先日FBI捜査官が私の大学にいらしてくださり、児童精神科フェローのために児童買春についての講義をしてくださいました。
“ My job is to get the girls off the street and put the pimps in the jail where they belong to” – 私の仕事は少女たちをストリートから救い出して、pimps (売春斡旋者)を牢屋に入れることだ。-最前線で300件以上の児童買春のケースと闘ってきた捜査官のお話は心に響くものがありました。
売春婦、というと偏見がありますが、売春にかかわる児童はもちろんすべての女性がvictim-被害者-であるとFBI捜査官は断言していました。
現在アメリカの児童買春の85-95%がpimp(売春斡旋者)にコントロールされていて、児童が初めて買春被害にあう平均年齢が13歳だそうです。その多くが表面上は普通の中高生生活を送る少女たちで、親とけんかして家出をしたり、学校をさぼってショッピングモールにいるところを、pimpに声をかけられるのだそうです。そして近年圧倒的に多いのがMy SpaceやFacebookなどのソーシャルネットワーキングサイトを通してpimpがいつでも、どこでも、簡単に少女達に近づくケースだそうです。
アメリカで児童買春の被害にあう少女達は、白人、黒人、ヒスパニック、アジア系などいろいろな人種で、住居環境も都市の貧困地域から郊外の裕福な家庭まで様々ですが、彼女たちに共通していることは心に空虚感を抱えていることだそうです。85%以上が幼児期や過去に性的虐待を受けたことのある少女たちであることも特徴です。Pimp達は家庭や学校で問題を抱えている児童や自尊心が欠けている少女達を見つけることに大変長けており、彼女たちの心の隙間に付け込んで夢のような生活を期待させ、住居、食事、そして何より彼女たちが一番欲しているもの、つまり優しさ、愛情、そして“誰かから必要とされている感覚”を(偽りですが)与えます。被害にあう少女達の多くがpimpに恋愛感情を抱いて精神的に依存していまい、pimpを喜ばせるために売春行為に及んでしまうようです。
FBIのデータによると、売春する少女たちの80%以上がレイプや虐待を受けていて、売春行為に及んでからの平均余命は7年間だそうです。栄養失調、性的感染症、薬物依存、自殺などが原因のようですが、この数字には我々フェロー達も愕然としてしまいました。
しかしさらにショックなことは、FBIと警察がやっとの思いで救出してもpimpをかばって捜査に協力せず、保護されても救助施設から逃げ出してpimpのもとに戻ってしまう少女たちが半数以上いるということでした。一度更生して大学進学まで果たしたのに、また売春を始めてしまったというティーンもいたようです。
元凶であった心の空虚感が回復しない限り、警察に保護されても一般の生活に戻るのは大変困難で、売春で様々なトラウマを経験した後ならなおさらのことだと思います。日本でも出会い系サイトや援助交際などの問題がありますが、その根底にはアメリカのティーンと同様に「誰からも必要とされていないのではないか」という心の空虚感があるような気がします。
児童買春の被害にあってpimpに精神的に依存してしまった少女たちに精神科を受診して
売春を始めてから平均余命7年とは衝撃的ですね。自分の目でこれらデータを吟味してみたいと思うのですが、論文やFBIウェブなどで参照することは可能でしょうか?
探してみたのですが残念ながらまだみつけることができておりません。
もし講義の際に出典を聞かれていましたらご紹介いただけませんでしょうか。
服部様
コメントありがとうございました。我々も衝撃を受けて7年というデータはどのようにして得たものなのか尋ねましたが、「FBIタスクフォースの調査結果より」ということでした。