今更ながら、09年公開の映画「路上のソリスト」を見ました。
統合失調症の初期段階(“first break”と呼んでいます)と思われる症状の思春期の若者への治療法を研究しているリサーチ団体が私の病院に対象者をリクルートしに来る際に、この映画「路上のソリスト」と映画「ビューティフルマインド」からの抜粋を使って、統合失調症について患者さんのご家族に説明をしています。
実話に基づいたこの映画のストーリーは。。。
ロサンゼルス・タイムズ紙にて、コラム「西の視点(ポインツ・ウエスト)」を連載している記者スティーヴ・ロペス(ロバート・ダウニー・Jr)。ある日彼は、路上で弦が2本しかないヴァイオリンを弾くナサニエル・エアーズ(ジェイミー・フォックス)と出会う。ナサニエルはジュリアード音楽院に在籍したことがあるチェロ演奏者だが、現在はホームレスになっていた。そんな彼に興味を覚えたロペスは、彼の生い立ちを記事に連載する。しばらくして、ナサニエルに同情した読者から、彼宛てにチェロが届く。ロペスはそれを餌にナサニエルを「更生」させようとする。 (ウィキペディアより抜粋)
統合失調症の好発年齢は病型、性別によっても異なりますが、男性の場合思春期、青年期の10代後半から20代です。この映画の主人公ナサニエルはジュリアード音楽院在学中に発症し、ロサンゼルスの路上でジャーナリストのロペスと出会う頃には家族とも疎遠になりホームレスとして生活しています。治療は受けていませんが、自傷行為や他人に危害を加えることもなく、自分の財産を荷台に詰め込んで大切にしながら、自給自足の生活を送っています。
ロペスはそんなナサニエルの生い立ちに興味を持ち、初めはコラムのネタ探しとして、やがて「自分が彼を助けたい」という思いからナサニエルにアパートを提供したり、チェロの先生を紹介してリサイタルを開こうとするのですが、ロペスの努力は失敗に終わってしまいます。ナサニエルは以前自分のアパート内で幻聴や幻覚に悩まされた恐怖から、ホームレスでいることを断固として希望しているからです。そんなナサニエルは精神科医を受診するように勧めるロペスに激怒して暴力をふるってしまいます。精神科医を受診するためには自らが「統合失調症」であり、治療を希望する、という同意書にサインすることが求められたからです。
(ブログその2に続く。。)