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野木真将

ブログについて

ハワイは温暖な気候と全米一のCultural mixが見られ、医師としての幅広さを養うにはいい環境と感じています。 旅行だけでは見えない、ハワイ在住の魅力もお伝えできればいいなと思います。

野木真将

兵庫県出身、米国オハイオ州で幼少期を過ごす。京都府立医大卒、宇治徳洲会病院救急総合診療科の後期研修を修了。内科系救急を軸とする総合診療医として活躍したい。よきclinical educatorとなるため、医師としての幅を広くするため渡米。2014年よりハワイで内科チーフレジデントをしながらmedical education fellowshipを修了。2015年よりハワイ州クイーンズメディカルセンターでホスピタリストとして勤務中。

★おすすめ
チーフレジデントになって3ヶ月が経ちました。
題名のような問い合わせがいくつかあったのでこれを機にまとめてみたいと思います。
●主な業務は以下の4つに大別されます。
  1. 医学生、レジデント教育
  2. 医学生、レジデント評価
  3. レジデントプログラム管理
  4. 教育に関する研究プロジェクト
ここでは対象者別の関わりでまとめたいと思います。
チーフと医学生との関わり
 直接教育をするのは内科の入院管理ローテーションで来る医学部3年生たちです。クリニカルクラークシップと呼ばれる臨床実習のうち、内科入院管理の6週間で私の病院をローテーションします。
 基本的には診療チームの一員として臨床現場で鍛えられるのですが、その忙しい合間に
チーフレジデントからのコアレクチャー(週に2回)を受けます。私の指導方針として、なるべくリクエストに応じた講義をしたいと思っているので、テーマはバラエティに富んでいます。準備する方は大変なのですが、医学生の知りたいことにこたえるには適したスタイルだと思っています。
 主なテーマ:
  1. アセスメントとプランの立て方
  2. クリニカルクエスチョンに対する情報検索の仕方
  3. 上手なプレゼンテーションの仕方
  4. 身体診察シリーズ
  5. 院内で使用する抗生剤の基礎
  6. 頻度の高い感染症の管理
  7. 頻度の高い電解質異常の管理
  8. 心不全の診断と管理
  9. 心房細動の診断と管理
  10. 透析管理の基礎
  11. 心電図の読み方の基礎
  12. 血液ガスの読み方の基礎
  13. 胸部レントゲン写真の読み方の基礎
  14. 胸部CT写真の読み方の基礎
  15. 医療コストから見た最適な管理
 時期によりますが、内科志望の医学部4年生が選択科目で内科入院ローテーションを選択した場合も私の管轄に入ります。
 ”Know the learners first”
 短期間で彼らをよく知らなければ、求められている教育が提供できないですし、最終的な評価の段階でしっかりした記述ができません。学生もチーフレジデントを慕って色々頼りにしてくれますのでお互いに綿密に連携を取ります。また、医学生にはsite coordinatorと呼ばれるメンターがいるので、その指導医とも連携を取って到達目標から遅れている学生のサポートに入ります。診療チームから報告を受けてサポートに入る場合もあります。
 各ローテーションの修了時に私から評価表をオンラインで記入しますが、症例発表やベッドサイドでのOSCEなどもあり、その都度評価表を記入して個別にフィードバックします。
 また、毎月のように医学生評価会議があり、内科のクラークシップをしている学生たちの進歩状況や最終成績を会議で決めます。その際には直近の存在としてチーフレジデントの意見が重要視されます。ここでのチーフレジデントとして関わり方によって将来内科プログラムに進むかどうか影響を与えるかと思うと緊張する役割ですが、教育者としての彼らとの交流はとても実りあるものだと感じています。
チーフと内科レジデントとの関わり
  • 毎月の業務
 レジデントは毎月入院チームに14名(夜間シフト含む)、内科系ICUに6名、外来ローテーションに5−7名回ってきますが、ICUと外来のオリエンテーションは各部門の責任指導医が担ってくれるので、私は入院チームの指導に集中できます。
 入院チームの指導は主に朝カンファレンスの司会進行、昼カンファレンスの企画と司会進行、画像カンファレンスの司会、カルテ内容のチェックなどです。特にカルテチェックは時間がかかる地道な作業ですが、みんなのパフォーマンスを一定に保つためには必要なことです。
 日常の診療現場での指導はホスピタリスト指導医に任せているのですが、もし到達目標から遅れているレジデントがいる場合には連絡を受けて介入することもあります。また、私自身も当プログラムで3年間やり切った者として、彼らに対するメンターの役割も大きいと感じています。
 全部で4チームに分かれてトレーニングしているのですが、連帯感をもって4週間のローテーションを乗り切れるように、Dropboxを活用してカンファレンスの講義スライドや追加の文献などの共有をしています。
 よく「チーフレジデントってスケジュール管理に追われるみんなの秘書みたいな仕事」というコメントをもらいます。確かにこれだけの人数のスケジュール作成と管理は骨の折れる作業ですが、幸いプログラムスタッフで分担してくれているので、私はレジデントたちのリクエストを反映できるように最終チェックを任されているのみです。
 ただし、年間のローテーションスケジュールを組むのはチーフレジデントの仕事で、これは大変な作業です。ACGMEや病院からの必要事項を満たしながら、みんなの学習効果を最大にできる工夫が必要です。
  • 年間の業務
 当プログラムでは火曜の午後はレジデントを対象した半日のレクチャーシリーズを実施しています。内容はグランドラウンド、症例カンファレンス、専門医試験対策、専門科目講義、M&Mカンファレンス、臨床病理カンファレンスなど様々です。こちらの企画講演者の手配はチーフレジデントの役割です。時には自ら講義もします。
 また、入職時オリエンテーション、Retreatと呼ばれる全日の教育ワークショップイベント(対象者毎に実施。1年目のみ、1-3年目全員、1年目の終わり、フェローシップ志望の2年目のみ、開業プライマリケア志望の3年のみ)、シミュレーションセンターでのワークショップなど重要な年間行事の企画立案実行を任されています。
 *ちょっと長くなってきたので、「プログラム管理」「教育に関する研究」については後編にまとめます。
まとめ
  1. チーフレジデントの業務は、教育、評価、管理の3つに大別される。
  2. 対象者が医学生、レジデント、面接希望者など多岐に渡る。
  3. 主に毎月の業務年間の業務に分かれる。
  4. 臨床業務がないために上記の役割に集中できるし、チーフレジデントは2人いるため分担できる。

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