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宮下浩孝

ブログについて

腫瘍内科の歴史が長い米国での臨床トレーニングの体験をシェアすることで、医学生や若い医師が腫瘍内科に興味を持つきっかけになりたいです。

宮下浩孝

2017年東京大学医学部卒業。東京大学附属病院での2年間の臨床研修、ニューヨークのマウントサイナイベスイスラエルでの3年間の内科研修を経て、2022年7月からダートマス大学にて血液、腫瘍内科フェローシップを開始。 固形腫瘍に対する新たな治療の確立に貢献したいと考えています。

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アメリカの卒後臨床研修は7月1日から新たなacademic yearに入ります。私も2023年7月から2年目のHematology/Oncology Fellowとなり、新たな一年を開始しました。2023年6月から8月までは年度の切り替わりで1年目のフェローがオリエンテーションを受けるため、2年目のフェローのみで病棟やコンサルトを担当することとなり、私も6月と8月に血液内科病棟、7月に腫瘍内科コンサルトと、比較的忙しいローテーションで勤務しました。幸い9月からは1年目フェローが本格的に臨床業務を開始するため、私もリサーチなどに充てる時間を得ることができています。

今回はHematology/Oncology のフェローとしてどのようなことを考えながら研究をしているのかをご紹介したいと思います。

 

研究テーマ

研究テーマはとても自由に選ぶことができます。指導医がすでに行っている研究に参加しながら自分自身のテーマを探すのも良いでしょうし、もし自分でテーマを見つけているのであれば、指導医に助言を仰ぎながら一から自分で研究を開始することもできます。

研究の内容としては、フェローが大きいトライアルのPrincipal Investigatorになることはなかなか難しいため、後ろ向き研究や、小規模な前向き研究を行うことが一般的かと思います。前向きの研究となると、3年間のフェローシップ期間中に研究を完結することは難しいため、フェローシップ後も見据えて計画を立てる必要が出てきます。

私の場合は、転移性膵癌、胆道癌において、特定の遺伝子変異がどのように予後に影響しているか、また、その変異の有無によって化学療法の内容を変えるべきか、といった内容の研究を後ろ向きに行っています。後ろ向き研究で意味のある結果が得られれば、その結果をもとにトライアルを立案できれば良いと考えています。

 

グラント

研究を行うにあたって必ず検討しなければならないこととして、どこから研究費(グラント)を取ってくるか、ということがあります。幸いフェローの間は研究も研修の一部ということで、自ら研究費を取らなくても、給料をもらいながら研究活動ができます。しかしながら、一旦指導医の立場になると、研究費を得ることなく、自由に研究に時間を使うことはできません。職務の一部として研究活動を行いたいのであれば、最低限自分のサラリーを賄えるだけのグラントを取ってくる必要があります。そのため、グラントを得る能力は、Clinician Scientistにとって非常に重要となります。

アメリカ市民やGreen Card Holderであれば、NIHグラントに広く応募できますが、私のようなビザホルダーであれば、応募できるグラントも限られてしまいます。とはいえ、Oncologyの分野はグラントが豊富であり、私が応募できるものもいくつか存在します。

 

施設のグラント:Dartmouth Cancer CenterではProuty Pilot Grantといって、施設内でのがん研究をサポートするグラントがあります。Proutyという歴史あるボランティア活動での寄付で賄われています。

地方会のグラント:Dartmouth Cancer CenterはNNECOS(Northern New England Clinical Oncology Society)という腫瘍内科の地方会に所属しており、この地方会がResearch Grantを募集しています。

学会グラント:ASCO Young Investigator Awardのような、主にフェローを対象としたグラントが大規模に募集されています。

NIHグラント:非常に狭き門ではあるものの、K99/R00グラントはNIHグラントの中でGreen Cardを持っていなくても応募できます。

 

グラントへの応募もフェローシップのトレーニングのの重要な一要素として指導を受けることができます。今後も上級医の指導を仰ぎながら研究を進めていきたいと考えています。

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