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反田篤志

ブログについて

最適な医療とは何でしょうか?命が最も長らえる医療?コストがかからない医療?誰でも心おきなくかかれる医療?答えはよく分かりません。私の日米での体験や知識から、皆さんがそれを考えるためのちょっとした材料を提供できればと思います。ちなみにブログ内の意見は私個人のものであり、所属する団体や病院の意見を代表するものではありません。

反田篤志

2007年東京大学医学部卒業。沖縄県立中部病院で初期研修後、ニューヨークで内科研修、メイヨークリニックで予防医学フェローを修める。米国内科専門医、米国予防医学専門医、公衆衛生学修士。医療の質向上を専門とする。在米日本人の健康増進に寄与することを目的に、米国医療情報プラットフォーム『あめいろぐ』を共同設立。

今週で一カ月のCCU勤務が終わりました。うちの病院のCCUは8床です。

MICU(Medical ICU)、SICU(Surgical ICU)、CSICU(Cardiac Surgery ICU)はそれぞれ別にあるので、病院全体でICUは50床くらいです。
病院全体で約1200床、そのうち精神科病床が100床ですから、全体のベッド数に対してICUのベッド数の割合は日本より高いのではないでしょうか。

これには多分いくつか理由がありますが、一つは病院には本当の急性期の患者さんしかいないため。入院後4、5日して亜急性期に以降したら速やかに亜急性期ケア施設(Subacute Nursing Facility、SNF)に転院しますので、病院内にいる患者さんは日本より病状の重い患者さんであることが多いです。日本の病院はこちらの病院とSNFを合わせた機能を持っている印象ですので、病院ベッド数に対するICUベッド数という比べ方はあまり的を得ていないのかもしれません。

もう一つは、経験的なものに過ぎませんが、ICUの適応が米国の方が若干広い気がします。日本で病院一つ、米国で病院一つしか働いたことがないので、かなり一般化するのに無理があることを予め断っておきます。またICU入院適応は地域差や病院ごとの差があると思いますので、どこまで他の病院に当てはまるのか分かりません。

それを差し引いても、日本でICUというと挿管されている患者さんが入院する場所で、それ以外の患者さんは重篤な場合にはナースステーション近くのベッドに入院する、という印象でした。こちらでは、もちろん挿管された患者さん、心肺停止後の患者さんも入院しますが、それ以上に「挿管や心肺停止を未然に防ぐ」という目的でICUに入院する、という適応が多い気がします。具体的には、緊急輸血を要する急性消化管出血や、昇圧剤を要する敗血症性ショック、エピネフリンを必要とするほどのアナフィラキシー、などです。

僕は今はむしろ後者の適応に慣れてしまっているので、その方が看護師さんもたくさんいるし、患者さんのためには安心かなあと思ったりします。もちろん病院ごとのICUベッド数や医療提供体制に影響されることなので、どちらが良くてどちらが悪い、ということはないと思います。

皆さんの印象はどうでしょうか?もしかしたら僕の経験、一般的ではないでしょうか?

2件のコメント

  1. 私が日本で働いていた病院でも、挿管されていても病棟にいたりしました。アメリカでも病院によってはそういうところもあると思います。

    CCUはもともと心筋梗塞後の不整脈に迅速に対応する事を目的として始まったので、あまり「集中治療」的でない患者さんも多いのではないかと思います。心筋梗塞後にはVTになる事があり得る、そしてこの患者さん達は適切な治療(除細動)を行えば救命できる、という考え方は循環器の治療では大きな転換期だったようです。

  2. そうだったんですね。CCU成り立ちの歴史というのも知ってみると面白そうですね。確かに挿管されていても安定している患者さんは呼吸器病棟のRoom1(ナースステーションに最も近い部屋)とかで見ていた気がしますね…そんなに昔ではないのに、記憶が既に曖昧なのですが…

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