近年のマラソンブームとともに、私の周囲でもハーフマラソンやフルマラソンに参加する友人が増えてきました。私自身は10分も続けて走ることができないので、フルマラソンを完走したと聞くと、ただそれだけでその人を尊敬してしまいます。
さて、11月の初めに大規模なニューヨークマラソンが催されました。たまたま私の病院のERの先生が医療ボランティアスタッフを募集しており、私も日曜日にお休みが取れたこともあって、今年初めて参加させていただくことになりました。
ニューヨークマラソンはランナー5万人、そのうち半分がアメリカ国外からの参加者たちです。それを支えるボランティアも1万2千人と大勢参加しています。スタートラインからゴールラインまでいくつもの救護所が建てられ、私はセントラルパーク内のゴール付近の巨大なテントに配属されました。朝9時、数百人のボランティアが一つのテントに集まり、医師(アテンディング、レジデント、足病科)、看護師、マッサージ師、学生、各国の通訳者など、それぞれの役割のゼッケンが配られ、ミーティングと物品の準備が始まりました。さて、お昼過ぎからぼちぼちと完走した選手がやって来るようになりました。最初は患者さんがやって来るたびに大拍手で迎えていましたが、あっという間に10秒に1人ほど運ばれてくるようになり大忙しとなりました。昏睡状態、超低体温などの患者さんはカーテンを隔てた別区域のICUに運ばれていきましたので、私は主に軽―中等症の患者さんを診て行きました。予想通り、半分以上が筋肉の痛み、足の血豆、怪我など整形外科的疾患で、残りは発汗による脱水、低体温、めまいなどの患者さんでした。マラソン中に塩分を十分に摂らず水分ばかり摂取したことによる低ナトリウム血症がマラソン後の疾患としては非常に多いとされています。腎臓内科医としてはどの程度ナトリウム値が低くなっているのかとても興味がありましたが、軽―中等症ベッドでは基本的に採血はせず、少しでも低ナトリウムが疑われる患者さんにはまず塩を内服してもらって様子を見ました。選手たちに出身地を聞くと、米国以外、フランス、ベルギー、イタリア、南アフリカなど様々でした。もちろん、日本人の患者さんも何人かいらっしゃいました。普段病院ですれ違ってもあまり愛想の良くないERレジデントが物凄い形相でやってきて、突然私の腕をつかみ、「あなた日本語しゃべれるんじゃない?ちょっと助けてよ。」と言って日本人の患者さんのところに連れて行かれた時は驚きました。日本からランナーとしてやってきて、英語は話せないけれど予想外に救護が必要になった時、不安感でいっぱいだろうなと思いましたので、日本語で診察することで少しでも貢献できた事をうれしく思いました。
1日がかりのボランティア、体力も使ってなかなか大変でしたが、とてもやりがいのあるものでした。アメリカにはボランティアの機会が多くあり、また次の機会にも参加できたらいいなと思いました。
NYマラソンのボランテイアご苦労様でした。息子が2度目の参加を終え無事帰りましたし、(彼は血豆がいつもの如くできたそうです)日本の甥の友達も参加していましたので、もしかしたらお世話になったかもしれないと、親しみが沸きメールした次第です。子供達がフルマラソンをやるときは時々応援に行きますが、お医者さんのボランテイア無しでは出来ないエベントなので本当に感謝しております。これからも頑張ってください。そしてマラソンは達成感を感じさせる良いスポーツですからいつかチャンスが合ったら挑戦してみてください。
節子さん
コメントありがとうございます。
そうですね、フルマラソンとまでいかなくとも少し走ることにも挑戦してみたいですね。
1月24日のテレビjapanにBeth Israelで腎臓の研修医として出演されてるのを見て
とても私にとっては身に迫る「女神様の様な先生」に見えます。
マラソンにも日本のお医者さんが参加してくれ、東北の震災時にはアメリカからも
医師が被災者の救急医療に参加してくれ…お医者さんはすごく影響力のある存在です。
アメリカの医療現場の良い処を是非見つけて患者さんに明るさを届けて頂ける様にと
祈っています。
のっしーさん、低Na血症の話、勉強になります。
日本では最近、”ソルティ~~”という飲料が夏場にはやっています。
お互いに頑張りましょう!
きのこさん
コメントありがとうございます。
ソルティ~、飲んでみたいですね!!