米国の薬局で処方箋なしに買える、いわゆるOTC(over the counter) medicineを紹介するこの”くすりを買いにいこう”シリーズ。
今回は、熱さましのお薬について。アメリカの薬局で買える小児用の熱さましはずばり、ふたつだけです。
1)タイレノール; Tylenol(一般名;Acetaminophen)
2) モートリン;Motrin (一般名;Ibuprofen)
モートリンは乳幼児に腎障害を起こす危険性が少ないながらもあるため、生後6ヶ月以降の乳幼児に使用が限られています。つまり、6ヶ月未満の乳児が使用できる薬はタイレノールだけです。子供用ですので両方とも液体タイプの薬があり、タイレノールの場合はさらに濃縮され、スポイトであげる(投与量が1ml以下)タイプが乳児用にあります。そして、投与間隔はタイレノールは最低4時間、モートリンは最低6時間あけなければいけません。もし、6ヶ月以降のお子さんで熱が続く場合、タイレノールを飲んで、その後モートリンを1−2時間後に飲んでも大丈夫です。だだし、それぞれの投与間隔は守って下さい。大きな学童児用には錠剤タイプもあります。
通常、タイレノール、モートリンはそれぞれ、アセトアミノフェン、イブプロフェンの単一成分のみですが、”Tylenol Cough & Cold” や”Motrin Cold”と商品名がなっている場合は、主成分以外に咳止めの成分などが入っています。基本的にこういった咳止め成分は風邪に効きません。さらに、2歳以下の小さな子どもには、心臓呼吸器系に重篤な副作用を起こす危険性があるのであげないようにしましょう。
以前、日本に帰国したときに当時1歳だった娘が発熱し、市販の熱さましを購入してその内容成分表示をみて驚いたのは、解熱成分であるアセトアミノフェン含有量が米国のそれよりとても少なく、替わりに咳止め成分など他成分数種類が入っていたことでした。これでは熱は下がらないし、副作用のほうがこわいなとふと思ったものです。
タイレノールは非常に便利な薬ですが、副作用として肝障害があります。記載された用量を守って服用すれば、全く問題はありませんが、例えば十代の若者が自殺未遂などで大量服用すると最悪の場合肝不全に陥る可能性もあります。
モートリンは腎障害のほかに、胃があれる副作用がありますので、飲むのなら食事をとった後が良いでしょう。