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浅井章博

ブログについて

Born in Japanだが医者としてはMade in USA。日本とは異なるコンセプトで組み立てられた研修システムで医師となる。そんな中で、自分を成長させてくれた出会いについて一つ一つ綴っていく。

浅井章博

岐阜県産 味付けは名古屋。2003年名古屋大学医学部卒。卒業後すぐにボストンで基礎研究。NYベスイスラエル病院にて一般小児科の研修を始め、その後NYのコロンビア大学小児科に移り2010年小児科レジデント修了。シカゴのノースウェスタン大の小児消化器・肝臓移植科にて専門医修了。現在はシンシナティー小児病院で小児肝臓病をテーマにPhysician-Scientistとして臨床と研究を両立している。

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A型肝炎ウイルスワクチン Hepatitis A Virus Vaccine

A型肝炎ウイルスは汚染している飲料や食物を摂取すると感染し、肝臓に急激な炎症をおこします。一般的には、感染者が多い地域に旅行し不衛生な食生活をすることで感染します。

90年代までのアメリカではよく発生する病気でしたが、ワクチン導入後、年々減少し、現在のアメリカでは年間わずか約2000件の感染が報告されているのみです。

アメリカの一般的な生活では、子供が通う学校やデイケアでの集団感染が報告されています。メキシコや中米の流行地域からの人の移動と共に持ち込まれたウイルスが原因となります。日本ではウイルスに汚染されたカキを食べることで感染することがよく知られています。

このA型肝炎ウイルスワクチンはアメリカでは1995年に導入され、以来その優れた効果と安全性が確認されています。導入初期はリスクの高い集団のみが対象でしたが、その効果が確認されるにつれ、2006年からはすべての子供たちへの接種が推奨されるようになりました。

多くのA型肝炎は症状が軽く、下痢、嘔吐のみで自然回復し入院の必要はありません。しかし、なかには重症になることがあります。私が働くシカゴの小児病院では、年間1-2名が入院します。黄疸が体中に出て目が黄色くなり、何よりも激しい疲労感に苦しみます。ほとんどの場合、結果的には特別な治療をしなくても2週間ほどで完治しますが、まれには肝臓の機能不全に陥ることがあります。死亡することもあり、2007年の統計では85人の方がA型肝炎でなくなっています。実際の小児科の現場では、その他のワクチンに比べ後回しにされることの多いワクチンですが、病棟で感染した患者さんを診ていると、できるだけ避けたいと思う重篤な病気です。特に、デイケアなどでメキシコ中南米移民の子供と接触する可能性がある場合は、積極的にワクチンを接種するべきだと考えます。

アメリカのワクチンは日本のワクチンとはタイプが異なります。アメリカのワクチンは1歳以上の人が受けられます。6ヶ月の間隔をおいて2回接種することで、約20年間の免疫効果を期待できます。

その他、詳細はこちらのリンク先を参照してください。アメリカの感染症とワクチンの公的機関であるCDCのサイトが公表している日本語の案内です。
http://www.immunize.org/vis/jp_hpa98.pdf
注) 1998年の案内なので、推奨対象が現在のものとは異なります。現在は全米のすべての子供にワクチンを接種することが推奨されています。

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