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寺島慶太

ブログについて

小児がんの診療と研究における最新の話題を提供したいと思います。米国のNational Cancer Instituteが発行しているCancer Bulletinや学術雑誌などから、米国発の関連ニュースを提供したいと思います。日本ではなかなか情報が入らない、新薬の治験結果なども積極的に取り上げたいと思います。

寺島慶太

名古屋大学医学部を卒業し、6年間の国内研修後、ニューヨークで小児科レジデント研修を行う。その後ヒューストンで小児血液腫瘍および小児脳神経腫瘍フェローシップ研修を行う。現在、小児腫瘍専門医として、テキサス小児病院およびベイラー医科大学で、小児脳腫瘍の診療と研究に従事している。日本で小児脳腫瘍の包括的診療研究プログラムを立ちあげるのが目標。

小児がんが疑われた患児は、専門施設での診療が必要です。大学病院や小児病院に専門医がいます。小児腫瘍医に加え、外科系医師、放射線科医師など複数科の専門医による診療が行われます。多くの種類の小児がんについて、欧米で標準的な治療が開発されています。より高い治療成績を目指すためには、新しい治療法を組み入れた多施設共同臨床試験が必要ですが、日本では白血病以外の比較的頻度の低い他の固形小児がんでは、臨床試験があまり活発ではなく、これからの大きな課題です。
固形腫瘍において、外科手術は最も重要な治療です。長期生存を目指す小児がん治療においては、腫瘍摘出と機能温存のバランスをとることが重要です。残存腫瘍は化学療法や放射線療法で治療が可能か、どれくらいの合併症なら許容できるか、腫瘍医、外科医、患児家族との話し合いで治療法は決定されます。化学療法や放射線療法も副作用は必発で、腫瘍医の主な仕事は副作用のコントロールといっても過言ではありません。
生存率は小児がんの種類によって様々で、90%以上の長期生存率が見込まれるタイプから、生存率が20%未満というタイプまで存在します。多くの場合、腫瘍が手術で摘出できるかどうか、化学療法や放射線療法に感受性があるかどうかで、生存率は決まります。しかし、標準治療で期待される治療成績を得られるかどうかは、個々の医師や施設の能力や経験に左右されます。
(続く)

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