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Dr.Yumi

ブログについて

研修を終えてスタッフとして働き出してからは、アメリカ医療の現実をさらに実感するようになりました。よいところも悪いところもあるアメリカの医療の日常に、循環器のホットなトピックを交えて発信していきたいと思います。

Dr.Yumi

名古屋大学医学部卒業後、1年間のスーパーローテ研修を経て、アメリカにて臨床研修開始。内科レジデンシー、循環器フェローシップ、循環器インターベンションフェローシップを終え、現在ニューヨークのMount Sinai Beth Israelにてスタッフとして働き6年目。専門は循環器、特に心臓カテーテル治療。2人の娘の子育てと仕事に奮闘中。

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妊娠中には控えるべきと言われる食べ物、飲み物が意外とあります。アルコールはその代表だと思いますが、アメリカでは「妊婦は寿司を食べてはいけない」と言われたり、その他にもいろいろとあってなかなか大変です。

毎日コーヒーで朝を始める私にとって最初どうしても慣れなかったのは、カフェインの制限でした。カフェインが実際に胎児にどれくらいの影響があるのかに関してはまだ議論の余地があるところのようですが、高容量(データによると1日300mg以上)のカフェインの摂取は流産の原因になるようです。現在のところ、適度な摂取ならば問題ないと考えられていて、1日100-150mg以下にするようにとの意見をよく見かけます。

参考までに、スターバックスのTallサイズのコーヒーには260mgのカフェインが含まれています。カフェインはコーヒー以外にもいろいろな飲料に入っており、緑茶や紅茶一杯には40-50mg含まれています。私は当初、コーヒーは飲んではいけないと思い紅茶を注文して、大きなポットに入った紅茶を飲んでいたのでのんきなものです。結局妊娠中は、少しのカフェインで動悸がするようになり、自然と飲めなくなりましたが、それでも朝には欠かさずデカフェコーヒー(カフェインレス)を少しだけ飲んでいました。

普段の食事で考えなくてはならないのが魚です。体にはよい魚ですが、種類によっては高濃度の水銀が含まれています。妊娠中の高濃度の水銀の接種は胎児の神経障害や発達障害と関連づけられているため、FDA(米国食品医薬品局)は妊婦には魚の摂取量を制限するようにという勧告を出しています。魚を水銀量によってわけ、最も高いもの(サメ、サワラ、メカジキ、アマダイ)は食べないように、高いものは月に3回まで、低いものは週に2回までを奨励しています。よく食べる魚ではまぐろは種類によっては水銀量が高いグループに入っているので要注意です。お寿司は水銀量だけでなく、生ものなのでやめるようにと言われますが、寿司好きのニューヨーカーからは「日本ではどうしているんだ?」とよく聞かれます。私も日本のアンケートで「つわりのある時に食べれるものは何ですか?1位寿司」というのを見た事があります。日本では特に寿司を制限していないようですが、これはやはり、日本の衛生環境への絶対の信頼感から来ているのでしょうか。アメリカでも信頼できるレストランで少量食べる分には問題ないのではないかと思います。

さらにアメリカではよく言われ、日本でも最近注意するようになってきているのが、まれな細菌感染症であるListeria(リステリア菌)です。ホットドック、デリの肉類やハム、ソフトチーズ、殺菌されていない乳製品などに感染している場合があります。CDC(米国疾病管理予防センター)によると妊娠中はListeria感染を妊娠していない人に比べて20倍起こしやすいとされています。Listeria感染の症状は消化器系症状である食中毒ですが、妊婦は重症になる場合もある上、Listeriaは胎盤を介して胎児に感染するため、流産、死産、新生児の重症感染症に至る事があります。

その他、生卵とか食品添加物とか農薬とか気にしすぎると何も食べれなくなってしまうので、衛生に気をつけて何事も適度にするという事でしょうか。日米の違いも興味深いところです。

8件のコメント

  1. 同僚のナースや栄養士の人たちが、妊娠して、それでもどうしてもマグロの寿司が食べたいとのことで、何度も聞かれたことがあります。 日本では寿司のマグロは妊婦は食べているか? 日本じゃ毎日マグロ食べているらしいから大丈夫だろ? アメリカのマグロと日本のマグロと違うのか? Ect…

