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反田篤志

ブログについて

最適な医療とは何でしょうか?命が最も長らえる医療?コストがかからない医療?誰でも心おきなくかかれる医療?答えはよく分かりません。私の日米での体験や知識から、皆さんがそれを考えるためのちょっとした材料を提供できればと思います。ちなみにブログ内の意見は私個人のものであり、所属する団体や病院の意見を代表するものではありません。

反田篤志

2007年東京大学医学部卒業。沖縄県立中部病院で初期研修後、ニューヨークで内科研修、メイヨークリニックで予防医学フェローを修める。米国内科専門医、米国予防医学専門医、公衆衛生学修士。医療の質向上を専門とする。在米日本人の健康増進に寄与することを目的に、米国医療情報プラットフォーム『あめいろぐ』を共同設立。

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私がUSMLE Step1を取ったのは2006年11月、医学部6年生のときでした。

全学の部活を4年生の12月に引退し、特にやることがなくなった私は、医学部生活の残りの二年間を勉学に費やそうと決意しました。それまでに勉学に十分に時間を費やしてこなかった(世間ではそれをサボる、と言います)ことへの代償的行為であったかもしれません。しかし手探りで勉強方法を探すもこれといったものは見つからず、かといってあまのじゃくな性格からYear NoteやQuestion bankなどで勉強する気も起きませんでした。そこで、実習で担当した患者さんを隅から隅まで理解するという目標を立て、身体所見から検査所見、画像所見など少しでも分からないところは全て調べ上げるという今思えばかなり無謀な勉強法を編み出しました。調べた部分でさらに分からないところを調べ上げて行けば、そのうちに全て網羅的に勉強できるのではないかと浅はかな期待を持っていました。

しかし残念ながら、一度に担当する患者さんが一人か多くて二人、希少疾患が多い大学病院という実習環境も手伝って、学ぶ範囲は偏り、必要な知識を網羅的にカバーできることは不可能だとしばらくして気がつきました(恐らく最初から気づいておくべきでした)。医学部5年も終わりに近づき、やや方向性を見失いかけていた頃、噂に聞いていたUSMLE Step1に急に興味がわいたのです。この時すでに友人の多くは海外実習のために取得していました。私が探していたのは、網羅的かつ構造的に、病態生理に基づいてあらゆる疾患概念を理解するための勉強法。Step1はまさにそのための下地を提供してくれる最良の勉強材料だったのです。

思い立ったが吉日。早速First Aidを購入し、6年生になる直前の3月から、毎日図書館にこもって勉強を始めました。平均の勉強速度は、見開きの片方を1ページとして、約2時間に1ページ程度だったと思います。そこに書かれている内容は理由を含めて全て理解し、勉強した範囲は一回で暗記するように努めました。分からないことがあれば原著、教科書、インターネットで分かるまで調べあげ、First Aidの段落の隙間に書き込んでいきました。Lange, Harper, Langmanなどなど、図書館の色々な本にお世話になりました。見開きページの左右の端にあるスペースには、そのページのキーワードを空欄にした自分用問題集を作り、後で見直す際に備えました。

夏休みは全て勉強に費やせたので、一日4,5ページほどのペースで進み、8月末にはFirst Aidを一通り勉強し終えたと思います。9,10月はFirst Aidの見直しと、Kaplan Qbookを一周解いて、試験に臨みました。多くの方と同様、First Aidはどこに何が書いてあるのか覚えているくらいになっていました。

すでに6年も前の話になるので、どの程度参考になるかは分かりません。あえて言うなら、当時でもFirst Aidに加え、倫理学や生理学の項目ごとに様々なStep1用の教科書を勉強していた人、複数の問題集を解いていた人がいましたが、私はFirst AidとKaplan Qbookのみでやり通しました。それらを十分勉強してさえいれば、米国医学生であればどこにでも行けるくらいの点数は取れると思います。(もちろんInternational Medical Graduatesは米国医学生より高い点数が必要です。)

USMLEの平均点数が年々高くなり、臨床留学へのハードルが高くなっているという話も聞きます。最初にして最大の難関であると言われるStep1ですが、勉強量に比例して点数が上がる、ある意味公正なテストだと思います。これから勉強を始める方も、まずはStep1を買って、一日1,2ページずつ進めていく気持ちで臨めば、時間さえかければ必ず結果はついてきます。

沖縄での初期研修医、米国での研修生活を通じて、Step1で培った病態生理の構造的理解は、常に臨床的推論の基礎として役立ってきました。そして医学英語は多くの医師にとって必須の知識です。臨床留学を目指す目指さないに関わらず、USMLEは極めて有効な勉強ツールだと思います。私も最初は、留学することを目標に勉強してはいませんでした。医学をしっかり勉強したいけど有効な方法が分からないという方に、Step1は個人的にとてもお勧めです。

2件のコメント

  1. こんにちは。
    私は東京大学医学部4年生です。
    昨年から病院実習開始が5年の4月から4年の1月に早まり、今病院実習の4週目を迎えたところです。
    テストを通るための勉強ばかりしてきて、今の自分には系統立った知識がろくに残ってないような気がして、漠然とした不安を抱いてました。
    そこで、系統立った知識の習得と医療英語の勉強を目的に、先週からusmleの勉強を始めました。first aidの教科書と問題集を使っています。
    CBTが終わって2ヶ月、基礎も臨床も知識がスカスカに抜けた状態で、問題集でも教科書でも、これなんだっけ???となることが多く、良い勉強法がないかと思って探していたらこのページにたどり着きました。
    分厚い問題集を見てると早く進まなきゃ

    • いいですね。USMLEは、系統立った勉強のツールとして、非常に役に立つと思います。長い目で見ると、焦らず勉強した方が本当の意味で身につくと思います。頑張ってください。

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