そろそろ、高校生の皆さんのカレッジ進学の結果が出揃う頃でしょうか?
日本では高校からストレートに上がる医学部がほとんどですが、アメリカの医学部は大学院扱いなので、普通はカレッジ、アンダーグラッドを経て、もう一度受験をします。ただし、複数箇所、カレッジ+メディカルスクールの受験を一度に済ませられるプログラムが有り、大変に人気です。二度の手間とストレスが一度で住むのですから。アメリカの学校の辛い点は、入試が終わりではなく、始まりであるということです。カレッジ在学中の成績がメディカルスクール進学に大きく影響し、メディカルスクールの成績が、レジデンシーマッチングのランキングに大きく影響します。
進学先のアンダーグラッドから、(あるのなら)付属のメディカルスクールへの進学率は調べておいた方がいいかもしれません。学校によってはdiversity を重要視して、中から上がって来る学生さんを絞るところがあります。
例えて言うと、以前の勤務先(ハーバードメディカルスクール)はハーバードからの中上がりが大好きです。レジデントの採用も優先していました。中上がりの率も計算されてレジデンシープログラムの評価もされていたぐらいです。反対にジョンズホプキンスは中から滅多にメディカルスクールには入れない、で有名で、ホプキンスに行きたければ、ホプキンスのカレッジに行くな、と言われていたぐらいです。現職のUCLAは、まだUC システムの”好み”を把握しきれていませんので、よくわかりません。
全米にはそれこそ星の数ほどの高校、大学があります。大都市のマグネットスクールでもない限り、誰もあなたの高校を知らないでしょう。それこそ、私のような外国人がアプリケーションを読んでいるかもしれません。ですから、有名な高校を下位の成績で卒業するのと、大学進学率が5%を切るような学校でトップをキープするのと、どちらが医学部進学で有利かといえば、絶対に無名な学校の学校のトップ学生です。これは、医学部のDeanに直接聞いた話なので、本当でしょう。どんな環境であれ、トップをキープしていた、あるいはトップ3%をキープしていたというのは高評価です。(レジデンシーの際の成績評価もこれに近いです。無名の新設校のトップ1%の学生と、歴史のある医学部の学生さん、同じ面接点でしたら、トップ1%を取ります)
メディカルスクールの名前も大切ですが、この業界で一生ついて回るのが、どこでレジデンシーとフェローシップをしたか、になります。メディカルスクールの名前が有名どころでなくても、学生時代の成績とUSMLEの成績で逆転できます。特に重要なのは、STEP1とクリニカルクラークの成績です。逆転、といっても、就職や転職の際に多少は有利になるといった程度の社会的なことです。アメリカはレジデンシーの質が(基本的には)均一化、質の保証が、ACGMEという機関によってされているので、一般的にはどこへ行っても、医者としての技量に大した違いはないのですが・・・ ここは異論、反論のあるところですね。魅力的な大都市にはどうしても希望者が多くなる、希望者が多くなれば成績優秀な候補者から選ばれ、地頭のいい学生さん、レジデントで占められたプログラムは専門医試験の合格率や準備資料も万端、といった好循環が生まれ、僻地はその逆が起こりやすいものです。
例えUCLAの学生さんでも、成績が悪いと自前のレジデンシーの足切りにあいます。エレクティブにも参加し、ペーパーをいくつも書いていること、学会の参加、発表が多いことなどを盛んにアピールしていましたが、何しろ、USMLEと基本のクリニカルクラークシップの成績が悪い。うちの科ではランキングできませんでした。願わくば、本院の方の先生が価値を見出してランキングを上げてくれるとよいのですが・・・
レジデンシーを有名病院ですると、フェローシップでも就職でもかなり有利です。個人的な経験ですが、私はFMGという、外国医学部卒というカテゴリーなのですが、フェローシップをBWHという超有名病院でしたため、何故か「ハーバードから来た出来る人」扱いになっています。おかげさまで、就職活動はさらっと終わらせることができました。
カレッジが決まったばかりの学生さん、あるいは親御さん、まだまだ先の長い話、と思われるでしょうが、研究室に入ったり、シャドウイング(指導医の影を付いて回る)やボランティアはカレッジに入ると同時に考え始めた方がいいでしょう。ボランティア先は近所の病院や、ナーシングホームにでも気軽に行ってみてください。高校生、大学生各レベルのボランティアを常に募集しています。