(この記事は、『アメリカでお医者さんにかかるときの本』の内容を一部抜粋・修正して掲載しています。書籍の概要は保健同人社、Amazonでご確認ください。)
前回に引き続き、渡米前に準備した方がいいと考えられる医療情報をまとめていきます。今回は、薬とアレルギー歴を記載する際の注意点です。
5.日米で異なる用量用法の記載のしかた
服用している薬についても、医師からの英語の紹介状があるとベストですが、それが得られないときは、英語でリストを作っておくとよいでしょう。このとき、日本とアメリカでは用量用法の記載が異なることがあるので、注意が必要です。日本の処方箋では1日の分量とそれを何回に分けて服用するかが記載されている場合があります(300mg分3など)が、アメリカでは必ず1回量とそれを1日何回服用すべきか記載されています(100mgを1日3回など)。最近では日本でも1回量を記載するようになってきていますが、1日量で記載されている場合、そのままアメリカの医師に伝えると用量を間違えてしまう可能性がありますので注意しましょう。
6.薬は商品名ではなく成分名を英訳しましょう
日本の薬の商品名はアメリカでは通用しないことがほとんどです。薬を英訳する際は、商品名ではなく必ず成分名を使うようにしてください。日本でもらっていた薬のシートやボトルをもっていくことも一つの手ですが、その場合は自分で英語に訳すか、医療関係者に事前に英訳してもらうかし、もしそれが無理ならば、診察の際に通訳できる人がいるかどうかを確認するようにしましょう。
7.アレルギー歴は出た反応まで具体的に
アレルギー歴については、「何の薬」に「どのような反応」をしたのかを知っておくことが大切です。患者さんから「小さいころに抗生物質で反応が出たことがあると親から聞いたが、詳細はわからない」という話を聞くことがありますが、これではあまり参考になりません。具体的にどの抗生物質(ペニシリン、サルファ剤など)にどのような反応(アナフィラキシー、じんましんなど)が出たのかが重要な情報となります。たとえば、「ピリン系」の薬に反応が出ると言われたことがある場合ですが、「ピリン系」という言葉はアメリカでは通用しません(さらに、ピリン系薬剤はほとんど使用されていません)。「ピリン系」はスルピリン、アンチピリンなどの解熱鎮痛薬の一種を指しますが、アスピリンは「ピリン系」ではありませんので、間違って伝えないように注意しましょう。医療関係者にとってアレルギー歴を正しく知っておくことは、非常に重要です。もし可能であれば前記の点に注意したうえで、事前に調べておきましょう。
医師の診断および治療は、これらの情報の正確さに大きく影響されます。渡米してからの面倒を避けるためにも、余計な検査を受けない(そして余計な出費を避ける)ためにも、これらの情報を余裕をもって準備しておくようにしましょう。
ーーーーーーーーーーーー
より詳細な内容を知りたい場合は、アメリカで活躍する20人の医療従事者が執筆した『アメリカでお医者さんにかかるときの本』をご参照ください。保健同人社、Amazon、Kindle、アメリカ紀伊国屋、など多くの書店およびオンラインショップで手に入れることができます。