ジフテリア・破傷風・百日咳ワクチン DTaP Vaccine
DTaP はDiphteria, Tetanus, acellular Pertussis の略で、ジフテリア(Diphteria)、破傷風(Tetanus)、百日咳(Pertussis)の三種混合ワクチンですが、1種類だけのワクチンと同じ効果、安全性が確立されています。
まず初めにそれぞれの病気の説明をします。
ジフテリア(Diphteria)はジフテリア菌による鼻、のどへの上気道感染が主な症状ですが、重症化すると、のどが異常に腫れて気道(空気の肺への通り道)が閉塞したり、心臓の筋肉が侵されたりして死にいたる病気です。ワクチンの導入により患者数は劇的に減り、米国では2003年以降、患者は出ていません。
破傷風(Tetanus)は土の中に棲息する破傷風菌が傷口から入って神経毒素を産生し、口が開けにくくなり全身の筋肉がけいれんする病気です。多くは自分で気づかない程度の小さな切り傷から感染し、最悪の場合背骨が折れてしまうほどの全身性のけいれん発作を伴いながら死に至ります。日本でも毎年100人前後の患者数が報告されていて、米国では1999年以降で毎年40例以下となっています。
百日咳(Pertussis)は百日咳菌による特有のけいれん性の咳発作を特徴とする急性気道感染症です。最初はかぜと同じ軽度のせき、鼻水から始まりますが、次第に一回の咳が長く続くようになり、呼吸のための息継ぎもできなくなるほどで、咳と咳の間に高い声で深く息を吸い込む様子から、英語では別名”Whooping cough”とも呼ばれます。小さな乳児では数秒間呼吸が止まる無呼吸発作を起こします。症状が完治するまで約3ヶ月(100日)もかかり、日本語で百日咳といわれている由縁です。ワクチンで防げる病気の中でも一番感染力の強い病気で、三種混合ワクチンが普及したにもかかわらず未だに日本では年間一万人の患者がいると予想され、全世界の患者数は年間2000−4000万人で、死亡数は20−40万人にものぼるとされています。大人が感染しても死亡することはありませんが、6ヶ月未満の乳児は重症化する危険性が高く(未熟児、予防接種歴がない場合はさらに)、全体の死亡者の大半を占めます。死亡率は2ヶ月以下の乳児では約1%にもなります。多くの場合、大人や年上の兄弟姉妹が感染し、小さな赤ちゃんにうつします。妊娠中、または妊娠予定のご家族は、大人も含めて家族全員がこのワクチンをうけて(大人用はTdap;別項参照)免疫を獲得しておくことが非常に大切です。”acelluar” Pertussisと呼ばれるのは、歴史的に全菌体(whole cell)を使用していたワクチンで熱けいれんや脳症などの重篤な副作用が問題になり、無細胞(acellular)ワクチンが開発された経緯があるからです。
米国でのDTaP(筋肉注射)の標準的な接種時期は、生後2ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、15-18ヶ月、4~6歳の計5回。そして、11歳以降に追加接種として、Tdapを1回接種します。日本では三種混合ワクチン(DPT)と呼ばれ、生後3か月から接種し、18ヶ月までに計4回の接種で米国と同じですが、4~6歳の5回目がなく、11歳以降の追加接種が5回目になります。
その他、詳細はこちらのリンク先を参照してください。アメリカの感染症とワクチンの公的機関であるCDCのサイトが公表している日本語の案内です。
http://www.immunize.org/vis/jpdtap01.pdf
はじめまして。最近、子供のワクチンについて調べていたところ、こちらを拝見しました。
今、韓国在住ですが、韓国はBCGと日本脳炎以外はアメリカと同じようです。(接種回数、時期など)
アメリカはワクチン先進国?だそうですね。日本は先進国なのに、遅れていると見ました。
それまで、日本は進んでいるものだとばかり思っていて、びっくりしました。
質問ですが、DTPとDTaPは違うのでしょうか?