    それで、一度日本のサイトを色々調べたのですが、マグロの水銀量を測って公表している機関はありませんでした。そもそも、マグロは回遊魚だから水揚げされた場所でXX産と言われてもどこの海の水銀量を反映しているかわかりませんしね。

    さらには、水銀といってもいろんな化合物がありますしね。人体に、さらに胎児への影響で、アウトカムが発達遅延とか言われたらどんなデータもバイアスだらけでしょうね。

    だから、僕はサメとかを無理に食べるのは避けて、マグロは栄養が取れるから食べたければ食べていいんじゃないかとコメントしています。魚に含まれてる栄養が脳の発達に大切かもしれませんしねぇ。

    • >浅井先生

      コメントありがとうございます。なかなかはっきりしたデータがないので、本当は何が正しいのかわかりにくいですよね。胎児の影響に関しては先生の言うようにバイアスだらけですよね。

      魚の水銀量に関しては数年前のNY Timesの記事が印象的でした。
      http://www.nytimes.com/2008/01/23/dining/23sushi.html?pagewanted=all
      NYの有名寿司レストランで出てくるツナの水銀量を測定したところ、思った以上に高かったというものです。

      魚には「頭をよくする」オメガ3脂肪酸が入っているので妊娠中は摂るべきのような気もしますが、その辺りバランスでしょうか。最近は prenatal Vitaminにオメガ3脂肪酸が入っているのでそこで取れているかもしれませんが。このバランスに関してちょっとしたコホートデータはあるようですが、結局benefitもriskもある事を理解する、と結論づけられています。
      http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18353804

      私はアメリカでは水銀量より(水銀量だけならまぐろだけはずせば問題ないはず)「生もの」としての寿司を食べないように、という風潮があるのではないかと思います。私は実は最初の妊娠の時は、「今まで寿司で当たった事ないし」と思って食べていたら、妊娠3カ月くらいの頃、寿司を食べた翌日高熱と下痢で寝込みました、、、。今まで人生で、消化器症状で熱が出た事がなかったので、お寿司とは限りませんが、それ以来、妊娠中のお寿司は遠慮気味にしています。

  2. 寿司レストランを経営しています。 妊娠したお客さんからよくこの質問があります。
    水銀、生ものからの食中毒の可能性等から妊娠中は生魚を控えるようにといわれているが日本では妊婦は寿司を食べないのか?などです。
    日本では特別なことは言われていないが食べすぎといった偏った食事は良くないのでは、妊婦はバランスの取れた食事をしていれば刺身を週一くらい食べても問題ないと思いますとコメントしています。

    • >渡部さん

      コメントありがとうございます。やっぱりお寿司やさんには直接質問が行くんですね(笑)。
      私も渡部さんの言う通り、時々、信頼できるレストランで寿司、刺身を食べる分には健康には問題はないのではないかと思います。
      私は上記にも記した通り、一度妊娠中に近所の寿司レストランの寿司を食べた翌日に高熱と消化器症状で寝込んだので、本当においしいレストランでしかリスクは負わない事にしています(笑)。

  3. 昨年長男が生まれました。
    日本での妊娠中の魚の摂取量はある程度決まっていたような気がします。
    マグロとかタイはほんの少しだったらOKという感じとおもいます。
    アメリカではロブスターの産地とか何種類かの魚に関して水銀の関係で
    摂取を控えるように産婦人科の先生から言われました。これに関しては
    州で決めているとのことでした。
    ワクチン変換大変助かります。もっと早く知っていればよかったのですが、
    どうもありがとうございました。

  4. 2011年にアメリカで出産しました。妊娠中の食事についてですが、生の肉、生の魚(寿司)、ハム、柔らかいチーズは、産科医に禁止されていました。

    日本では、妊娠中にお寿司を食べてはいけないと聞いたことは無かったので、日本とアメリカの習慣の違いだろうと軽く考えていました。

    結局、私は妊娠中に禁止されていたものは食べませんでしたが、最近、NHKのサイトで生の魚や肉を食べることによって感染する、トキソプラズマと言う寄生虫について知りました。感染すると妊娠中の子供に影響がでるということです。

