(続き)
子供の頃の良い思い出、赤津先生の本、若さ故の冒険心とそれを可能にするエネルギー、これらが全部合わさったタイミングで私はアメリカに戻ってきました。それから10年以上経ち、私は沢山の人達と幸運に恵まれ、偶然にも赤津先生と同じブラウン大学に進学し、そして同じスタンフォード大学の内科プログラムで研修をしています。ナッシュビルにいる時と比べてアメリカ社会の様々な面をみてきましたが、それでも私は持ち前のoptimismを貫き通しながら常に明るい面を見続けてきました。その結果私の中のアメリカは再び私の「努力」を認めてくれたようで、現在カリフォルニアでPhysician Scientistのキャリアを模索しています。
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あまりにも個人的な話なので、留学に関して参考になる部分は少ないかもしれませんが、一つ強調したいのはこうした「個人的理由」を大切にするというのが、長く祖国を離れて留学するにあたって重要だということです。留学の理由とは人それぞれですが、日本の学問・研究が留学先のものよりも進んでいるなんていうことは全く珍しくない時代ですから、仕事・学業に関する「表向きの理由」ばかり考えて留学するのは実にもったいないと思います。むしろ外国での生活・文化、現地の人達との交流など、仕事・学業以外の部分で、漠然としたあこがれや夢といった「ソフト」な理由を大切にする人ほど人生を豊かにし、「表向きの理由」にも良い影響を与えるのだと思います。
アメリカで臨床医として働くにあたっては、様々な人種・民族・宗教の患者さんを相手にすることになりますが、それは患者さん側にしても、様々なバックグラウンドの医師に診られるということになります。アメリカに住む多くの人はそうした多様性に触れることに慣れており、医療従事者に対しても同様の姿勢が求められます。アメリカで良い臨床医になるには、多様な文化を受け入れるというのはまず大前提であり、そのためにはアメリカでの生活を楽しむ余裕を持つことが重要なのです。
2002年に渡米してからもう9年が経ちました。自分のキャリア形成に邁進しながら、自分なりにアメリカの多様性を理解しようと努めてきました。苦しい時期も多々ありましたが、私はアメリカでの人生を楽しんでいます。そうした私の「努力」にアメリカが応えてくれたおかげで今の自分はあるので、そのご恩に報いるためにも、これからもこの地でやっていこうと思っています。
はじめまして。偶然、東京大学のパンフレットで拝見しました。
現在ぼくは高校二年生ですが、東大の生命認知科学という分野に興味を持ちました。
来月の駒場祭で実際に足を運ぼうと考えているのですが、具体的にどのような(実験など)ことを行うのでしょうか?
パンフレットを読んで頂きありがとうございました。
生命認知科学科は昨年より装いを変えて統合自然科学科(Department of Integrated Sciences)という科になりました。
生化学・生物物理・細胞生物学・認知行動学など様々な分野の教官が集まっているので、学生実習(実験)でもバラエティに溢れる実験技法に触れる事ができます。
詳しくはホームページをご覧ください。なお駒場祭で学科紹介があるかわかりません。