる時の病院

が参考になります。 スタッフ(医師)の数が多ければ、週末や休日も開いていることが多いです。ただし、グループの他の医師が当番していることが多いので、全く知らない人にかかることになる可能性が高いです。医師が少ないグループは、週末は電話対応だけになることが多いですが、そのかわり自分の主治医が当番している可能性が高いので、よく知った医師に電話相談できる可能性が高いです。

それから、それぞれの医師が、必要な時に患者を入院させ、そこで治療することができる病院も大切な要素です。 ”〇〇先生はXX病院のPrivilege(プレヴィレッジ)を持つ”といいます。大抵は、その医師のクリニックがある街の中核病院にPrivilegeを持っていることが多いです。Privilegeをもっていなくても、特定の大きなこども病院と、長年の患者の紹介歴があり、密接な関係を築いている場合も多いです。もし、前もって評判を聞いている大きなこども病院が意中にあって、何かあった時はそこに入院させてほしいと思っている場合は、主治医になってもらおうとしている医師(またはその医師が所属するクリニック)がその病院にPrivilegeをもっているか、もしくは、今までの入院ケースの履歴を前もって確認しておくことをお勧めします。

さらには、こどもが病気になり、専門医に紹介をしてもらわなければならない事態になった時に、その主治医がどこに紹介するかということもポイントです。小児科の専門医はそんなにたくさんいません。シカゴではNorthwestern大学系のChildren’s Memorial Hospitalか University of Chicagoの小児科専門医グループのふたつが有名です。そして、上記のような密接な関係のある病院に所属する専門医に紹介するのが普通です。

おおよそ、2-3の候補に絞れてきたら、クリニックに見学に行って実際に小児科医にインタビューすることができます。クリニックに電話して予約できます。会って話してみて、性格が合いそうかどうかも、大切なポイントです。神経質そうだけど、細かいところまでチェックしてくれる人。逆に大らかで細かいことは気にしない人。年寄りで、経験豊富だけど古いスタイルで診る人。若くて自分と同じぐらいの年齢層で、気心が通じそうな人。NYネイティブで英語の早い人。英語が第2言語の外国出身の人。いろいろいます。評判を聞いて行っても、あってみたらあまり信用できそうになかったので主治医を替えた、という話は日常茶飯事です。一度会っておくことはいいアイデアだと思います。

私が、自分の子供の小児科主治医を探した時、最初に診てもらった小児科医はあまり信頼できそうになかったのと、その人の医学部の同級生からあまり良い評価を聞かなかったので、すぐ替えました。その後あらためて探した時は、自分が小児科研修を受けた病院で同じように研修を修めた人に決めました。いわば兄弟子です。同じ小児科教育を受けているので治療方針などが同じであると思ったからです。あとは、家から近く徒歩でいけて、週末も開業していて、入院先が自分の働く病院だったので、すぐ決めました。あと、アジア系の女性で、アジア人の子育て文化を知っている可能性が高く、英語が母国語でない人との会話に慣れていそうだったのもポイントでした。

以上、小児科医が小児科医を選んだときのパターンでした。バイアスのかかった選び方ですが、何かの参考になればと思います。

4件のコメント

  1. 病気にかかる前に診て貰う医者を探しておくのは賢明ですね。日本ではそんな賢明な医者選びをする人は居ませんね。口コミで選ぶぐらいがいいところです。

  2. 小児科では特に病気になる前に健診で何度も会うことになるので、ゆっくり選ぶことができるのが利点です。産婦人科医も同じだと思います。コメントありがとうございます。

  3. へーそんな感じなんですね。なんか○○クリニックの先生は××大学出身だから××大学に紹介することが多いよねーとかそんな雰囲気に似ていますね。たとえば紹介する医者を患者が指定することもできるんですか?心臓外科で○○の分野では何先生がトップだし、あそこの先生に紹介してほしいとか。

    • もちろんできますよ。でも、普通は一旦主治医の最も良いと思う専門医のところに紹介されます。それで気に入らなかったら、セカンドオピニオンという形でもう一度別の専門医に紹介してもらうことができます。

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