マイアミすくすく会の活動として、何度か日本語補習校で医療講演をさせていただいています。その中で米国での小児医療について何度か話をしました。その内容を何回かにわけてお話しします。
第一回目は一般小児科医へのかかり方です。
英語で、一般小児科医は”General Pediatrician”といいます。一番多いのは開業医です。個人で開業している場合もあれば、複数の医師とグループを作って開業している場合もあります。グループ開業の場合は主治医が休みの日でもグループ内の他の医師に診てもらえるメリットがあります。大きな病院に一般小児科外来が設置してあるところもあります。こちらの利点は、血液検査、放射線検査が同じ建物内でできる、循環器科や消化器科などの専門科との連携が迅速であるなどでしょうか。
1)どうやって一般小児科医を探せばいいですか?
二つ方法があります。ひとつめは加入した民間保険会社のホームページなどから近所の小児科医を探すことです。米国の医療保険制度は複雑怪奇で、医療者である私でさえも完全には理解できません。ただ、米国市民権や永住権をもたない日本人に適用される公的保険は存在しないので、個人または雇用先を通じて民間保険に加入するしかありません。開業医や病院はいくつかの民間保険会社と契約を交わしていますが、契約していない保険会社もあります。もし、小児科医が自分が加入した保険と契約してない場合、診療してくれないか全額自費での診療となってしまいます。さらに、何回か診察したのちに”来月からあなたの保険会社と契約をしないのであなたは診療できません”なんてことも実際におきている話です。
ふたつめは、口コミで聞いた評判の良い小児科医の外来に電話して自分が加入している保険をとるか聞くことです。しかし、いくら気に入った小児科医でも、前述の通り自分の保険をとらなければ診療してもらえない、もしくは全額自費診療になってしまうのでご注意ください。日本の常識からすると、考えられないことですよね。
2)どんなときに一般小児医にかかるのですか?
一番多い理由は健康診断です。米国では日本のように保健所での集団健康診断、集団予防接種はありません。そのため、定期検診のたびに一般小児科医の外来に通います。特に、新生児/乳児の場合、生後1週間、2ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、12ヶ月と数ヶ月ごとに健康診断と予防接種を受けます。これはwell visitといいます。
一方でかぜをひいて具合が悪い時にかかることをSick visitといいます。しかし、ただ病院・外来に連れて行けばいいわけではなく、まず電話で予約をとらなければなりません。予約をせずに直接みてもらえるのは、いわゆるEmergency Room(ER)やUrgent Careとよばれるものです。これらについては別の回にお話したいと思います。
こどもの具合が悪く、小児科医の先生に診てもらいときは、なるべくはやくかかりつけの小児科医に電話しましょう。平日の時間内に電話すれば、その日のうちに診てもらえる可能性は高いです。時間外であっても、伝言を頼めば、当直の小児科医が折り返し電話をかけてきて、助言を求めることもできます。
3)どんな小児科医がお薦めですか?
先生に質問しやすいことは大きな要素です。こどもが小さいうちは、健康診断で頻繁に訪れます。育児上の問題や悩みは、些細なことまできちんと質問し、納得のいくまで繰り返し聞くことが大切です。英語での会話に不安がある場合などは特に、こちらの質問に丁寧に答えてくれる先生は信頼できるでしょう。その他には、予約が電話だけでなく、メールでもとれる。スタッフが親切である。グループ開業をしていて、自分の主治医以外の先生も評判が良い。具合が悪くて入院となったときにも、病棟で担当医になってくれる。などがあげられます。