    このNHKのサイトに、妊娠中に生の魚や肉を食べることについて医師から注意を促されず、妊娠中にこの寄生虫に感染してしまった妊婦さんの話が載っています。残念ながら、生まれていた赤ちゃんは水頭症で、右手右足に軽いマヒがあります。

    妊婦さんには、きちんとした情報を伝えて、このようなことが今後減ってくれることを望みます。

    下記に掲載します。(全文 http://www.nhk.or.jp/seikatsu-blog/400/119912.html )

    『妊婦さんが、生まれてくる赤ちゃんのために気をつけることはいろいろありますが、意外に知られていないのに赤ちゃんに重大な影響を与えかねないことがあります。

    それは、レアステーキや生ハムなどの加熱が不十分な肉、ガーデニングなどの土いじりです。
    寄生虫「トキソプラズマ」が原因です。。。妊娠9か月のとき、胎児の脳に異常が発見されました。
    脳室が通常の2倍以上に拡大していたのです。母親の血液を調べたところ、ある寄生虫に感染していることが分かりました。トキソプラズマという寄生虫です。

    母親が妊娠中に初めて感染すると、胎盤を通して胎児にうつり、脳や目に障害のある赤ちゃんが生まれることがあります。感染は、加熱が不十分な肉を食べたり、猫のふんが混じった土をいじったりすることで起きます。』

  5. 私もお寿司に関する質問をよくされます。日本で助産師をしていた頃は、魚は低カロリーで優秀なタンパク源として(お寿司やお刺身も含め)勧めていたものです。正直言うと、日本およびアメリカでの臨床経験の中で、生魚に当たった。。。というケースをまだ見た事がありません。日本で多かったのは、牡蠣、ムール貝、そして甲殻類による食中毒、アメリカで多く見るのはチキンや生野菜による食中毒です。妊娠していると感染源がなんであれ、脱水しやすく、細菌が作り出すトキシンから子宮収縮を起こし流早産の原因となる事もあり、症状も重傷化しやすいため、早めの対処が必要です。

    本当はお寿司大丈夫だよ〜と言ってあげたいところですが、アメリカにおける魚の流通経路や保存方法に関しあまりに無知なため、私個人としてはアメリカのガイドラインに沿って、すべての食品は火を通したものを食べるように勧めています。アメリカで出産したとたん分娩台の上で、「やったー!これでスシが食べられるー!」と叫ぶ妊婦さんを見るのは珍しありません。日本の寿司文化は本当にこの国で浸透していますね〜。

    水銀に関して言えば、どこで穫れたか、養殖か天然ものかにもよりますが、一般的に大きな魚ほどBiomagnificationによって水銀の含有量が多いようです。日本人はイワシ、秋刀魚、ししゃもなどの小魚を多く食べますよね。頭や骨ごと食べられる小魚はカルシウムもオメガ3も豊富で、しかも水銀の含有量も低くいい事尽くめですね。でも、アメリアでは小魚を食べる風習がほとんどありません。(ほとんど売ってもいないし)。私の夫(アメリカ人)は、お正月の「ごまめ」を見て、金魚を食べるのか。。。。と顔面蒼白になっていました。
    アメリカに来た当初、「妊婦は魚を食べていいのか」論議を初めて聞いた時、一笑した私ですがこの15年で魚に含まれる水銀のデーターがどんどん変化するのを見るにつけ笑えなくなりました。地球は、私たちの住む環境は新たに産まれてくる命にますます厳しくなっています。

  6. >今井あゆみさん

    Kazukaさん、りなさんとコメントにお返事できずすみませんでした。次女の誕生からしばらくはなかなかブログの時間が取れず、最近はちょっと落ち着いてきた感じです。

    私も最初は甘く見ていたのですが、本当、最近の水銀のデータを見ると、あまり軽く考えるわけにはいかないなあ、と思います。小魚は栄養豊富なのですが、福島以降は魚の骨は放射能汚染が少し気になっていまうのは私だけでしょうか。

    私も最後の妊娠から2年以上経って、少しずつ忘れていっていますが、妊娠中はいろいろとハプニングも多いですよね。またいろいろ教えてください。

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