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日本にはないミッドレベル医療従事者(Mid-Level Provider)が、どういう風に医療貢献できるか、勤務経験を元に書いていきたいと思います。

ノール 玲子

医者でもない看護師でもない、ミッドレベル医療従事者—フィジシャンアシスタント(PA)。アルダーソンブローダス大学PAプログラム卒業後から救急医療科勤務。

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2017/10/10

医師の下で診療を行うPAの魅力とは

(この記事は2017年9月13日に 活動的な高度な自律的なナースのための情報サイト 日経メディカルAナーシングhttp://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/anursing/ameirogu/に掲載されたものです。該当記事をご覧になるには会員登録が必要です。)
 

私の職業はフィジシャンアシスタント(PA)。日本にはない職種である。医師ではないし、看護師でもない。どちらかと言うと、医師の方に近く、簡単に言ってしまえば、医師の下で医療を施す職業である。医師の右腕と言ってもよいかもしれない。

私は今、病院の救急医療科のPAになって10年になる。なぜ、医師ではなくPAの道を選択したのかと聞かれれば、主人の仕事で引っ越しが多かったため、大学卒業後4年間のメディカルスクールとその後の臨床研修の期間、1カ所にとどまることが困難だったから、さらには、日本にない職業だから、いつかは日本に紹介したいと考えていたからだ。だが、甘い考えはすぐにぶちのめされた(笑)。

思っていた以上に厳しかったこれまでの道のりを少し紹介しよう。PAになるためには、大学卒業後、2年半~3年間のPAスクール(大学院)を修了する必要がある。大学院に行くために必要な試験としてGRE(Graduate record examination)かMCAT(Medical College Admission Test)を受け、PAスクールに願書を出す。多くのPAスクールではこれらの試験結果と願書などによる書類審査を行った上で面接をし、合否が決まる。さらには、応募に必須の条件として、なんらかの形で、医療に携わった経験が500~1000時間必要な学校もある。私は10年近くEMT(Emergency medical technician)として働いていたので、これは気にはしなくて済んだ。

PAスクールでは、メディカルスクールで最初の2年間に習う内容を1年から1年半で習い、メディカルスクールでは2年間でまわる病棟実習のローテーションを1年半で終わらせるという、かなりハードなプログラムである。薬剤に関する試験の前夜には、夢に何度薬の名前が出てきたことか……。病院実習では、医師の回診についたり、手術室に入り、アシスタントとして何時間も立っていたこともある。2年半~3年間のプログラムを卒業し、国家試験に合格すれば、めでたくPAの免許を取得できる。 

アメリカでは、医師は各診療科の専門医数に制限があるが、PAの場合卒業後にどの診療科を選択するかは個人の自由だ。私は、ある病院の心臓科、心臓外科、一般外科、救急科で面接を受け、一番気に入った救急科を選んだ。医師ではないのでできることにある程度の限度はあるものの、私はこの仕事が好きだ。

仕事の範囲はあいまいで能力次第で職域広がる

私の仕事内容は、はたからみると医師とあまり変わらない。簡単に言うと、患者を診察し、検査をオーダーし、診断したら、治療してそのまま帰ってもらうか入院させるかを決める。ただ、医師は一般的に、重症者を診る。私達PAももちろん重症者を診ることはあるが、その場合、必ず医師と連携しながら、患者をマネージメントする。少しでも疑問があれば、どんなに簡単な症状でも医師に質問するようにしている。しかし、病院と時間帯にもよるが、特に夜中、少数の医師とPAまたはNP(ナースプラクティショナー)だけになるような時間帯には、医師の補助として私が心肺停止や心臓発作を起こした患者を診ることもあるし、創部の縫合はもちろんのこと、胸腔ドレナージも行う。

このような高度な医行為まで担うようになった背景には、10年間という長い間一緒に仕事をしてきた医師達と築いた信頼関係とパートナーシップが関係しているかもしれない。PAの仕事の範囲は明確には定められておらず、実際には私のように、それぞれの医療現場のニーズやPAの能力に合わせて業務範囲は決まり、能力が上がってくると任される役割が拡大してくるケースも多い。もちろん、同じ救急医療の現場に携わって10年経った今でも、毎日新しいことを学び、頭を悩ますこともある。それでも、私は救急医療が好きなので、仕事がどんなにきつくても楽しい。 

私は現在、病院と契約を結んでいる派遣会社に籍を置いており、そこから決まった病院に派遣されている。現在は2つの病院を掛け持ちしているが、最近さらに別の病院から仕事の依頼が来たので、そのうち3つの病院を掛け持ちすることになる。病院毎に医療提供システムや電子カルテが違うためそこはストレスになるが、仕事の内容自体は病院が変わっても変わらないので、楽しめるだろう。

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