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宮下浩孝

ブログについて

腫瘍内科の歴史が長い米国での臨床トレーニングの体験をシェアすることで、医学生や若い医師が腫瘍内科に興味を持つきっかけになりたいです。

宮下浩孝

2017年東京大学医学部卒業。東京大学附属病院での2年間の臨床研修、ニューヨークのマウントサイナイベスイスラエルでの3年間の内科研修を経て、2022年7月からダートマス大学にて血液、腫瘍内科フェローシップを開始。 固形腫瘍に対する新たな治療の確立に貢献したいと考えています。

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はじめに

2022年7月から老年、緩和フェローシップに進まれた新道悠先生と、感染症内科フェローシップに進まれた三高隼人先生が、Fellowship Liveというプロジェクトのもと、各々のフェローシップでの体験を可能な限りタイムリーに発信されています。私も同時期に血液、腫瘍内科フェローシップに進むこととなり、同様にフェローシップでの経験を記させていただきます。

老年、緩和、感染症、腫瘍内科の専門トレーニングは、日本では比較的認知度が低く、いまだトレーニングの機会も限られているように感じております。Fellowship Liveのプロジェクトを通じて、日本の方々に、アメリカにおけるこれらの科の専門トレーニングの実際を知っていただき、興味を持っていただけると嬉しく思います。

 

 

血液、腫瘍内科フェローシップ オリエンテーション実況中継

私は2022年7月からアメリカのニューハンプシャー州にある、Dartmouth Hitchcock Medical Center(DHMC)という病院で血液、腫瘍内科のフェローシップを開始しました。DHMCはDartmouth Collegeという非常に歴史ある大学の医学部であるGeisel School of Medicine at Dartmouthの附属病院であり、北部ニューイングランド地方で最も高次な医療を提供する病院とされています。Dartmouth Cancer Center (DCC) はDHMCの一部であり、血液、腫瘍内科の臨床活動、研究活動は主にここで行われています。DCCはNational Cancer Institute(NCI)により、NCI-designated Comprehensive Cancer Centerに北部ニューイングランド地方で唯一指定されており、この地方のがん診療と研究の中心を担っています。 

 

DHMCの血液、腫瘍内科プログラムは3年間の研修期間のうち、18か月を臨床、残り18か月を研究(希望があれば臨床も可)に充てられるようになっています。1年目は主に臨床、2年目は半々、3年目はほぼすべて研究に充てることが可能です。

臨床では、DHMCで主に以下の研修を行います。

  • 血液内科病棟
  • 入院患者に関するコンサルト
  • 脳腫瘍
  • 婦人科がん
  • 血液病理
  • 輸血部
  • 放射線治療
  • 緩和コンサルト
  • Continuity Clinic:週に2コマの外来を3年間を通じて受け持つ

DHMC以外に、White River Junction Veterans Medical Centerという退役軍人病院での研修も含まれています。

 

DHMCの血液、腫瘍内科フェローシッププログラムのオリエンテーションは非常に手厚く、7月いっぱいはほぼ臨床業務につくことはなく、各疾患の基礎的な知識のレクチャーや骨髄生検などの手技のトレーニングが行われます。一般的な臨床のトレーニングに加えて以下のような独特な研修も希望できるようです。

  • ルワンダのがんセンターでの研修プログラム
  • 臨床研修と同時に公衆衛生学修士を取れるプログラム
  • Tuck School of Businessでビジネスについて学ぶプログラム

 

 

外来のローテーションはContinuity Clinic以外にも、集中的に外来診療のみを学ぶ期間も予定されており、私は8月にその研修を行うこととなりました。以前の病院とシステムの違いや患者背景の違い(ニューハンプシャー州では白人が92%)があり、不安な部分もありますが、それ以上の希望を胸に、真摯に研修に臨みたいと思います。それぞれのローテーションでの経験も随時こちらで発信させていただきたいと思っておりますので、今後ともお読みいただけますと幸いです。

 

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