先日、群馬県前橋市で開催された、第53回日本小児血液がん学会に参加してきました。小児血液と小児がんの結びつきは、血液内科と腫瘍内科のそれよりもずっと強く、基本的には二つの専門を兼ねる小児科医がほとんどです。より細分化された専門家としてのキャリアを歩むこともありますが、基本となるトレーニングと生涯教育は、両分野で行うことが世界的にも一般的です。日本では、学会が別々の経緯で設立され、日本小児がん学会は、歴史的に小児外科のかかわりや貢献が大きく、小児血液学会は日本血液学会との関係が強かったため、これまでは学会として独立していました。しかしながら、サイエンスが近く、小児科医サイドの学会員や学術集会への参加者がほとんど重複していることもあり、ようやくこの2学会が合併することになりました。これで、重複領域や境界領域の問題が解消し、スリムな体制で求心力や発信力が増すことが期待されます。
また新たに制定される、小児血液がん専門医制度も学会を中心に、制度の詳細および資格試験について議論・準備されています。ただし、学会が専門医制度の制定の中心になるのは当然ですが、専門医制度そのものの運営は学会から独立するべきだと考えます。学術研究と臨床医学のクオリティコントロールは別次元であり、これを混同するとゆがんだ専門医制度になってしまいます。たしかにリソースは限られていますが、小児がん医療を支える組織としては、学会、専門医機構、臨床試験団体が独立して機能することが重要だと考えます。
ちなみにアメリカでは上記の3種類の組織は、それぞれASPHO、ABP、COGという完全に独立した団体が運営しています。いまは移行期でしょうが、日本でも独立性と透明性の高い組織を、速やかに確立してほしいと思います。