帯状疱疹ワクチン Varicella Zoster (Shingles) Vaccine
帯状疱疹は、激しい痛みを伴った小さな水ぶくれを体の片側に帯状におこします。これは、水ぼうそうを起こすのと同じウイルスが原因でおこります。このウイルスに初めて感染すると水ぼうそうになりますが、水ぼうそうが治っても、ウイルス自体は体の中からなくならず、神経節という部分にずっと潜んでいます。そして、ストレス、高齢(とくに50歳以降)、病気などによる免疫力低下などがきっかけとなってウイルスが再度活性化すると、帯状疱疹をおこします。水ぼうそうにかかった人のうち、10人に1-2人程度がかかるとされています。
帯状疱疹が一番おこりやすいのは、肋骨に沿った部分や腰の片側ですが、できる部位によっては失明したり、顔面神経麻痺になったりすることもあります。また、免疫力が弱っている人の場合は、全身に広がって重症化することもあります。また、帯状疱疹が治まった後も、10−15%程の人にはしつこく痛みやしびれが残る帯状疱疹後神経痛という状態になることがあり、これも高齢である程に確率が高くなるとされています。場合によっては神経ブロックという方法で痛みを止めることが必要になることもあります。帯状疱疹発症初期に抗ウイルス薬を内服すると、治りが早まり、帯状疱疹後神経痛がおこるのを防ぐ効果があるとされています。
アメリカではこの帯状疱疹、ならびに帯状疱疹後神経痛の頻度を減らす目的で、2006年に60歳以上の人を対象にワクチンの接種が推奨されるようになりました。このワクチンは同じウイルスによっておこる水ぼうそうワクチン(Varivax) と比べると、少なくとも14倍というかなり高濃度のワクチンウイルス株が用いられています。アメリカでは水ぼうそうワクチンを帯状疱疹ワクチン(Zostavax)の代わりとして用いること、また逆に帯状疱疹ワクチンを水ぼうそうワクチンとして用いることはできません。なお、日本では2012年現在Zostavaxは承認されていません。
60歳以上を対象とした臨床試験では、ワクチン接種によって帯状疱疹にかかるリスクを半減させ、また帯状疱疹後神経痛のリスクを6割以上減らしたとしています。なお、アメリカにおいても健康保険の種類によって、ワクチンの費用がカバーされないこともあるため、事前に確認が必要です。
その他、詳細はこちらのリンク先を参照してください。アメリカの感染症とワクチンの公的機関であるCDCのサイトが公表している案内です。
http://www.immunize.org/vis/shingles.pdf
日本語のウェブサイトはこちらをご参照ください。
http://www.city.yokohama.lg.jp/kenko/eiken/idsc/disease/chicken1.html