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宮田真

ブログについて

このブログの使い方を模索中です。どんなことを書こうかな。

宮田真

日本の外科研修と沖縄米海軍病院インターンを経て、ミシガン州の市中病院で1年目、メリーランド大学病院で2年目外科レジデント。今年は4年目。ここから2年はチーフレジデントです。

1週間のホンジュラスの旅から帰ってきました。

1. 手術

World Surgical Foundationとして行った手術件数は127件でした。

僕個人としては、予定より少なめの14件。ただ周りでずっと見学していた手術がおそらく25件くらいはあります。

アメリカの病院で約2週間に一件のペースでしか経験できないようなimperforate anus (鎖肛) の症例を山ほど経験。今まで今一つ理解できていなかったPSARP (Posterior Sagital Anorectoplasty) の理解がはるかに深まりました。それ以外の症例は、choledochal cyst (2), gastroschisis (2), Hirschsprung disease (pull through 1), appendectomy (2), lap chole (1), inguinal hernia (3), perineal mass (lipoblastoma 1), epidermal inclusion cyst (1), severe 2nd degree burn (1  Bostonに搬送される), intussusceptions (1)
逆にいえば、上記以外imperforate anusという、Penaの研修コースに負けないくらいのintensive imperf anus courseになりました。
こちらはgastroschisisのbaby。Siloを入れて終了です。

From WSF Honduras Trip

ちなみに人工呼吸器のあるオペ室は一つしかなく、他の部屋は麻酔科医がオペ中ずっと手押しで換気です。

これほどはっきりとした6本指を見るのも珍しいと思います。Cleft lipとimperforate anusもあったので何らかのsyndromeなのでしょう。

From WSF Honduras Trip
From WSF Honduras Trip

2.病院
予想通りと言えば予想通りでした。日本で言えば昭和初期を思わせるような造りの病院です。
まずは使われていないオペ室の一つを使って手術器具の倉庫とするところから始まりました。

From WSF Honduras Trip
From WSF Honduras Trip

エアコンは壊れていたので、技師のフィルが修理しました。彼のような技師の存在は、手術器具の修理・点検だけでなくこういう場面でも貴重です。

From WSF Honduras Trip

どういうわけか聞きませんでしたが、手術室の前で銃を持った人を見かけることも。患者さんが囚人だったのかな?

From WSF Honduras Trip

PACU (術後回復室) です。最初は唖然としましたが、戦場の病院かと思うほど雑多に一室に詰め込まれた患者さんたちとナースたち。病院が満床のため術後1日経っても病棟に上がれない患者さんたちがたくさんいるのです。

From WSF Honduras Trip

こちらは病棟のベッド。満床の影響がここにも。相部屋ならぬ相ベッド。2人は兄弟でもなんでもありません。

From WSF Honduras Trip

こういう状態で患者さんは無秩序に配置されていて、当然誰がどこにいるかがすぐにわかるようなコンピュータも一台もないので、朝回診の時に術後の患者さんを探すのにとても苦労しました。
極端にいえば、「ん?この子見たことあるね。お腹見せてみて。」と、手術の創を確認してやっと分かるという世界です。

3.小児外科医
アメリカからは3人の小児外科医 Dr. Alvear, Dr. Guzzetta, Dr. Stehrがこのmissionに参加しました。
まずDr. Alvear。手術がうまい人に共通して言えることは、迷いがないことだと思います。Struggleしているのをほとんど見ませんでした。下手な外科医に限ってstruggleしてはイライラして周りをnervousにさせてさらに手術をやりにくくする悪循環に陥ります。

この人は本当にすごい。そしてこのsurgical missionを1998年に始め、純粋に奉仕の精神のみでこれまで続けていることに尊敬せざるを得ません。現在69歳です。どうも言葉の端々に、遠くないうちに引退をほのめかすような言い方があったので、そうなのかもしれません。

From WSF Honduras Trip
From WSF Honduras Trip

Dr. Guzzetta
僕がこのmissionに参加した理由の一つに、このDr. GuzzettaとDr. Stehrに会って話したい、そしてフェローシップへのコネクションを作りたいという下心がありました。そういう意味での目的が達成されたかは?ですが、それでも彼と手術を何件かできて良かったです。
安全で標準的で確実な手術をするという印象です。Imperforate anusについてたくさん教わりました。

Dr. Stehr
彼は面白いバックグラウンドを持っていました。ドイツの医学部を卒業。小児科・小児外科を5年ほどした後渡米、外科レジデンシー・研究して小児外科のフェローシップに入り、現在カリフォルニアで小児外科医をしています。外科医や外科レジデントならほとんどが知っているMont Reid Surgical Handbookの著者でもあります。

From WSF Honduras Trip

左からDr. Guzzettaの娘で外科レジデント4年目のアンジェラ、Dr. Stehr、Dr. Guzzetta、ホンジュラスの陽気な小児外科医Dr. Craniotis。

4.スペイン語
片言スペイン語で挑みましたが、ほとんど英語の分かる人と話すだけになってしまいました。ただ勉強すればいけるはずです。次回に期待。

5.その他
水道水や氷を完全に避けていたにも関わらず、木曜日に激しい胃腸炎症状に襲われ、その日を棒に振りました。朝腹痛と下痢で始まり、何とかいけそうだったので病院まで行き、Dr. Stehrにimmodiumとciproをもらって飲んで、自分をごまかしながらやっていましたがすぐに寒気がしてきました。ナースのCathyが毛布で簡易ベッドを作ってくれ、フェローのAnthonyが水を持ってきてくれます。

結局その日はホテルに戻り、熱にうなされながら眠るだけの不毛な一日になりました。僕の手術件数が少なくなったのは木曜日一日がすっぽり抜けているからです。

翌日から復活!迷惑と心配をかけましたが、僕の初surgical mission tripが終わりました。

4件のコメント

  1. シカゴの小児GI/Liverフェローの浅井です。楽しく読ませて頂きました!
    休暇を使ってのボランティア、素晴らしい限りです。ただでさえ忙しい外科のレジデント中に奉仕活動をするとは、なかなか出来るものではありません。お疲れ様でした。

    Inperforate Anusってそんなに多いのですか??驚きました。 VACTERL Associationでは見ますが、そんなにたくさんはいないはず、、。近親婚とかがまだ多いのでしょうか。

    小児外科は狭き門と聞きますが、本当に大変なんですね。 ウチの小児病院は外科部長を始め女性が多いです。フェローも二人とも女性です。よくあんな激務が務まるな~と唸ってしまいます。

    • 浅井先生
      コメントありがとうございます。Northwesernの小児外科にも応募しました。はい、毎年作る小児外科の数が極端に絞られているので、とても狭き門です。
      Imperforate anusは本当に多かったです。近親婚が多いのかどうかは聞きそびれましたが、missionが来ることが事前に分かっていたので症例が集められていたこともあると思います。また同行したペンシルバニア小児外科医の先生の働く地域では、Amishの人が多く近親婚が多いので頻繁にimperf anusを診ると言っていましたが、それにしてもここまでではないと言っていました。

  2. お久しぶりです。お元気にされていますか?いとこの松本眞之介と申します。ブログを立ち上げているのを最近知り、拝見させていただいてます。私の知らないところで活躍されている真君の姿を見て、とても憧れの気持ちでいっぱいです。これからもお体に気をつけてお仕事頑張ってください。

    • 眞之介君
      お久しぶりです。しばらくお会いしていないですが、サッカーでのご活躍をよく聞いていました。
      コメントありがとう。また集まれるといいですね。

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