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ブログについて

世界各地で子育て奮闘中のお母さん・お父さんから同業の小児科医の先生方まで、いろんな人に読んでもらえるブログを目指します。

佐々木 潤

東京医科歯科大学卒業、横須賀海軍病院を経て、ニューヨークで一般小児研修を修了。現在は、フロリダ州のマイアミこども病院にて、小児集中治療の専門研修中。マイアミ邦人社会の子育ての悩みを解決する場を提供するためマイアミすくすく会を主宰。

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2012/02/29

Tdap/Td Vaccine 破傷風・ジフテリア(・百日咳)ワクチン

破傷風・ジフテリア(・百日咳)ワクチン Tdap(Tetanus, Diphteria, acellular Pertussis) /Td (Tetanus, Diphteria) Vaccine

各疾患についてはDTaPのページを参照してください。

子供用のDTapワクチンを6歳までに5回接種した後に、11歳以降に追加免疫(booster immunization)としてTdapを1回接種します。乳児期に接種するDTaPとの違いは、ジフテリアのトキソイド成分(病原菌の毒素を特別な方法で消失させたもの)が少ないことです。これだけ接種しても獲得免疫能が落ちてくるので、その後は大人になってからも10年に一度の接種が推奨されています。特に屋外で怪我をして、土壌中に棲息する破傷風菌が侵入する危険性が高い傷を負った場合は、医師からTdaPやTdのワクチンを10年以内に受けているかと必ず聞かれるのできちんと確認しておきましょう。

TdapとTdの違いはPertussis(百日咳)の成分が入っているかどうかです。百日咳は数あるワクチンで防げる病気の中でも一番感染力の強い病気で、三種混合ワクチンが普及したにもかかわらず未だに日本では年間一万人の患者がいると予想され、全世界の患者数は年間2000−4000万人で、死亡数は20−40万人にものぼるとされています。大人が感染しても死亡することはありませんが、6ヶ月未満の乳児は重症化する危険性が高く(未熟児、予防接種歴がない場合はさらに)、全体の死亡者の大半を占めます。死亡率は2ヶ月以下の乳児では約1%にもなります。多くの場合、大人や年上の兄弟姉妹が感染し、小さな赤ちゃんにうつします。妊娠中、または妊娠予定のご家族は、大人も含めて家族全員がこの百日咳入りのTdapワクチンをうけて免疫を獲得しておくことが非常に大切です。 そのため、CDCは11〜18歳の青年期、さらに19〜64歳の成人期にこのTdapを一度ずつ受けることを推奨しています。65歳以上の高齢者では乳児とじかに接することがある人や以前にTdapの接種歴がない人がTdapの接種が推奨されています。要約すると、11歳以降にTdapを10年ごとに2回、その後は10年ごとにTdの接種が一般的な受け方です。

日本では11歳以降の追加免疫には破傷風とジフテリアのみのDTワクチンが使用されています。そのため百日咳への感染の危険性が高まることは言うまでもありません。

その他、詳細はこちらのリンク先を参照してください。アメリカの感染症とワクチンの公的機関であるCDCのサイトが公表している案内です。

http://www.immunize.org/vis/td_tdap.pdf

Tdについてのみですが日本語の案内はこちらです。

http://www.immunize.org/vis/jp_td94.pdf

 

8件のコメント

  1. なかざわ より:

    はじめてメールさせていただきます。TDAPの接種について調べていたところ、佐々木先生のブログにいきつきました。横須賀海軍病院でインターンをされていたという事で、お尋ねしたい事があります。私の今の職場の職員は、5年に1度日本の破傷風の予防接種を受ける事が義務付けられています。ところが、今年から海軍病院でTDAPを5年に1度の破傷風とは別に全員に義務付けると言われ、すでに何名かの職員が接種してきました。TDAPは今年接種すれば、次は10年後という理解で大丈夫でしょうか?又、破傷風は、海軍病院とは別に5年に1度接種していますが、過剰摂取という心配はないでしょうか?
    はじめてのメールで質問攻めですみません。よろしくお願いします。

    • 佐々木 潤 より:

      コメントありがとうございます。CDCのウエブサイトを参照する限り、基本的に破傷風(DT、つまり破傷風とジフテリア)の予防接種は10年に一度ですが、今まで一度もTdapを接種したことがなければ、このTdapがその代わりとなります。特に、病院等で働く医療関係者であれば、このTdapを受けることを推奨されています。それは、百日咳への免疫を獲得させるためです。最後のTd(tetanus & diphteria) の接種から最短2年の間隔で、Tdap接種が推奨されています。
      一般的に、今年Tdapを接種すれば、次は10年後となります。Td, Tdapの副作用はほとんどが急性期におこる、接種部位の腫れ、痛みや発熱です。それぞれの接種が数年離れているのであれば、影響はないというの一般的な見解です。乳児などは生後一年は、ほぼ2ヶ月ごとに数種類の予防接種をします。
      最終的には、CDCのウエブサイトを参照していただくのが一番確実かと思います。

  2. 中村 より:

    はじめまして。
    ジフテリアの混合ワクチンを調べていて、こちらに来ました。
    我が家の14才の子どもは、ちょうど11才のころ新型インフルエンザで入院し、体力低下が激しくて、追加接種ができませんでした。同じ理由で、風疹、麻疹混合ワクチンも、日本脳炎も接種できずにいましたが、現在日本では風疹が大流行中で、本日急いで風疹、麻疹を自費接種してきました。
    このあと、ジフテリアなどの混合ワクチンを早めに接種して、受験を迎えたほうがいい、ということがよくわかりました。

    それにしてもアメリカではこんなにワクチンされるんですね。
    日本はまだまだですね。

    • 佐々木 潤 より:

      コメントありがとうございます。この風疹の大流行は恥ずべき事態です。そしてこの流行で間違いなく先天性風疹症候群の赤ちゃんが生まれてきます。我が国は予防接種を徹底しないというとても重大な罪を犯しています。悲しいことです。

  3. 中村 より:

    追伸
    小さいときから虚弱児で、学校より病院にいる時間が長く、また薬アレルギーで漢方を中心に治療してきた我が子ですが、
    高校入試を前にして、医師になりたいと言い出しました。
    まだまだ成績も…でわかりませんが、東日本大震災の被災地域や無医村に勤務したり、アメリカで勉強したりしたい、と頑張っているみたいです。
    先生みたいな方がいらっしゃるのは励みになると思います。これからもご活躍お祈りいたします

    • 佐々木 潤 より:

      コメントありがとうございます。患者であった経験は医師になり、患者さんと向き合う上で強みになります。応援しています。ぜひ夢を叶えてください。

  4. 高梁あきこ より:

    はじめまして。たかはしと申します。
    娘がニューヨークの高校に入学することになりまして、予防接種に関して
    日本とは違い、戸惑っております。
    3種混合についてお尋ねします。
    娘は1997年生まれで、日本で受けるべきものは全て受けました。
    第1期DPT3回・第1期追加DPT・第2期DTの5回です。
    今年4月にまたDPTを接種いたしました。Tdapの接種は必要ですか?それともする必要ありませんか?

    • 佐々木 潤 より:

      コメントありがとうございます。ほんとややこしいですよね。小児科医の私でも毎回、CDCのサイトで確認するくらいですから。
      さて、娘さんは小児期に5回接種して、またDPTを今年接種しているので、Tdapは必要ないはずです。
      次の接種は10年ごとの接種になります。ただ、妊娠した場合に百日咳への免疫性を高めるためにTdapの接種がその時点で推奨されています。
      参照  http://www.cdc.gov/vaccines/vpd-vac/pertussis/recs-summary.htm

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