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ブログについて

Born in Japanだが医者としてはMade in USA。日本とは異なるコンセプトで組み立てられた研修システムで医師となる。そんな中で、自分を成長させてくれた出会いについて一つ一つ綴っていく。

浅井 章博

岐阜県産 味付けは名古屋。2003年名古屋大学医学部卒。卒業後すぐにボストンで基礎研究。NYベスイスラエル病院にて一般小児科の研修を始め、その後NYのコロンビア大学小児科に移り2010年小児科レジデント修了。シカゴのノースウェスタン大の小児消化器・肝臓移植科にて専門医修了。現在はシンシナティー小児病院で小児肝臓病をテーマにPhysician-Scientistとして臨床と研究を両立している。

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2012/01/04

アメリカでのお産 (5) ~新生児の黄疸~

さて、無事に産まれて2-3日経った時、一番よくある医学的な心配事は新生児黄疸です。黄疸とは、顔や目が黄色くなることです。アジア人には特によく見られる現象で、血液の中にビリルビンという物質が増えることで起こります。胎児の時に使っていた赤血球が出生後不要になり、それが壊れていく過程でビリルビンが発生します。血中のビリルビンが多ければ、黄疸もより広範に、肌もより黄色くなります。

黄疸そのものには健康に何の影響もありませんが、血中のビリルビンの濃度があまりに高すぎると脳の神経細胞に悪影響が出るので、ビリルビンの濃度が高くなりすぎないようにコントロールします。大体の目安としては、ビリルビンの値が生後24時間後で10mg/dL、48時間後で15mg/dL、そして生後4日で20mg/dLより低い値にあれば安全です。未熟児や、その他の出生時の条件によってこの値は変わるので一概には言えませんが、予定日に産まれた健康な赤ん坊の場合だとこうなります。

生まれてから、赤ん坊と母親は2-3日間病院に滞在します。その間に、赤ん坊のビリルビンの値を一度は測ります。見た目で、全然黄疸が出ていない場合は測らないこともあります。我が子が産まれたシカゴの病院、”Prentice”では血液検査ではなくて、皮膚に光を当ててそこから血中ビリルビン量を推定する機械で、”ピッ”と無痛でやっていました。日本でもこの機械はよく使われています。アメリカでは皮膚の色が多様なので普及が遅れていたのですが(推測です)、最近では実用化されているみたいです。赤ん坊から採血して血液検査するのは親としても医師としてもできるだけ避けたいですよね。でも、アメリカの一般的な病院では採血による検査が主流です。

それで、その検査の値が上記の上限を超えていた場合は、光線療法を始めます。この治療法、要は日焼けサロンと同じような原理です。その昔、太陽光線に当てた赤ん坊の黄疸がよく消えるということを発見した看護師さんがいて、それ以来研究されて実用化された治療法です。太陽光線の中の青色の成分が皮膚のビリルビンを分解して無毒化するのです。赤ん坊は保育器の中で裸にされて、この光線に当たります。半日か、1日治療したあと、ビリルビンを測って安全なレベルまで下がっていることを確認したら治療終了です。ビリルビンのレベルが継続して高い時は1-2日治療することもあります。

ビリルビンが上がらないようにするコツは、出生初日からたくさんミルクを飲んで、たくさんウンチをすることです。ビリルビンはウンチに混ざって排出されるからです。といっても、どんなにウンチをしてもビリルビンが上がってしまうこともあるので、こればかりは防ぎようがないかもしれません。

ビリルビンの値が微妙なレベルの場合は、一旦退院して翌日小児科のクリニックで再検査してビリルビンの値が安全なレベルにあるかどうかを確認することもあります。

このような、産まれて1週間以内の黄疸はごく一般的です。なかには1週間を過ぎても黄疸が続く場合があります。ビリルビンのレベルは危険レベルよりは低いのですが、顔や目がうっすら黄色いことがあります。その場合は母乳による黄疸が一般的です。これは、健康には全く害のない黄疸なので放置しておけばそのうち消えます。母乳に含まれる成分がビリルビンの処理に影響を与えるために起こります。

しかしながら、なかには稀な肝臓の病気が関係している場合があるので注意が必要です。2週間を過ぎてもまだ黄疸が残っている場合は、かかりつけの小児科のクリニックに連絡して予約を取り、受診することをお勧めします。

 

9件のコメント

  1. アサカワ より:

    なるほど。出産直後から産科ではなくて浅井さんたち小児科医の出番なのですね。小児科というと赤ちゃんを扱っている印象がなかったので新鮮でした。

  2. とんとん より:

