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ブログについて

Born in Japanだが医者としてはMade in USA。日本とは異なるコンセプトで組み立てられた研修システムで医師となる。そんな中で、自分を成長させてくれた出会いについて一つ一つ綴っていく。

浅井 章博

岐阜県産 味付けは名古屋。2003年名古屋大学医学部卒。卒業後すぐにボストンで基礎研究。NYベスイスラエル病院にて一般小児科の研修を始め、その後NYのコロンビア大学小児科に移り2010年小児科レジデント修了。シカゴのノースウェスタン大の小児消化器・肝臓移植科にて専門医修了。現在はシンシナティー小児病院で小児肝臓病をテーマにPhysician-Scientistとして臨床と研究を両立している。

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2012/03/02

HBV (Hepatitis B Virus) Vaccine B型肝炎ウイルスワクチン

B型肝炎ウイルスワクチン Hepatitis B Virus vaccine

B型肝炎ウイルスは肝臓に慢性的に感染し、炎症を起こします。慢性感染とは、ウイルスが肝臓に住み着いてしまう特殊な状況です。一度この状況になってしまうと、自然な免疫の力ではなかなかウイルスを駆除できず、肝臓が絶えずダメージをうけ、長い年月を経て肝臓が機能しなくなり、さらに癌になる可能性が高くなります。アメリカでは現在200万人の慢性感染者がいます。

現代ではほとんどが、出産時に母から子供に伝染します。その他、血液・性行為を介して感染します。滅多にないことですが、唾液を介しての感染も報告されています。家族が慢性感染者で、日常的に接触する場合は、ほんの少しですがリスクがあるので、歯ブラシや髭剃りの共有は避けるよう勧められています。アメリカではワクチンが開発され、計画的に接種されるようになってから、患者の数が大幅に減りました。日常生活で他人から感染することはありませんが、子供が青年になり、社会活動の幅が広がると、潜在的なウイルス保持者から感染する可能性はあります。

日本では、このワクチンは”任意接種”なので、多くの人が受けていません。たしかに、母親が慢性感染者でなければ、赤ん坊に差し迫った感染リスクはありません。しかし、実は日本にいるからこそ、B型肝炎は気を付けなければいけない病気なのです。アジア、特に東アジアは世界でも最も多くの人がB型肝炎に感染している地域です。日本では全人口の2-4%, 中国では5-18% そして台湾、東南アジアでは人口の15-20%の人が慢性感染しています。アメリカでは1%以下です。

私の勤務する病院の肝臓病外来では、毎週4-5人の東アジア系移民の子供が受診しています。妊娠時検査でB型肝炎が見つかり、出生時から慢性感染になった子供たちです。中国から孤児を養子にもらって、検査したら感染が判明したという例もあります。どの子も肝臓の障害は進行していないので、外来では普通に健康に見えます。しかし成長するにしたがい肝臓にダメージが蓄積していく可能性が十分にあります。生涯にわたって定期的に肝臓の機能をモニターしなければいけません。 障害が進行してくると、薬による治療が必要になります。投薬期間が長く、副作用も多く、とても辛い治療になります。この子たちの将来には、もっと効果的な薬が開発されていることを期待するしかありません。

B型肝炎はワクチンで防げます。このワクチンは、アメリカでは出生時に接種するよう勧められています。もともと、母からの感染を出産時に防ぐために開発され、安全性が確認されたワクチンなので、生まれたての新生児に接種しても大丈夫です。 確かに産まれたばかりの子供に注射をするのは気が引けますが、ここは感傷的になるのをぐっと堪えるべきだと思います。実際自分も、わが子が生まれた次の日にワクチン注射をするというときは、胸が痛みました。必死に理性で自分を説得したのを覚えています。少し大きくなってからでもワクチンは受けられますが、間隔を開けて3回打たなければならないので、なかなか手間な通院になります。どうせ赤ちゃんの時には小児科に頻回に通うことになるので、それを機会に他のワクチンと一緒に済ませておきましょう。

その他、詳細はこちらのリンク先を参照してください。アメリカの感染症とワクチンの公的機関であるCDCのサイトが公表している日本語の案内です。

http://www.immunize.org/vis/jp_hpb01.pdf

4件のコメント

  1. レモン より:

    C型肝炎はウイルスがゼロになる人も多少いらっしゃるらしいですが、
    B型肝炎の場合はそういう症例は聞かれたことありませんか?

    B型肝炎の抗原が陰性の判定となったとしても肝臓にはウイルスは残ってしまっているのでしょうか。
    とある病院のサイトにそう書かれていたので、
    もしB型肝炎ウイルスに感染してしまったら一生体内から消えないということになるのでしょうか。

    • 浅井 章博 より:

      コメントありがとうございます。なかなか科学的に難しい質問です。慢性感染に限った話だと理解します。
      ‘抗原が陰性”というのは血液の検査になると思います。B型肝炎でも血液中の抗原とウィルスDNAが検出限界以下になることはあります。 ただ、肝臓そのものから完全にウィルスが消えるかどうか、ということはまだ完全には解明されていないと思います。というのも、B型肝炎ウィルスのDNAは肝臓の細胞のヒトのDNAに取り込まれることがあるからです。この取り込まれたDNAが果たしてもともとのウィルスと同じ機能を果たすかどうか、”ウィルスが残っている”と言っていいかどうか、というのはまだ研究途中です。専門家の間では、慢性B型肝炎に一度でもなると、たとえその後 薬でウィルスを駆除できてもDNAに残った傷跡が将来的に何らかの影響を与える(つまりガン化を促進する)という学説が一般的です。 
      答えになってるでしょうか? 

  2. 井上 あゆみ より:

    アメリカの老人ホームで働く際、B型肝炎のワクチンの接種を勧められました。任意でしたので今検討中です。感染の危険性が高いのかと不安になりますが、副作用も気になります。やはり接種はしたほうがいいのでしょうか?

    • 浅井 章博 より:

      B型肝炎のワクチンは、多くの人に接種されてきた歴史があり、安全性は高いです。注射する量は違いますが、生まれたての新生児にも接種するぐらいです。多少の副作用、副反応はありますが、もしなんらかの形でB型肝炎に感染してしまった時の大変さを考えると是非接種をお勧めします。

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