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Dr.Yumi

ブログについて

研修を終えてスタッフとして働き出してからは、アメリカ医療の現実をさらに実感するようになりました。よいところも悪いところもあるアメリカの医療の日常に、循環器のホットなトピックを交えて発信していきたいと思います。

Dr.Yumi

名古屋大学医学部卒業後、1年間のスーパーローテ研修を経て、アメリカにて臨床研修開始。内科レジデンシー、循環器フェローシップ、循環器インターベンションフェローシップを終え、現在ニューヨークのMount Sinai Beth Israelにてスタッフとして働き6年目。専門は循環器、特に心臓カテーテル治療。2人の娘の子育てと仕事に奮闘中。

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ここのところ、保険のない患者さんの治療に悩まされる事が続きました。アメリカの医療保険には、民間保険と公的保険(メディケア=高齢者の保険、メディケイド=低所得層の保険)がありますが、よく指摘されるように無保険の患者さんも多く存在します。病院により民間保険の患者さんしか取らないプライベート病院、基本的に保険のない患者さんを診る公的またはチャリティー病院、そして私の病院のように民間保険も公的保険も、時には無保険の患者さんも診る民間病院があります。

心筋梗塞から1日以上経ってER(救急救命室)にやってきた患者さん、心臓カテーテルの結果は重症3枝病変と弁疾患に心機能低下、とりあえず心臓外科と相談する事になりました。今まで特に健康に問題はなかったので保険の申請をした事がない、と言うのですが、65歳以上だからメディケアが適応になると思っていたら、実は移民の問題で保険適応がないという事が判明しました。入院自体はEmergency Medicaidが適応になって大丈夫な事が多いですが、この重症心疾患では今後の治療として必要になってくるしっかりとした薬物治療、そしてICD(埋め込み式除細動器)の評価は受けられそうになく、今回の入院でどこまでするのが患者さんのためになるのか、悩めるところです。

私や同僚は、心臓カテ専門の循環器内科医としてER(救急)から緊急入院となった、急性心筋梗塞や重症循環器疾患に関わる事が多いため、必然的に保険に問題がある患者さんを診る機会も多く、緊急カテの後、いかに今後のケアを行っていくか悩まされる事もまれではありません。循環器疾患では急性期の治療が終わってもその後の継続治療が大切なので、退院後に適切な治療が受けられるかの評価は大切です。退院後薬を買えない患者さんに薬物溶出性ステントを用いたりしたら、ステントが急性閉塞して治療自体が害になってしまう可能性もあります。

どんな患者さんを診るかは働く病院や立場によってそれぞれです。無保険やメディケイドの患者さんを診ても医師としてはほとんど収入にならないので、病院のスタッフでも開業しているドクター(プライベート)だと、基本的には民間保険かメディケアの患者さんしか診ないドクターがほとんどです。私は入院患者さんは誰でも診ますが、外来は基本的に保険を持っている患者さんのみです。メディケイドだと研修医(レジデントやフェロー)の外来に通う事ができますが、無保険だと自費で払うか無料で診てくれる病院を探す事が必要となります。

アメリカの保険制度も実は研修中はほとんど気にした事がありませんでしたが、スタッフになってからは考えざるを得なくなりました。アメリカの民間保険は、それはそれでまたいろいろな問題があり、またそのトピックもとりあげて行きたいと思います。

5件のコメント

  1. はじめまして、saeと申します。
    先生の出身大学の後輩です。。
    来年、短期ですがアメリカに行くので
    アメリカの医療制度や実際の現場について知りたいと思い、
    こちらの先生方のブログにたどり着きました。
    アメリカで、かつ子育てもお仕事もと素晴らしいですね!
    更新楽しみにしています♪♪よろしくお願いします。

  2. フロンティアで留学します!!
    先生にもお会いできると先日Frontier会で伺いました!
    楽しみにしています。ブログもみてます(*^_^*)

  3. お金の有無で医療内容が変わるのは悲しいですね。お金がない人には医療を施さないのも非常に悲しいものがあります。医師も保険制度に意見を持つべきです。何とかしたいものです。

    • 藤林先生

      コメントありがとうございます。本当、医療はビジネスにはしたくないものです。世界ではお金がないと医療が受けられないシステムの国もたくさんあり、日本の国民はそういう意味では幸せだなあと思います。アメリカでは、全く保険がなければ、チャリテイホスピタルのような病院があるのが救いです。保険制度に関しては、どの国を見ても問題があり、何が理想的なのか難しいですよね。またいろいろとご意見ください。

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