緩和ケアの院内コンサルトローテーション
今回は、以前の緩和ケア病棟(PCU)ローテーションの紹介に続き、ニューヨークの大学病院での、緩和ケアチームの病棟コンサルトチームのローテーションについてまとめていきます。
コンサルトチームの働き方
アメリカの病院では日本以上に医療チームが細分化されており、特に大学病院のような大きな病院では沢山の専門科チームがコンサルタントとして一つの症例に関わります。
そんなコンサルタントチームの一つに緩和ケアチームがあり、終末期/重篤な疾患(癌など)を持つ患者さんの症状緩和や、治療方針決定ミーティングのサポート(Goals Of Care)などが主な役割になります。
ちなみに、一般的な疼痛管理に対しては、麻酔科チームが主体となった疼痛管理チーム(Acute/Chronic Pain)も存在するので、特に終末期/重篤な疾患を持たない患者さんの疼痛(慢性疼痛/術後疼痛など)については疼痛管理チームが担当することになっています。
チームの構成
私がフェローシップを行っている老年医学/緩和ケア部門は比較的規模が大きいことと、大学病院でコンサルト症例数も多いこともあり、緩和ケアのコンサルトチームだけでも複数のチームが存在します。(病棟コンサルトチームx2、ICU専属チーム、心不全緩和チーム、PCUチーム)
今回は病棟コンサルトチームに焦点を当てて解説するわけですが、各々のチームの構成メンバーについても触れていこうと思います。
緩和ケアコンサルトのチームメンバー
コンサルトチームは医師(指導医+フェロー+レジデント/医学生)、NP、チャプレン、ソーシャルワーカーなどが基本のグループになります。
そこに、症例に応じて、Spiritual Careの一環で音楽療法、マッサージ/ヨガ、アートセラピーなどの専門家が加わることがあります。
コンサルトで相談される症例
代表的なコンサルトの内容としては、癌患者さんなど重篤な疾患のある方の症状緩和(疼痛/嘔気嘔吐/せん妄など)、治療方針決定ミーティングのサポート(Goals Of Care)、緩和ケア病棟への転棟相談、ホスピスへの紹介の相談などが挙げられます。
特に、治療方針決定ミーティングでは、上記に挙げたチャプレン、ソーシャルワーカーが実際の患者さん/家族とのミーティングに参加して、患者さん/家族のサポートを行います。
コンサルトの振り分け/トリアージナース
1日のコンサルト件数も多く、担当するチームも複数あるため日中の緩和ケアへのコンサルトはトリアージナース(NP)が全て一旦受けて、その後に振り分けが行われます。
特に緩和ケアコンサルトのチームはフェローやレジデント/医学生への教育的な役割も担っているため、十分な症例数を忙しすぎない範囲で診療できるように調整するためにはとても役立つシステムです。(新規のコンサルトは概ね一日3件程度までに なるように調整される)
トリアージを行うナース(NP)も緩和ケアでトレーニングを受けているので、症例に応じて緩和ケアチームが実際に患者さんを評価するまでの、一時的な治療方針の選択肢を提示したり、その場でコメントできるような問題に対しても対応してくれます。
まとめ
今回は、ニューヨークの大学病院で緩和ケアのコンサルトチームがどのように働いているのかを紹介しました。
緩和ケアのフェローとしては、一般病棟でも診療するような重篤な疾患のある患者さんの症状緩和や、難しい治療方針決定のミーティングでの話し合い方など、今後医師として汎用性の高いスキルを身につけられるローテーションだと感じています。