(この記事は、『アメリカでお医者さんにかかるときの本』の内容を一部抜粋・修正して掲載しています。書籍の概要は保健同人社、Amazonでご確認ください。)
渡米前の準備として、まず医療情報の英訳が挙げられます。普段から医師にかかっている人、妊娠している人、子どもがいる人など、確実に渡米後に医師にかかる必要がある場合は準備をおすすめします。
1.既往歴や検査歴を英訳しておきましょう
とくに慢性疾患のある方、常用薬がある方は、それらの情報を日本にいるうちに確認し、書面にまとめておくことを強くおすすめします。アメリカの医師にとって必要な情報のうち、渡米前に準備したほうがよいものは、過去の病気や手術などの既往歴、過去の検査歴、ワクチン接種歴、服用している薬、アレルギー歴です。
2.医師に英語の病歴要約を書いてもらいましょう
過去の病気や手術歴については、自分で英語で書き出しておくか、医師に英語での紹介状(病歴要約)を書いてもらうとよいでしょう。かかりつけ医に頼んでみるか、近隣でそのようなサービスを提供しているクリニックがないか調べてみてください。もし紹介状がもらえなくても、英語の病名や手術名がきちんとわかっていれば、たいていの場合は大丈夫です。ただし、がんで治療を受けた場合などは、どれくらいの進行度でどのような病型だったのか、どのような治療をどのタイミングでどれくらい受けたのかといったくわしい情報がとても重要となります。
自己免疫疾患や精神疾患などで治療が長期にわたっている場合は、過去の治療歴や、それに対する反応などを医師に知らせることが治療計画を立てるうえで大切です。したがって、過去に病気をした、もしくは治療中の病気がある場合は、渡米前に十分余裕をもって担当の医師に相談し、必要な情報をまとめてもらうようにしましょう。日本語で病歴要約を書いてもらえさえすれば、それを英語に翻訳する民間サービスもありますし、渡米後に日本語の話せる医師にそれを英訳してもらうことも可能です。
3.過去の検査歴もまとめておきましょう
過去の検査歴については、直近の血液検査の結果はぜひ手に入れておきましょう。何らかの基礎疾患があって定期的な血液検査をしている場合、過去6ヵ月から1年分くらいの検査結果を持参するとよいでしょう。冠動脈造影検査や内視鏡検査、MRIなど比較的手間のかかる大きな検査をしたことがある場合、その結果を英訳してまとめておくと非常に役に立ちます。X線やマンモグラフィーなど比較的簡単な検査についても、異常所見などがある場合にはその情報もあると役に立ちます。これらの情報を十分に把握しているかかりつけ医がいる場合は、それも紹介状に含めてもらうようにお願いしてみましょう。別々の場所でこれらの検査をした場合は、手間がかかりますが、個別の医療機関から検査結果をもらう必要があります。検査で見つかった異常所見について継続的な治療もしくは再検査が必要な場合には、そのときの検査の実際の画像があると、のちのち役に立つ可能性が高いです。検査を実施した病院や医療機関からDVDなどで画像データをもらえる場合には、もらっておくことをおすすめします。
4.ワクチン接種歴は入学や雇用時に必要です
ワクチン接種歴では、母子手帳などを参考に今まで受けたワクチンのリストを、接種した西暦年(もしくは年齢)とともに書き出しておいてください。おたふく風邪(Mumps)や水ぼうそう(Varicella)にかかったことがある場合は、その旨を記載しておきましょう。BCGの接種歴、およびツベルクリン反応で陽性が出たことがある場合は、過去のX線検査の結果(異常所見の有無など)を追加しておいてください。これらは子どもやあなた自身が学校に入る際、もしくは雇用時に必要になります。日米ワクチン変換アプリ(https://ameilog.com/vaccineja)を使えば、日本で受けたワクチン履歴を英語に変換できます。
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