肺炎球菌ワクチン(小児) Pneumococcal Vaccine (Pediatrics)
肺炎球菌は肺炎、髄膜炎(脳や脊髄を覆っている髄膜に菌が感染することで生じます)、中耳炎などの原因となる菌で、時として死に至る重篤な感染を起こすことがあります。とくに髄膜炎は、後遺症をもたらすこともある怖い病気です。この菌は多くの人の鼻やのどに常在しており、なぜ時として病気を引き起こすのかはよくわかっていません。2歳未満の子供には、大人用のワクチンでは免疫がつかないため、子供用のワクチンが用いられます。肺炎球菌は90種類以上あるとされていますが、子供用ワクチンは、最も病気に関連するとされる13種を対象としています(PCV13、Prevenar/プレベナー)。これはアメリカで2010年に導入が決定されたもので、以前は7種を対象としたワクチン(PCV7)が用いられていました。
肺炎球菌のワクチンが定期接種されるようになる前は、アメリカでは5歳未満の子どものうち、毎年700名以上が髄膜炎、約500万人が耳の感染、約13000人が菌血症にかかり、そのうちおよそ200名が亡くなっていたとされています。ワクチンの定期接種の導入により、肺炎球菌によってこれらの重篤な病気にかかる5歳未満の子どもの割合が80%程度減ったとされています。WHOも、特に5歳未満の乳幼児死亡率の高い国を優先に、全ての国で肺炎球菌ワクチンを使用することを2007年に推奨しています。アメリカでは通常2歳未満の子供に対して計4回のPCV13を接種します。
なお、日本では主としてPCV7が用いられています。日本でも2012年現在、ワクチン接種緊急接種事業の一環として、該当する年齢者の乳幼児に対する小児用肺炎球菌ワクチンへの公的補助が行われています。
その他、詳細はこちらのリンク先を参照してください。アメリカの感染症とワクチンの公的機関であるCDCのサイトが公表している案内です。
http://www.cdc.gov/vaccines/pubs/vis/downloads/vis-pcv.pdf
また、以下のCDCのリンクから、以前用いられていたPCV7の情報の日本語訳を見ることができます。
http://www.immunize.org/vis/jppnPCV7.pdf
日本語のサイトはこちらが分かりやすくまとまっていますので、ご参照ください。