最初の二週間のオリエンテーションを終え、ここ一カ月はメイヨークリニックで働いている人を診ています。日本で言うところの産業医ですね。メイヨーの予防医学フェローはPreventive, Occupational and Aerospace Medicine(予防、産業、航空医学)という部署に属するので、Occupational Medicineのローテーションの一環として雇用者を診るわけです。
ロチェスターキャンパスには約33,000人(!)の雇用者がいるので、ほとんど小さな町一つを受け持っているような規模です。もちろん働いている人が対象ですので、年齢層は若い人が多くなります。それだけの雇用者がいるので、Occupational Medicineにも10人以上の医師が常駐しています。
通常の診療は内科などのかかりつけ医に行ってもらいます。そのためOccupational Medicineの窓口に来るのは以下のような人になります。
1.業務関係で疾患にかかった人
2.病気のために仕事を休まなくてはいけない人
3.病気のために仕事に制限をかけなくてはいけない人
1の範囲では、痛みや怪我がほとんどです。看護師さんの腰痛(Back Injury)が多いことに驚きます。考えてみれば、一日中患者さんを介助したり持ち上げたりしているわけですから、体への負荷は大変なものです。 肩を痛めたり、ものに挟まれて怪我をしたりという人もいます。
2や3の範囲では、うつ病や外科疾患を含め、労働制限を余儀なくされる疾患全てが含まれます。週3日しか働いてはいけない、15㎏の物までしか持ち上げてはいけない、立ちっぱなしの仕事はしてはいけない、左手を使ってはいけない、患者さんを直接ケアしてはいけない、など様々な制限があります。継続的な治療の必要性に応じて、それらの制限を調整します。
その人が仕事をできるかできないか、制限が必要かどうかを決める立場は、想像以上に責任重大です。例えば自分のかけた労働制限により、その人が現在いる職場で(一時的にせよ)仕事ができなくなり、他の部署で働くことを余儀なくされることもあります。また、医学的に必要な措置(三か月の労働休止など)が、その人の雇用自体に影響を与えることもあります。労働者は、医学的理由などによる労働休止についてはFMLA (Family and Medical Leave Act) という法律によって立場が守られていますが、それも全てを守ってくれるわけではありません。
「できる限り医学的な見地に基づいて判断をするようにすべき」と上の先生からは言われますが、時にはその人の職場での状況なども考慮に入れて判断を下さざるをえないことがあり、そのさじ加減は難しいです。
9月からはついにミネソタ大学でのMPH(公衆衛生学修士)が始まります。今からとても楽しみです。