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ブログについて

大阪出身の妻と2児の子育て奮闘中。子育ては最高の小児科学の教科書です。モットーは“think globally, act locally, and love your family”。小児神経発達学・医学教育を世界で学び、グローバルな視野を持つ後進を育成することが夢です。

桑原 功光

北海道出身。2001年旭川医科大学卒業。1年間の放射線科勤務の後に岸和田徳洲会病院で初期研修。都立清瀬小児病院、長野県立こども病院新生児科、在沖縄米国海軍病院、都立小児総合医療センターER/PICUと国内各地で研鑽。岸和田徳洲会病院小児科を経て、2012年度からハワイ大学小児科レジデント。2015年7月よりテネシー州メンフィスで小児神経フェロー開始。

桑原 功光のブログ
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2017/05/17

小児神経とアイスホッケー 前編

しばらくぶりの更新です。メンフィスでの小児神経フェローシップもあと1年ほどとなりました。忙しい日々とはいえ、日本に比べると、家族を省みる時間があるのがアメリカ医師生活のいい点です(日本の医師生活は家族を犠牲にしなくてはいけないほど、忙しすぎます)。今回は私たち家族が楽しんでいるアイスホッケーについて話してみようと思います。あまり医学に関係がなさそうな話題と見せかけて、実は小児神経とも関連するんですよ(最後に少しだけ)。

私は大学医学部時代にアイスホッケーをしていました。当初はスケートが全く滑れず、さらに部活内の理不尽な人間関係も重なり、いい思い出は全くありませんでした。しかし、滑れるようになり、自分よりも下の学年に気の合う後輩が入ってきた頃から、最後の数年間でやっとホッケーが面白くなりました。今では逆に当時の自分が信じられないくらいアイスホッケーって面白いスポーツだと感じていますし、日本でももっと盛り上がってほしいと願っています。

アメリカではアイスホッケーは4大プロスポーツの1つです(他はアメリカンフットボール、野球、バスケットボール)。各地域で幼少期からホッケー選手の育成に力を入れています。アイスホッケーが最も盛んなのは北米ではもちろんカナダ、そしてアメリカ北東部です。実はテネシー州がある南部は、アイスホッケー後進地域です。しかし、それでも日本に比べるとずっと恵まれています。テレビをつけるとプロホッケーリーグが中継されていますし、メンフィス周囲にも車ですぐ行ける範囲で通年のアイスリンクがあり、我が家の子どもたちもそこで昨年よりアイスホッケーを始めました。アイスホッケーはアイスリンクがないとできないので、アイスリンクへの送り迎えが必須となります。子どもをアイスリンクへ送り迎えして、応援を楽しむホッケー好きのお母さんたちを“Hockey Mom”と言いますが、我が妻もすでにJapanese Hockey Momとして、アメリカ人のHockey Momたちに認知され始めました。 

少し、アメリカでのホッケー事情についてお話ししましょう。北米プロアイスホッケーリー(NHL)は、アメリカにある24のチーム、カナダにある6のチームの計30のチームからなります。1917年にカナダで設立されてから、ちょうど今年でプロリーグ100周年です。シーズンは10月から翌年の4月まで、各チームが82試合の公式戦を行います。82試合終了後、西部(Pacific、Central)、東部(Metropolitan、Atlantic)の東西それぞれトップ8チームがプレーオフに進むことができます。東西トップ8チームずつがトーナメントを行い、最後に東西の王者同士が戦い、優勝したチームが100年以上の歴史を誇る北米プロスポーツ界最古のトロフィーである「スタンレーカップ」を手にすることができます。そのため、この優勝を争うプレーオフを、スタンレーカップと言います。毎年、5月から6月にかけて行われます。現在、アメリカではプレイオフの真っ最中です。 

過去、歴史的に一番優勝回数が多いのは、NHL最古のチームであるカナダのMontreal Canadiens(モントリオール・カナディアンズ)で、今まで24回優勝しています。カナダ人にとって、アイスホッケーは国技であり、子どもたちが将来なりたい職業の一番は「アイスホッケー選手」です。しかし、1993年にモントリオールが優勝したのを最後に、カナダのチームは優勝から遠のき、20年以上、ずっとアメリカのチームに優勝を奪われ続けています。これは大変、屈辱的だそうです。日本人にとって、日本の大相撲でしばらく日本人横綱が出ずに、モンゴル出身者に占められていたのと同じような意味合いを持つか、おそらくそれ以上の悔しい思いなのでしょう。

北米4大プロスポーツの中では、アメフトやバスケでは黒人アスリートが多く存在するのに対して、アイスホッケーでは、圧倒的に白人が大多数です。私の息子が通うホッケークラスでも、アジア人は私たちの息子を除いてほとんど目にしません。その背景には、プロアイスホッケー選手は、黒人が比較的少ないカナダ出身が半分を占め、残りはヨーロッパもしくはアメリカ出身で、アメリカ人が比較的少ないからです。また、アイスホッケーは、元々アメリカ北東部の冬のスポーツとして楽しまれていました。黒人たちに人気とあったバスケと時期が重なっており、かつ、黒人が住んでいた街にはスケート場がなかったため、アイスホッケーは黒人たちにはなかなか普及しませんでした。また、アイスホッケーが現在もバスケやアメフトに比べると競技人口が少ないこと、優秀な黒人アスリートはアメフトやバスケなどに流れてしまうので、今も他の4大スポーツに比べると白人中心です。しかし、アメリカの各都市で、マイノリティがアイスホッケーに興味を持ってもらうように様々なプログラムを立ち上げているので、今後は人種の割合にも少し変化があるかもしれません。

アメリカで子どもたちにアイスホッケーを始めさせたいと思っている親も多い(?)かもしれません。ぜひ始めましょう。アイスホッケーは激しそうだから、と思っている親御さん。アメリカでは子どものうちは、体当たりは禁じられており、怪我の心配は少ないですし、年齢や技術のレベルによって細かくクラスが分かれています。まず、最寄りのアイスリンクに行って、そこで子どもたちのアイスホッケークラスがあるか聞いてみましょう。

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