小児がんは、未来ある子供たちの命を脅かす病気であり、最重要な医療課題です。しかし発生頻度が低く、未成年患者や孤立して病気と闘うことで精一杯の家族の声が、政治や行政に届きにくいため、患者支援や小児がん研究に対する、公的なサポートが不十分です。これまで、日本のがん対策計画からずっと抜け落ちてきた小児がんですが、今年は国のがん対策政策見直しの年に当たり、小児がんに初めてスポットライトが当たっています。厳しい来年度予算ですが、来年度予算案の概算要求に小児がん対策予算が計上されています。ぜひ、実現して欲しいと思います。
日本を始め、多くの国の財政状況が厳しい時代、民間のチャリティ団体による支援は、小児がん医療の発展に不可欠の存在になってきています。私も、先日あるチャリティ団体のイベントに参加し、小児がん治療で髪が抜けてしまう子供たちと気持ちをひとつにするため、そしてコミットを周りの人に認知してもらい、サポートしてもらうため、頭を丸めてみました。この組織は全世界でイベントを開催し、昨年は2000万ドル以上の寄付を集めました。この寄付金はすべて小児がんの治療成績向上のための研究費として使われます。
http://www.stbaldricks.org
私たちすべての希望であり宝である、子供たちの命を脅かす小児がんとの闘いは、病院で、家庭で、そして研究室で日夜続いています。ひとりでも多くの人に小児がんについて正しく理解してもらい、支援していただければ幸いです。これから、いろいろと小児がんに関する話題を、テキサス州ヒューストンから発信していきたいと思います。
ブログについて
小児がんの診療と研究における最新の話題を提供したいと思います。米国のNational Cancer Instituteが発行しているCancer Bulletinや学術雑誌などから、米国発の関連ニュースを提供したいと思います。日本ではなかなか情報が入らない、新薬の治験結果なども積極的に取り上げたいと思います。
寺島慶太
名古屋大学医学部を卒業し、6年間の国内研修後、ニューヨークで小児科レジデント研修を行う。その後ヒューストンで小児血液腫瘍および小児脳神経腫瘍フェローシップ研修を行う。現在、小児腫瘍専門医として、テキサス小児病院およびベイラー医科大学で、小児脳腫瘍の診療と研究に従事している。日本で小児脳腫瘍の包括的診療研究プログラムを立ちあげるのが目標。
あめいろぐの活動を
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小児がんに関する話題、楽しみにしています。
ところで、Cord Blood Bankingに将来はあるのでしょうか?
機会があったらぜひ教えてください。
Cord Blood Banking (臍帯血バンク)は、小児がんや、先天性疾患の治療にとって、とても重要なリソースですし、これからますます臨床応用が期待される再生医療の分野でも、幹細胞のソースとして注目されています。
ただし、Cord Blood Bankingには営利目的のprivate bankと、社会全体に奉仕するための公的バンクがあり、多くの方はその違いを知りませんし、宣伝が上手なのはもちろん、プライベートなほうです。しかしながら、個人でバンクした臍帯血が、その個人や家族のために使われる確率は非常に低く、多くは永遠に使われることのない臍帯血を液体窒素下に長期保存する、多額の保管料などには、さらに営利企業の運営費と利益が上乗せされています。
プライベートバンクの理念を否定するわけではありませんが、臍帯血移植をよく知っているものとして、臍帯血の保存を考えている方すべてに、公的バンクに保存することをお勧めします。
それは知りませんでした。勉強になります。そういうなかなか外から見えない業界の現状もぜひ教えてください。