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宮田真

ブログについて

このブログの使い方を模索中です。どんなことを書こうかな。

宮田真

日本の外科研修と沖縄米海軍病院インターンを経て、ミシガン州の市中病院で1年目、メリーランド大学病院で2年目外科レジデント。今年は4年目。ここから2年はチーフレジデントです。

ご質問も受けましたので、自分の知識の整理も兼ねてアメリカの小児外科フェローシップについて少しまとめます。

ここで話すのは、accredited pediatric surgery fellowshipについてです。Accreditedなフェローシップを終えると小児外科医としての専門医試験を受ける資格が得られ、これに合格するとアメリカで小児外科医として独立できます。Non-accreditedのものには、小児集中治療、外傷、血管異常、胎児手術などに特化したフェローシップがあり、大体が一年のプログラムです。素晴らしい知識と技術を身につけられるかもしれませんが、これを終えても小児外科医としてアメリカで独立することはできません(集中治療のフェローシップはcritical careの専門医試験は受けられます)。Non-accreditedのポジションでも、accreditedに入れなかった人たちによって埋まることが多いので、外国人が入る隙間は狭いですが、中にはUniversity of Cincinnatiのようにinternational fellowという枠を設け外国人を受け入れているところもあります。

さてaccredited positionですが、今年で言うと45個のプログラムが全米+カナダであります。以前は20個くらいしかなかったことを考えるとポジションは広がったといえます。「今年で言うと」というのは、プログラムによっては2年に一人しかフェローを採らないため、プログラムの数が年によって変動するからです。Boston Children’s HospitalやChildren’s Hospital of Philadelphia(CHOP)といった大きなプログラムでは1年に二人採る年もありますが、それ以外は一つのプログラムにつきポジションは一つです。

小児外科に限らず、移植外科、血管外科、形成外科など2年間のフェローシップの応募は、一般外科レジデント4年目の時になります(内視鏡外科など一年のフェローシップの応募は5年目)。全米・カナダで、どうしても小児外科をやりたいというレジデントたちが、4年目に一斉に応募します。他との差別化を図るため、最低1年~2年の研究をしていることが半ば必須のような風潮があります。「小児外科に応募している」と人に言ったときに一番良く受ける質問は、「良い推薦状を持ってるのか」でも「ABSITEの点数は良いのか」でもなく「どんな研究をしたんだ」なのです。

毎年、ポジションの数の約2倍の応募者がいるので、マッチ率は約50%です。あまり悪くない数字のようにも思えますが、上のように外科レジデントの中でエリート集団が受けることを考えると、厳しいことに変わりはありません。

ちなみに僕(研究を一年もやっていない)は、全45プログラムに応募し、10カ所から面接のオファーを受けました。同じメリーランド大学の同期のジェニファー(2年の研究歴あり)は11カ所だったので、今年から各プログラムが面接人数を絞っていることから考えても、まずまず健闘した方かと思っていました。ところが、いざ面接が始まってみると、ほとんどの人が20カ所以上、中には30カ所からのオファーを受けていることが分かり、焦りを覚えました。まぁどれだけ面接を受けても行けるのは一カ所なわけで、僕は与えられた10カ所で頑張る他はありません。

肝心なフェローシップの研修内容ですが、ここまでプログラムの数を絞っているだけあって、どのプログラムに行ってもこれでもかという程の症例を経験できます。レジデンシー以上に、忙しく厳しい2年間になりますが、一人前の小児外科医を育てるために、時に鉄拳パンチを含む?徹底したトレーニングが受けられます。卒業するための総手術症例数は2年間合わせて800例ということになっていますが、どのプログラムを見ても1000例を超えているところがほとんどの印象を受けます。

45個のどのプログラムに行ってもハズレというものはありませんが、やはりそれぞれに個性はあります。同じ1000手術症例にしても、難しい腫瘍や胎児手術、複雑な手術が多いところもあれば、ヘルニアやアッペなどのbread & butterに偏りがあるところもあります。その他、外傷が多い・少ない、ECMOが多い・少ないなどです。

先にも書いたように、このaccreditedのポジションを得られなかった場合、non-accreditedの集中治療、血管異常、内視鏡、外傷といったポジションを見つけ、次年度に再チャレンジする人もいれば、スパッと諦めて別のことを目指す人もいます。一般外科医にはなれているわけで、それを生かす道はいくらでもあります。本人がそう思わなければ敗北でも挫折でもないでしょう。

以上が簡単にアメリカの小児外科フェローシップの応募とその内容です。日本で小児外科を経験しなかった僕は、日本の小児外科がどのようなトレーニングをしているのかにもとても興味があります。もし医学生・レジデントが小児外科をやりたいと思った時、どういう道があるのでしょうか?医学生からいきなり小児外科のレジデントになれたりするような仕組みがあるのでしょうか?その場合大人の症例は?いきなり小児外科レジデントになることのメリット・デメリットは?

ご存知の方はどうぞ教えてください。

3件のコメント

  1. 真先生、ご無沙汰してます!いいニュースが聞けることを楽しみにしています。日本のトレーニングの現状、どうなんでしょうね?沖縄中部病院の初期研修に小児外科プログラムは存在しませんでした。初期研修制度がそもそも内科・外科・小児科など基礎的な科を回ることを主眼にしていますので、卒業してすぐに小児外科レジデント、というわけにはいかないと思います。初期研修医として二年間終わった後、一般外科の後期研修に進み、その後小児外科に進んだ先生は知っています。初期研修の直後に大学の小児外科医局に入局することもできると思いますが、それが小児外科のトレーニングの開始にあたると言えるかどうか、ちょっと分かりません。関連病院の一般外科で数年修行するのかもしれないですしね…できれば本物の小児外科の先生がコメントしてくれるのを期待します:)

    • 反田先生

      コメントありがとうございます。
      小児外科のフェローシップのためのインタビューを受けている間、日本の小児外科のトレーニングについて聞かれることが何度かあり、現状を知りたいと思いました。以前自分のブログにも友人の小児外科医の先生が答えてくれたのですが、やはり症例数には苦労されている印象を受けました。

  2.  お元気にされていますか?お忙しいとは思いますが少しお聞きしたいことがあってメールさせていただきました。最近、私の母方の祖母が頸椎に激痛を感じているようで起き上がったりすることができないみたいです。かかりつけ医に診てもらったところ治すのができないとのことです。松山の病院で頸椎専門の頼れる医師がいましたら教えていただきたいのですがよろしくお願いします。

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