先月フロリダのオーランドで行われたAmerican College of Preventive Medicine / Medical Quality Conference（予防医学・医療の質学会）に参加してきました。内科学会などに比べると小規模の学会ですが、とても有意義な経験ができました。しかも、そこで日本人の先生にお会いするという、全く予想だにしていなかったこともありました。その先生とは、日本で医療の質に対する意識を高めるためにはどうしたらよいかなど、充実した議論ができました。今後一緒にプロジェクトを立ち上げましょうという話にもなり、今からとても楽しみです。こういう機会を通じて、志を共有できる知り合いができるのは嬉しいですね。

このカンファレンスは米国予防医学学会が、医療の質学会及び生活習慣学会と共催しています。一次予防（疾病の発生防止）から三次予防（合併症防止）までを広くカバーし、臨床予防医学、公衆衛生、産業医学、医療安全、医療制度など様々なテーマを議論します。運動や食事といった生活習慣、ヨガや太極拳を含めた統合医療、ソーシャルメディアの活用による啓蒙活動なども、今回のカンファレンスでは取り上げられていました。この幅の広さは予防医学会ならではの特長でもありますが、同時に焦点を絞ることが難しくなり、学会のテーマやメッセージが伝わりにくい面もあると思いました。

学会に参加している多くは医師ですが、実に様々なセクターで働いています。多いのは、FDAやCDCといった国の機関の医療行政官、州や市の公衆衛生医や保健行政医、地域コミュニティーの臨床医、軍隊の産業医です。他に航空医学、製薬会社、医療コンサルタント、病院管理経営などの分野で活躍している医師がいます。このように、予防医学会に参加している医師のキャリアトラックに大きな幅があり、興味も広範に渡ることが、その運営の難しさにも直結しているような気がします。しかしながら、様々な分野で活躍する医師と会って直接話ができるのは、この学会ならではの利点だと感じました。

今回はこの学会でポスター発表をしてきました。院内血液検査のオペレーション改善に関する取り組みの発表でしたが、多くの人に興味を持っていただけたようで何よりでした。ポスター発表って、決まった時間枠を与えられたプレゼンテーションとは違い、相手の興味の範囲（と興味の程度）に合わせてすごく簡潔にポイントだけを話したり、少し長めに話したりの調節が難しいです。あと、多くの人は歩きながらポスターをチラ見していくことが多いので、どれだけタイトルとグラフなど目につきやすいところで聴衆を惹きつけられるかが大事な気がします。今回のポスターはちょっとタイトルが長かったので、もう少し短くまとめた方がよかったかなと思いました。

次の職場のメイヨークリニックで直接の上司にあたる人が今回のカンファレンスの実行委員長をされていて、その方を通じて色々な方と知り合いになれたのも大きな収穫でした。中日の夜にはメイヨークリニックアラムナイによる夕食会も開かれ、顔合わせを含めて楽しい時間を過ごせました。

次回以降、カンファレンスでどんな内容のことが議論されていたか少々詳しくレポートしていきます。多くの方があまり馴染みのないテーマも含まれていると思うので、分かりやすく解説していきたいと思います。

＊写真は学会が行われたホテルの風景ですが、実際のカンファレンスの内容とは直接関係がありませんので、ご注意ください＊