日本のワクチンをみると、DTPなんですが、韓国ではDTaPです。
私の子は今、6ヶ月になったばかりで、2ヶ月、4ヶ月、6ヶ月のDTaPを終えました。次は15~18ヶ月と4~6歳となってます。
来年、子供が12ヶ月になるころ、日本へ戻らないといけなくなりました。
ほかのワクチンも4~6歳接種が3種類くらいあるので、それにあわせて韓国へいくか考えてますが、
DTaPの12~15ヶ月の韓国への滞在は難しそうです。
でも、今までDTaPをうってたのに、急に15~18ヶ月から日本のDTPと混ざってもいいのか、、
それとも、おなじものなのか、、、よく分かりません。
初めてのコメントで申し訳ないですが、できましたら教えてください。
コメントありがとうございます。
僕も実は確信がなかったのですが、厚生労働省の資料等をみると、日本で使用されているのはDTaPです。ですので、同じものであるはずです。
帰国される前に自治体の保健所等に問い合わせるのが確実な方法かと思います。
はじめまして。
4歳の娘を持つ母親です。東京在住です。
三種混合ワクチン(DPT)計4回は日本の一般病院にて接種済みです。
別の外人向けの病院で不活化ポリオの予防接種を受けた際に
(不活化ポリオが一般の病院で普及していない時期に受けたので)
米国ではDPTを4~6歳に5回目を打つので、4歳になり不活化ポリオの4回目を接種する際、同時接種をした方がいいと勧められました。
近くポリオの4回目を接種予定で、
日本のスケジュールにない5回目が本当に必要なのか迷っております。
①5回目を打った方が断然ワクチンの効力が増すのか(4回では不十分なのか?)
②どうせワクチンの効力はいずれ切れてしまうのなら、
4回打った効力が効いている今よりも、大人になってからもう一度DPTを
追加で接種した方がよいのではないか
コメントをいただけませんでしょうか?
また、DPTについてではないのですが、
以前3回接種したポリオのメーカーがIPV MERIEUXとなっております。
これは日本が導入したサノフィパスツール社のイモバックスと別物でしょうか?
③やはり、4回目も可能であれば同メーカののものを接種すべきでしょうか?
以上①~③点
お忙しいところ恐れ入りますが
もし、ご回答いただけたら幸いでございます。
よろしくお願い申しあげます。
コメントありがとうございます。
米国のCDCの推奨スケジュールではDTapを4-6歳で5回目を接種し、Tdapを11-12歳で接種して、その後は10年ごとにTdapを成人してからも接種します。
DTapとTdapの違いについては、私の書いたワクチン情報集Tdap を参照してください。
米国で5回目を接種するのは、医学的にDPTに対する免疫が落ちるからです。そして、その後も10年ごとに接種するのも同様の理由です。
風疹が大流行している例からも明らかなように、日本の予防接種回数は医学的にみて不十分です。
3についてですが、メーカーが違っても医学的効果は同じです。
日本の予防接種情報については以下のサイトがお薦めです。
http://www.know-vpd.jp/
佐々木先生、初めまして、りんりんと申します。
子ども達のアメリカ現地校入学を控え、予防接種について色々と調べております。
(こちらにはDTP、DTap 、DTの違いについて検索した所辿り着きました。)
必要な予防接種で不明な点がありまして質問させて頂きます。
中3、中1の子どもがおります。
①HIBの予防接種は5歳以上で未接種の場合は受けないで良いのでしょうか?
②ポリオは経口生ワクチンを1歳の頃に2度接種しておりますが、アメリカでは不活化ワ クチン接種と聞いております。
私どもの通う予定の学校は、接種回数が4回必要なのですが、生ワクチンもカウントに入れ、残り2回接種で良いでしょうか?
③B型肝炎につきまして、以前の中国駐在を機に接種しております。
中3の子は3回接種済み(最終は2009年3月)
中1の子は3回目の接種の際の一時帰国時に、体調を崩していた為3回目を接種しておりませんでした。 (最終2008年5月)
2回で中断した場合は、接種し直しでしょうか?
もしくは、2人とも接種後より年数が経過しているので、一から接種でしょうか?
また、①〜③につきまして、今から渡米するまでの期間で出来るだけ日本で接種して行べきか、渡米後に足りない種目について確認後接種するべきか、悩んでおります。
こちらに質問させて頂いて良いのかどうか迷いましたが、
私が英語の勉強不足であるのと、日本のかかりつけ医にはおこたえが頂けなかったので、藁をもすがるつもりでこちらに質問させて頂きました。
お忙しい所、大変恐縮なのですがお教え頂けましたら幸いでございます。
よろしくお願いいたします。