ポリオワクチン Polio Vaccine
ポリオウイルスは主に脊髄に感染するウイルスです。感染しても約95%は無症状ですが、約1%の確率で脊髄に炎症を起こし、弛緩性麻痺(小児まひ)を生じるのが特徴です。WHOによる世界ポリオ根絶計画が提唱されて以降、ポリオ症例数および流行地域は着実に減少し、日本では1980年から30年以上、野生のポリオウイルスによる小児まひの患者は出ていません。
米国と日本のポリオ予防接種の大きな違いは使用するワクチンです。日本では経口生ワクチン(OPV:oral polio vaccine)、米国では不活化ワクチン(IPV:inactivated polio vaccine)を使っています。歴史的にポリオ根絶の基本戦略は安価で接種が容易な経口生ポリオワクチンの集団接種によって、野生株ポリオウイルスの感染を遮断することであったので、生ワクチンが使われてきました。しかし、経口生ワクチンはワクチン由来ポリオウイルス(VDPV:Vaccine derived poliovirus)に接種した本人や周囲の人が感染し、小児麻痺を引き起こす危険性があるという大きな欠点があります。日本でも数は少ないですがワクチン接種後の麻痺(VAPP:vaccine associated paralytic poliomyelitis)が報告されています。そこで米国では1990年代から不活化ワクチンへの切り替えを行い、完全に切り替えが終了した2000年以降、VAPPは報告されていません。日本では他の先進国に遅れること数十年、2012年度にやっと不活化ワクチンが承認される予定です。
米国での不活化ワクチン(筋肉注射)の標準的な接種時期は生後2か月、4か月、6か月~1歳半、4~6歳の計4回。米国では経口生ワクチンは使用していません。仮に、日本で経口生ワクチンの接種歴があれば、その回数は考慮され、足りない分が不活化ワクチンで追加されます。
その他、詳細はこちらのリンク先を参照してください。アメリカの感染症とワクチンの公的機関であるCDCのサイトが公表している日本語の案内です。
http://www.immunize.org/vis/jp_pol00.pdf