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高橋康一

ブログについて

アメリカでのPhysician Scientist Lifeをつづります。

高橋康一

2006年、新潟大学を卒業。虎の門で初期研修を終え、渡米。NYベスイスラエル病院で内科研修を終えた後、MDアンダーソン癌センターで血液・腫瘍内科フェロー。現在、同病院白血病科・ゲノム医療科でアシスタント・プロフェッサー。Physician Scientistとして、白血病診療とゲノム研究を行っています。ラボに興味ある人は連絡ください!

2012/05/18

Day 1

「回診は毎日、7時半から。病棟で会おう。」
支給されたばかりのBlackBerryにメールが入った。オリエンテーションが終わり、いよいよ次の日からMDアンダーソンでのフェロー研修が始まる。指導医となるDr.Eからのメールだった。ローテーションも発表されたばかりだ。最初の三ヶ月は、白血病科、リンパ腫・骨髄腫科、そして幹細胞移植科の研修になっていた。血液悪性腫瘍志望の自分としては、はじめに志望科のローテが組まれているのはありがたかった。どうやら、他のフェローも志望科がある程度決まっている人はそこから始めるらしい。早めに志望科のローテをしてその科の指導医と関係を作っておけば速やかに研究が進められる。
まるで入学式を終えたばかりの新入生のように、心の中は新鮮な期待と漠然とした不安が入り混じっていた。白血病の患者さんを診るのは、実はしばらくぶりだ。NYの病院ではそんなに症例がなかったからだ。虎の門の時に学んだことを、ひとつひとつ頭の中で反芻しながらあすの回診のためにカルテを読む。
MDアンダーソンの血液悪性腫瘍科は、上述のように白血病科、リンパ腫・骨髄腫科そして移植科の3つに別れている。昔はすべて一つだったようだが、スタッフと患者数が伸びるにつれて今のように3つに別れた経緯がある。今では、リンパ腫と骨髄腫をさらに分離するか、という議論も持ち上がっているらしい。
NYのスローン・ケタリング癌センターもこのように病気別に科を分けているが、これには賛否両論がある。幹細胞移植が必要なときの連携がうまくいかなかったり、時には症例の奪い合いになることもある。新規の白血病患者さんは寛解導入と地固めは白血病科の医師が行い、移植となると移植科に転科し、万一移植後に再発するとまた白血病科に戻ってくる。治療の最初から最後まで診るという観点からするとやや断片的で、患者さんにとってもこれが最適なのかどうか疑問が残る。ボストンのMGHやダナファーバーは規模が同程度だが、ゆるやかな専門性はあるものの、あえてこのシステムをとっていないようだ。
研修初日に配属された白血病科は、多い時で100人近い入院患者を抱えている。そのうち、半分は寛解導入や入院が必要な抗癌剤投与中の入院。そして残りの半数が抗癌剤治療中の合併症、その大半は感染症によるものだ。常時、5つの入院チームが稼働しており、それぞれに20人~30人の患者さんが割り当てられてられている。
前日にほぼ徹夜でレビューした患者さんのリストを抱えながら、初日の朝の病棟へ向かう。

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