(この記事は、『アメリカでお医者さんにかかるときの本』の内容を一部抜粋・修正して掲載しています。書籍の概要は保健同人社、Amazonでご確認ください。)
・歯科保険について
アメリカの通常の医療保険は、歯科の医療費をカバーしないことが一般的です。歯科用の保険(Dental Insurance)は別に販売されており、歯の治療費に保険を使いたい場合、それらの保険に別途加入する必要があります。ただし例外として、内科的疾患に伴う、もしくは内科的観点から必要な歯科受診に関しては、通常の医療保険でカバーされる場合があります。この場合、かかりつけ医などからの紹介状が必要です。
雇用主を通じて医療保険に加入できる人は、歯科用の保険にも加入するかどうかを選択できることが多いです。それらの保険商品の多くは、一般的な医療保険と同様の構造になっており、Premium(月額保険料)、Deductible(免責額)、Coinsurance(自己負担割合)などの組み合わせで商品が作られています。他にも、年間一定の額までは保険が100%利くが、それ以上はカバーしないといった、年間の支払上限額が定められている保険もあります。
保険内容はプランによってさまざまですが、治療の内容によって自己負担割合が変わる場合があり、注意が必要です。たとえば、歯科の一般健診であれば自己負担なし、簡単な虫歯治療であれば2割の自己負担、インプラント治療では5割の自己負担など、高度な治療では自己負担が高く設定されていることがあります。したがって、治療を受ける前にどの程度自己負担額が生じるのか、よく確認したほうがよいでしょう。
具体的には、簡単な虫歯治療以外は、歯科の保険会社に治療前の見積もり(Pre-Estimate)を出してもらうようお願いするのが賢明です。クラウン、根幹治療、インプラントなどのやや高度な治療は、保険が利かない場合や、効いても自己負担が多くなる場合がありますので、治療を受ける前に見積もりを出してもらうのが一番安心です。
・眼科保険について
眼科は、皮膚科や整形外科のような専門科の一つとして扱われ、検査や治療・手術に伴う費用は、一般的に通常の医療保険でカバーされます。たとえば、糖尿病に伴う網膜症の有無の検査、眼の症状があるときの受診などは、医療保険の対象となります。眼科受診に際して保険適用範囲内であるためには、他の専門科と同様、かかりつけ医などからの紹介状が必要なことが多いです。
医療保険では一般的に、眼鏡やコンタクトレンズの調整のための受診はカバーされません。保険プランによってはそれらをカバーするものもありますが、紹介状が必要なことに加え、自己負担率が高く設定されていたり、保険が利く金額が低く抑えられていたりして、保険外で購入するのとくらべて得かどうかは疑問です。また、考えてみれば当然ですが、眼鏡については保険で購入可能なフレームが決まっており(最も安いもののみ)、おしゃれな眼鏡を買いたい人は保険を使うメリットが少ないでしょう。
ただし、別売りされている眼科用の保険(Vision Insurance)に加入した場合は、コンタクトレンズや眼鏡の出費を、より広範にカバーします。頻繁に眼鏡やコンタクトレンズを買う可能性のある人は、眼科用の保険に加入することを検討してもよいでしょう。
ーーーーーーーーーーーー
より詳細な内容を知りたい場合は、アメリカで活躍する20人の医療従事者が執筆した『アメリカでお医者さんにかかるときの本』をご参照ください。保健同人社、Amazon、Kindle、アメリカ紀伊国屋、など多くの書店およびオンラインショップで手に入れることができます。