    はじめまして^^
    黄疸を検索していて、こちらに辿り着きました。

    実は妹が7/23にサンフランシスコで出産し、予定日より10日程早かったものの
    3460gの元気な男の子を産みました。
    母子ともに健康なので48時間で退院しましたが、退院後の新生児検診で黄疸と体重減がひどく
    再入院しました。
    今は退院して母乳もよく飲み体重も増えましたが、黄疸が消えてないのか顔が薄茶色のままです。

    妹の旦那さんは白人で、妹も日本人にしては色白の方です。
    今は母がサンフランシスコに行き、世話をしていますがやはり茶色いと言いますし
    私もスカイプで見ると、そう思いました。
    ただ、手は真っ白なんです。

    妹もとても気にしていて、私は自分の息子の黄疸が出た時と比べましたが
    やはり長引いていると感じます。
    サンフランシスコの病院は、とても有名な小児病棟がある所ですし
    信用していない訳ではないんですが、やはり異国なので心配です。
    アドバイスをいただけると嬉しいです。

    因に私は先生と同じく東海地区、名古屋市在住です^^

    • 浅井 章博 より:

      はじめまして、コメントありがとうございます。
      実際に患者さんを診ないで具体的な個別のアドバイスをすることは許されていないので、一般論として返信します。2週間過ぎても黄疸が続くようなときは、かかりつけ医に相談するのが良いと思われます。かかりつけ医が判断して、血液検査をするのが一般的です。血液検査で直接ビリルビンが正常値なら、どんなに黄疸が出ていようと問題ありません。日本人と白人の子供なら、稀な先天性疾患の確率も天文学的に低いでしょうからよっぽどのことがない限り特にその他の検査は必要ないと思います。母乳で育てていると黄疸がいつまでも続くことがありますが、それは正常なことなので、ビリルビンの検査さえ正常値なら問題無いです。 

  3. とんとん より:

    こんばんは。

    お話を有難うございました。
    また、コメント欄なのに質問事項を投稿してしまい申し訳ありません。

    妹がお世話になっているドクターは、様子見のようなので
    私ももう一度妹に話してみます。

  4. そりた より:

    僕の息子も三か月ほど黄疸が続きました…

  5. かば より:

    新生児のビリルビンのデータについて教えていただければと思います。
    生後10日目頃に眼球の黄染に気づき、生後12日目に家庭医の病院で採血をしました。生後の経過はその他問題ありません。
    採血当日に看護師さんから電話連絡があり「値は11、正常範囲です」と電話で告げられました。新生児の正常範囲は成人とは異なると思いますが、それでも11と聞くと高く感じますが安心してよいものでしょうか。単位は告げられませんでしたがたぶんmg/dlであろうと思います。お時間がありましたらご教授くだされば幸いです。

    • reviewer2 より:

      それぞれの子供の状況により正常値が異なりますので、質問にそのままお答えすることはできませんが、一般的に、正常分娩で正常妊娠で産まれた子供の場合、日本人であれば生後12日目で11mg/dlでも正常値でありえます。総ビリルビンなのか、間接ビリルビンなのかにもよりますが、看護師さんから正常であると言われているのであれば、ひとまずは安心していいと思います。あくまで一般論として受け取っていただければ、幸いです。

  6. 小梅 より:

    はじめまして こちらny在住愛知県出身の父親になったばかりの者です。出産後ヒリルビンの検査、再検査 再再検査で どの様なものかと思い 調べていましたところ 先生のブログを拝見してさせてもらいました。娘(full term/2.9kg)の検査の結果は 45h-10.7 mg/dl 82h-16.1mg/dl. 106h 17.6mg/dl でした。先生の目安に照らし合わせると大丈夫そうですが 病院には4度目 4日連続の血液検査に来るよう言われました。母子の身体が心配になってしまいます。2〜3日間を空けたいと思っているのですが ご意見いただければと思っております。ちなみに娘の肌わすこし黄色がかっている程度、授乳、排便はしっかり 元気です。今後も色々 先生のブログを通じ勉強させてもらいます。

    • 浅井 章博 より:

      コメントありがとうございます。娘さんの出産直後の病院通いはストレスがかかりますよね。お疲れ様です。 ネット上での個人的な医療相談は、法律的にも禁止されていますので、一般論として、お答えします。
      排便、排尿がしっかりしていれば、ビリルビンのレベルは下がるはずですが、じわじわと上がってきているところを見ると、少し心配かなと思います。大変だとは思いますが、ビリルビンが上がりすぎて後遺症が出るような可能性を考えると、ここはリスクをとるところではないのではないかと思います。これが、手術などの大きなオペレーションの場合はリスク・ベネフィットをもう少し考えますが、小児科へ通院して少しだけ採血することだと考えると、安全策を取ってほしいなと思います。 

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