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小林美和子

ブログについて

小林美和子

世界何処でも通じる感染症科医という夢を掲げて、日本での研修終了後、アメリカでの留学生活を開始。ニューヨークでの内科研修、チーフレジデントを経て、米国疾病予防センター(CDC)の近接するアメリカ南部の都市で感染症科フェローシップを行う。その後WHOカンボジアオフィス勤務を経て再度アトランタに舞い戻り、2014年7月より米国CDCにてEISオフィサーとしての勤務を開始。

2012/02/22

Mardi Gras

ここのところ、病院のカフェテリアの職員が緑、黄色、紫の色の服を着て、首からはビーズのネックレスをかけているのをみかけるようになりました。また、町中のスーパーでも緑、黄色、紫の派手な色で飾られた巨大なKing Cakeなる物が売られるようになっていたので調べてみたところ、これはMardi Gras(マルディグラ)のお祝いのためであったようです。キリスト教では、今月22日の灰の水曜日から、キリストの復活を祝うイースターまでの期間、Lent(四旬節)といって、伝統的に食事の節制と祝宴の自粛が行われています。アメリカ人のキリスト教の同僚の中には、「Lentの期間中、外食は謹んでその分たまったお金を寄付する」「甘い物を控える(とLentに便乗してダイエット)」など、様々な誓いを立てている人たちもいます。こういった自粛モードに入る前に一騒ぎしよう、というのが特に南米で有名なカーニバルであり、Mardi Grasであるわけです。Mardi Grasとは「太った火曜日」の意味で、四旬節の始まる灰の水曜日の前日にあたります。特にニューオーリンズで行われるニューオーリンズ マルディグラが有名のようです。

アメリカでの生活は今年で早くも6年目に入ったにも関わらず、これまで気付かなかったことが少々恥ずかしかったのですが、逆になぜだか考えてみました。それだけこれまで街中の風景に目を向ける余裕がなかった、とも思えないのですが、一番の理由はニューヨーク時代はユダヤ教系の病院に勤めていた事、そして現在はキリスト教の保守派が多いとされる、いわゆるBible Beltにあたるアメリカ南部におり、さらに地理的にもニューオーリンズに近いことではないかと思っています。

前置きが長くなりましたが、アメリカもマンハッタン、そしてアメリカ南部と地理的、文化的に異なる地域に勤めてみた事で、はじめて見えて来たことがあります。今後感染症診療というフィルターを通して具体的な例をご紹介してゆきたいと思うのですが、はじめに「貧しさ」を挙げたいと思います。私の外来が特に貧困者が多い外来であるためのバイアスもあると思うのですが、実際に2010年の米国の国勢調査のデータをもとにした地図をみても、貧困者の割合が高い地域がアメリカ南部に偏っているのがよくわかると思います。http://www.census.gov/did/www/saipe/data/maps/index.html?reload
この「貧しさ」は、住人に限らず、州、ひいては州の保健制度や助成にも違いとして感じられるのです(続く)。

4件のコメント

  1. そういえば、今日は水曜日で、額に黒い十字を書いてもらった人がスタッフにもたくさんいました。僕は十字パンが楽しみだったのですが、外来が長引いてお昼時のカフェテリアに行けず、逃しました。シカゴでは”Mardi Gras”はやってないようです。広いアメリカ、いろいろ違いますね。

    • コメントありがとうございます。そうですね、日本国内であっても地域差はあるので、さらに広大なアメリカで違いがみられるのは当然なのかもしれません。逆に、アメリカの一部だけを経験してそれがアメリカのすべてを代表しているかのように思ってはいけないんだな、とも痛感する日々。とくに、マンハッタンはアメリカの中でもかなり特殊な場所ですね。

  2. 場所によって患者層が違うことは感じますね。サウスキャロライナはヒスパニックがほとんどいなく、黒人の割合がとても多いです。ところが先日New Mexico州から講演にきた先生の話を聞いていたら向こうでは黒人はほとんどいなくヒスパニックとnative americanが多いことに驚きました。文化、人種が違うと疾患も全然違ってきますね。南部は貧困層が多いのはなんとなく同感です。先日、患者さんに野菜をたくさん食べるよう話したら、トマトなんか食べたいけど買えないと言っていたのが印象的でした。

    • 三枝先生、
      コメントありがとうございます。診察する感染症疾患にも地域差を感じますね。今後少しずつ書いてゆきたいと思いますが、アトランタに来た当初、北東部ではよく見かけたLyme Diseaseを鑑別にあげたら笑われました。まず診ないのだとか。それよりもこちらでtickborne diseaseといったらEhrlichiosisのようです。あと、以前にニューメキシコ州で働いていた知人が、市中肺炎の起炎菌の鑑別にcoccidioidomycosisが挙る、といっていたのも地域差のいい例だと思いました。
      それにしても、新鮮な野菜など、健康にいいとされている野菜程高い、というのは残念なことですよね。NYに住んでいたときもよく話題になっていました。正確なデータは忘れてしまいましたが、アメリカでは貧困者層に肥満が多い、というデータが確かあったように思いますが、驚きではありません。手軽で安価なファーストフードはあちこちで見かけますし、限られた収入で空腹を満たすために、生野菜を買って自分で調理するよりも、高カロリーで満腹感があり、調理済みのファーストフードに手を出す心理もわからなくはありません。

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