管制官だった頃、仕事はもっぱら管制塔の中か暗いレーダー室の中かどちらかでしたが、年に一回空を飛ぶ仕事がありました。それは搭乗訓練と言われるもので実際にコックピットに乗り込んで地上との管制交信を機上で聞いてそれをレポートにまとめるのが仕事でした。
ところがたまにキャプテンがとても親切なお方で、
「いつもお世話になっております。こんな狭いコックピットにあなた様を閉じ込めてはほんとうに申し訳ない。どうか空いている客席にご案内しますのでゆっくり空の旅をお楽しみ下さい。」
ということになり、無理やり?客席に坐らされたものです。それで肝心の仕事はと言いますと。。。
しまった、客席ではパイロットと管制官の交信が聞こえませんのでレポートが書けません!!
そこでそんな時はしかたなくレポートをでっち上げて何食わぬ顔をして提出したものでした。
ごめんなさ~~い!!もう時効でしょうが心苦しい告白ですねぇ。。。
さて、医療界ではスクライブという商売が繁盛しております。スクライブと言いますのはドクターのあとをついて回ってカルテを作る係りのことです。ドクターと患者の問診の様子、そして身体所見の描写をうまくカルテにまとめてくれます。私のように英語のタイプがおそい人にはうってつけのヘルプです。今はすべて電カルですからね。実はスクライブは大学卒のメディカルスクール(日本の医学部相当)志望の若い子が多いです。彼らにとって医学部に行く前に実際の医療現場に入り込めて医者というものがいったいどういう仕事をしているのか垣間見れるという意味ではとても勉強になります。またそういう経験をしていると医学部の入試選考に役に立つのでいいですよね。日本と違ってアメリカの医学部は大学卒しか入れませんし、選考基準もずいぶん違っていて医療経験をつんでいると有利になるんですよね。
私の働くERですが、最近マネージメントの会社が変りました。そこで給与形態もすべて変ったのですが、今までスクライブを雇うお金はスクライブのサービスを使うドクターのみが個人個人で払っていたのですが、このたびめでたく会社の方ですべて出してくれることになりました。
それですべてのドクターにスクライブが無料提供されることになりました。そこで膨大な数のスクライブが必要になり、空飛ぶスクライブが登場!!
地元で新人スクライブを十分教育訓練する間、全米いろいろな所からスクライブ経験者が今ERに入り込んでいます。アラスカの出身の子もいればフロリダ出身の子も。中には今年のメディカルスクールの入試を突破し、8月からスタートする子も何人かいます。
エルパソ滞在中はホテルから、レンタカーまでスクライブ会社が払ってくれるそうで、地元のスクライブを十分育て上げたらまた違う場所へ飛んでいくそうですよ。いろいろなところへ仕事で全米回れて楽しそう!
それにしても今までスクライブに一時間13ドル50セント個人で払っていてそれがばかにならなくて月々平均3000ドルくらい払っていたことを思うと空飛ぶスクライブさまさまやなあと、内心にたにたほくそ笑む私でございます。
よかったよかった・・・。
日本でも、電カル枠内記入あるようで先生も大変。でも、目の前に大きな画面で表示され、患者も見ることができるのでいいですね。患者の顔を見ようとしないで質問攻めの医師がいると、その病院はすぐにおさらばしています。共済病院でもありました・・・。
昨年紹介された台湾の女性は、台湾医科大を卒業し(看護管理がメインだったそうですが)、一念発起してEVAのパイロットに応募し、見事に合格。昨年春から基礎訓練が始まりましたが、お母さんががんの末期で、途中で訓練中止。昨年12月に亡くなられました。素晴らしいのは、EVAは彼女の訓練を延期し、今週から訓練が始まりました。小学3年生まで日本にいたので、日本語が堪能です。私たちの台湾の娘です。私のことを心配して、昨年と今月に会いに来てくれました。FBに李倫 で出ています。Lillieと言います。半年後にはフロリダで機上訓練となります。もと子さんのことは説明しています。
アメリカや日本に親せきがいるので、時間があればエルパソに飛んでゆくかもしれません。行動力と好奇心にあふれた女の子です。そのうち紹介します。
学校は、いろいろとあって中途半端な状態でしたが辞めました。はっきり言うと、be fired状態でした。辞める前は、辞めた後の反動が怖いと心配していましたが、学校関係の一切のことが消え去り、ストレスもどこかに飛んでゆきました。やはり無理をしてたようです。現在は何もやっていません。旅行も遠出を始めました。
田手さんは海外搭乗訓練も行かれたはず。
私も海外搭乗訓練なんかで海外の管制塔を見学したかったなあと思います。
やっとゆっくり奥様と遠出できるようになって、ものは考えようですね。
おっしゃるようにストレスがやっぱりたまっていたのでしょう。
そうでしたか。マーティン先生は、病院に雇われている形ではなくて、マネージメント会社から派遣されている勤務形態になっていたのですね。私も今年から契約が変わりました。私の所属する開業医グループが地元の病院に買収されたためです。開業医から勤務医へ逆戻りです。それはともかく、スクライバーが付くのは良いですね。うらやましいです。私はいまだに自分でコンピュータ入力しています。うちの病院もスクライバーを付けてくれると良いんですけど。。。
齋藤先生、ご無沙汰しております。
救急で働く医師はほぼ例外なく病院に雇われている形はないと思いますがどうなんでしょうね。私の場合はもうずっとインデペンデントコントラクターと言われる状態でお仕事をしています。いわば自営業みたいなものです。
スクライブはほんと、助かります。スクライブはいないと生きていけないくらい重要ですから時代は変りましたねぇ。