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新道悠

ブログについて

日本でも徐々に拡がってきている緩和医療と、高齢化が進みながらもあまり馴染みの無い老年医学について、米国でのフェローシップを通じて学んでいく予定です。 私自身、卒後8年目での渡米で、日本での医療をよく知る医師の一人として、日米の医療の違いなども含めて、日本人の先生にシェアしていきます!

新道悠

2012年に千葉大学医学部を卒業後、福岡県の飯塚病院/頴田病院にて初期研修医と総合診療専門医(家庭医)の専門研修を行う。 卒後8年目の2019年よりNYのMount Sinai Beth Israel 病院の内科にてレジデンシーを行い、2022年からMount Sinai Hospitalの老年/緩和フェローとして勤務中。

緩和ケアフェローシップのローテーション

筆者はニューヨークにある大学病院で老年医学/緩和ケアのフェローシップを行っています。

6月末にフェローシップの卒業を控えており、トレーニングの振り返って緩和ケアフェローのトレーニングをローテーションの視点から解説します。

どんなローテションがあるのか?

緩和ケア定期外来

緩和ケアのフェローは、年間を通じて週一回の定期外来枠を担当します。

筆者の場合は老年医学フェローとしての外来も担当していたので大まかに午前中は老年医学の患者さん、午後は緩和ケアの患者さんといった感じで外来診療を行っていました。

緩和ケア外来の特徴としては、医師だけで行われる通常の内科外来と異なり、ソーシャルワーカやチャプレンといった多職種チームで外来を行うので、毎回緩和ケアフェローの自分と他の職種(ソーシャルワーカーやチャプレン)と一緒に患者さんの面談/診察を行います。

多くの患者さんは腫瘍内科からの紹介の患者さんで、症状緩和/モニタリングやGoals of Care(治療方針の話し合い)のための紹介の方が話多いです。

緩和ケア入院コンサルト

病院に入院中の患者さんのコンサルトを受けるローテーションで、内容は大まかに症状緩和のコンサルテーションか、Goals of Care(治療方針の話し合い)に大別されます。

筆者の働いている病院は大学病院で患者さんの数も多いので、一般入院の患者さんに対しても複数のコンサルト受けチームがあり、その他ICU専属、CCU専属の緩和ケアチームも設置されています。

フェローの視点からは、緩和ケア医としての患者さんの診療経験はもちろん、コンサルタントとしての主治医チームとのコミュニケーションの仕方(特に患者さんとの橋渡しとしての機能)を学べる良い経験が積めるローテーションです。

緩和ケア病棟(PCU)

病棟のコンサルトチームとはうってかわり、緩和ケア病棟では主治医チームとして診療にあたります。

基本的には重篤な疾患で終末期にある患者さんの症状緩和や、退院までの調整などを行う病床です。

緩和ケアフェローとしては、主治医として様々な症状をコントロールする経験ができるローテーションである他、緩和的な抜管/呼吸器除去などの手技を経験できる数少ないローテーションです。

在宅ホスピス

米国ではホスピスを受ける場合、在宅/施設/病院などの選択肢がありますが、その中でも在宅ホスピスを行っている団体を1ヶ月ほどローテーションして同じ患者さんをフォローします。

米国の在宅ホスピスは訪問看護師やソーシャルワーカー、チャプレンなどの医師以外の職種の訪問が多く、多くの場合医師以外の訪問に同伴して診療の補助を行います。

病院やクリニックの緩和ケア外来で働いていると、在宅ホスピスに患者さんを紹介することが多いので、このローテーションを経験することで、実際に自分が紹介する患者さんがどのようなサービスを自宅で受けることになるのかを自分の目で見ることができます。

腫瘍内科サポート外来

腫瘍内科のクリニックに併設する形で緩和ケアを提供する外来があり、主に腫瘍内科に訪れる患者さんの症状緩和やGoals of Care(治療方針の話し合い)を補助します。

腫瘍内科と同じクリニックに位置しているので、患者さんも腫瘍内科の外来と一緒に受診できたり、化学療法を受けている間の点滴中などに面談を行うことができるなど、患者さんのニーズに合わせてフレキシブルに診療が行えるのが特徴です。

まとめ

緩和ケアのフェローとして様々なローテーションを通じて外来/病棟/在宅など様々なシチュエーションで緩和ケアに携わる経験が積めました。

特に緩和ケア医は、PCUやホスピス以外では、コンサルタントとしての役割を求められることが多いため、医療としての緩和ケアの技術以外にコンサルタントとして主治医チームとどのようにコミュニケーションをとっていくか、ニーズを正確に把握して答えるトレーニングが積めたのはとても有用でした。

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