小児がん診断までのプロセスは、白血病のように血液か骨髄の検体を、顕微鏡で見て即日につく場合と、外科系医師の手術または生検後、病理医による診断がでるまで長いときには1週間近く待つ場合さまざまです。近年、遺伝子異常などの分子生物学的検査によって、小児がんの詳しい亜型がわかるようになり、亜型によって同じ診断名の小児がんでも、予後が大きく異なることがわかり、治療法まで変わることになります。したがって、通常数年から10年近く情報が遅れる傾向にある市販の教科書やマニュアルに書いてある知識では、専門医のとして診断・分類・診療を行うのに不十分です。最新の診断分類基準、治療ガイドラインおよび臨床試験結果に精通してはじめて、その時点で標準治療と考えられる医療が提供できます。とくに欧米では日本以上に、小児がんエキスパートの細分化が進んでおり、小児がん専門医の多くは、さらに自分が得意とする分野に集中して診療や研究活動を行うことで、最新かつ最適な医療を提供しようという傾向が強くなっています。小児がん専門医して共通して身につけて随時アップデートしなければいけない、知識・技術・経験に加え、より細分化された領域で抜きん出たエキスパートになるための自己鍛錬が必要とされています。
(続く)