医療界に限らず、長年日本労働社会を支配している絶対的な肯定論に加え、長時間の勉強により大学受験の最高峰である医学部医学科合格を勝ち取った個人の成功体験により、私たち日本人医師には、もはや信仰に近い長時間労働に対する強い肯定感があります。つまり、病院で長く働くことが優秀な医師とされる医療界の常識。私は、この長時間労働に対する考え方こそが日本の男性医師が育児、家事に参加できない原因の一つだと思います。人間ですから、自分の成功体験に基づく考えを変えることは容易なことではないです。しかし、あえて私は長時間労働が絶対的な肯定評価であることに疑問を提示します。一方で、医師の長時間労働は男性医師が、家事育児に参加できる、できないのレベルの話ではなく、厚生労働省が推進する、過労死、離職を防ぎ、医療安全性を確保するための医師の働き方改革として論じるべきだとの意見もおありでしょう。2024年4月から段階的に施行される時間外労働の上限規制の適用は、管理職にいらっしゃる先生方にとっては、頭の痛い話題かと思いますが、医師長時間労働を劇的に改善するために私は賛成です。強い外的要因がない限り、この問題には大きな変化は起こらないと思うからです。
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