前回、前々回に続いて、アメリカでの精神科受診にて、どのような質問をされ、どのように答えたらいいのかを説明します。
今回はSchizophrenia and Other Psychotic Disorder 統合失調症および精神病性障害とSubstance-Related Disorders 物質関連障害、Developmental Disorders 発達障害などについて。
Schizophrenia and Other Psychotic Disorder 統合失調症および精神病性障害:
妄想性障害の患者さんは、御家族や仕事仲間が「何かおかしいぞ?」と気づき、その紹介で受診される方が多いです。主な症状としては次のようなものがあります。
1)Delusions 妄想: 非合理、非現実的な思い込み。この有無を聞く際、このような思い込みがある患者さんに対して、非合理な思い込みはありますか?と聞いてもあまり正確な情報が得られないことが多いので、医師は質問を工夫します。よく使われる質問としては、次のようなものがあります。: Do you ever feel like you are receiving messages from the radio? ラジオからメッセージを受信したように感じることはありますか? Do you ever feel like people know what you are thinking? 他の人に考えを読まれていると感じることはありますか?Do you have special powers? 超人的な力を持っていますか?
2)Hallucinations 幻覚:Do you ever hear voices that are not real? 実際にはない声が聞こえることはありますか?
3)Disorganized speech 解体した会話:会話に関しては、質問ではなく、面接の中で医師が症状をピックアップすることがほとんどです。
4)Grossly disorganized or catatonic behavior ひどく解体した行動、緊張病性の行動:行動に関しても、面接中の行動や御家族の報告がたよりになります。
5)Negative Symptoms (affective flattening, alogia, avolition) 陰性症状(感情の平板化、思考の貧困、意欲の欠如):こちらも面接中の様子とご家族などの報告によってピックアップ。
Substance-Related Disorders 物質関連障害:
Do you use any alcohol, prescriptions drugs or illegal substances?
アルコール、処方薬、違法の薬物の使用はありますか?
How much and often do you use them?
どのくらいの量と頻度で使いますか?
Developmental Disorders 発達障害:アメリカでは小児精神科受診率が日本とは比べ物にならないほど高いです。この場合、多くの情報は親や学校の先生から収集されます。どのようなことでお子さんのことが心配なのかを、伝えてください。
どんな障害、症状であれ、精神科受診以外に、アメリカ公立学校はお子さんが学校でちゃんと学ぶことができ、ちゃんと社会生活が送れるように、心理テストの施行や、個々の症状に合わせた対応をしなければならない義務があります。例えば、ADHDなどのお子さんで、先生が授業中に出した課題を1回聞いただけでは忘れてしまうというお子さんには、課題のリストを黒板に書く、もう一度その子にだけ課題の内容をリピートする、また先生からご両親に課題リストとその子の学校での様子を毎日emailで報告する、などの対応を、学校側が手配する義務があるのです。小児精神科においては、薬理的、行動的、心理的治療、そして学校とご家族の協力によって、患者さん(お子さん)にかなりの変化が見られますので、お子さんが苦しんでいるようでしたら、また親の目から見て、何かがおかしいと思ったら、是非とも躊躇せずに小児精神科を受診してください。
これは私の専門分野なので、細かく書き出すと止まらなくなるため、小さくまとめさせていただきますが、小児精神科では、今まで記したうつ病、不安障害などの他に、次の障害がよく目にします。
Pervasive Developmental Disorders 広汎性発達障害(Autism自閉症, Aspeger’s Syndromeアスペルガー障害など)
Learning Disorders 学習障害
Attention Deficit Hyperactive Disorder (ADHD) 注意欠陥多動性障害
Communication Disorders コミュニケーション障害
…..もちろん精神科で見る病気はこの他まだまだありますが、最も頻繁にみられるタイプの病名、症状に関して書きました。
精神科は、この数十年でずいぶん進歩を遂げ、実際によく効く治療法がたくさん生まれました。とくにアメリカでは日本と比べ、精神科医の数、パラメディカル(心理士やソーシャルワーカーなどの職種)、薬の種類やサポートシステムも多く(もっと増えてほしいですが)、さらにネガティブな偏見は少ないので、是非とも必要な際には躊躇せずに利用してください。
久しぶりにあめいろぐを見て内田先生を発見しました!「日系ボストニアンサポートライン」の渡邊です。お元気ですか。いつぞやは本当にお世話になりました。
なかなか実際にお目にかかるチャンスがないのですが、きっといつかと楽しみにしています。
折に触れてMGHに内田先生がいらっしゃいますよと患者さんにはご紹介し、サイトにも情報を載せています。これからもどうぞ宜しくお願いたします。(記事と関係のない挨拶でごめんなさい)
はじめまして。日本で精神科医をしています。気分障害患者を中心に復職支援デイケアを
古峡みはまクリニックで行っています。
産業ストレス学会でシンポジストをしたことで原稿を作成したことから、
ふと海外では気分障害のデイケア、復職支援デイケアなどは行われているのだろうか、と思いつき
ネット検索してこちらにたどりつきました。
内田先生はアメリカで精神科医をされているということで
アメリカで気分障害のデイケアが行われているのか、行われているとしたら実際どのように
プログラム構成されているのか、よかったら教えてください。