メンフィスにも秋がやってきました。この季節は一年の中で、私がもっとも好きな季節です。深々と寒くなっていく感じが北海道の故郷と、家族で過ごした幼かった頃を思い出させてくれます。メンフィスに来る前に3年間住んだハワイは、年中温暖でそれは素晴らしい気候でしたが、北海道生まれの私にはやはり、四季の変化に富む気候の方が体になじみます。私たちが住んでいるメンフィス郊外は本当に樹々が美しく、紅葉が眼を癒してくれます。
しかし、フェローシップを考慮している米国レジデントの多くにとっては、この秋を楽しむゆとりもなく「フェローシップ面接」に備えなくてはいけません。私たちテネシー大学の小児神経プログラムも来週から2016年7月から勤務する候補者を面接するため、その準備に追われています。面接する指導医たちはあらかじめ履歴書(Curriculum vitae)や志望動機書(Personal Statement)を読んで、候補者への面接に備え始めています。
すでに日本でも、さまざまな臨床留学本で、レジデントへの応募については紹介されているので、今回は小児科フェローシップへの応募について述べたいと思います。米国では小児科レジデントを修了した後に、そのまま一般小児科医として勤務するか、さらにフェローシップに進むかで進路が分かれます。ハワイ大学の小児科レジデント卒業生は、例年、だいたい半数が一般小児科医、半数がフェローシップに進んでいました。
米国の小児科のフェローシップには、NRMP(National Resident Matching Program)のホームページによると、
– Adolescent(思春期医学)
– Allergy/Immunology(アレルギー・免疫医学)
– Headache Medicine(頭痛学)
– Hospice and Palliative Medicine(緩和医療)
– Medical Genetics(遺伝学)
– Medical toxicology(毒物学)
– Rehabilitation Medicine(リハビリテーション)
– Child Abuse(虐待)
– Developmental-Behavioral Pediatrics(発達行動学)
– Neonatal-Perinatal Medicine(新生児学)
– Pediatric Critical Care(小児集中治療)
– Pediatric Emergency Medicine(小児救急)
– Pediatric Endocrinology(小児内分泌)
– Pediatric Hospital Medicine(小児ホスピタリスト(病棟専属医))
– Pediatric Infectious Diseases(小児感染症)
– Pediatric Nephrology(小児腎臓)
– Pediatric Rheumatology(小児リウマチ)
– Pediatric Cardiology(小児循環)
– Pediatric Gastroenterology(小児消化器)
– Pediatric Hematology/Oncology(小児血液腫瘍)
– Pediatric Pulmonology(小児呼吸器)
– Sports Medicine(スポーツ医学)
– Sleep Medicine(睡眠)
などあり、小児科からこれらの科に応募できます。また、これ以外にもACGME(Accreditation Council for Graduate Medical Education; 米国の卒後臨床研修の評価団体)に認められていないNon-ACGME accreditedのフェローシップなどもありますが、J-1ビザが必要な日本人は応募できません(例:ボストン小児病院のGlobal Pediatric Fellowship など)。
これらの小児科フェローに応募する際に注意しなくてはいけないのは、「いつ応募を開始するのか」「いつマッチが発表になるのか」という点です。それぞれ異なるので、きちんと確認しなくてはいけません。例えば、今まさに募集している”Fall Match”には、小児救急、小児集中治療、小児感染症などが含まれますが、これはレジデント3年目の8月末から募集を開始し、一般的に9-11月で面接、12月にマッチ結果が発表されます(2015年は12月16日がマッチデイで、2016年7月より勤務開始)。対して、”Spring Match”である小児循環器、小児血液腫瘍、小児消化器、小児呼吸器の4科(2015年10月現在)は、レジデント2年目の2月から応募開始、一般的に2-4月頃に面接、5月にマッチ結果が発表されます(2015年は5月27日がマッチデイで、2017年7月より勤務)。つまり、レジデント3年目を開始する7月より前に、すでに3年修了後にどこに行くかが決定します。裏を返すと、小児循環器、小児血液腫瘍、小児消化器、小児呼吸器に行きたい人は、他のフェローシップより先んじて、レジデント1年目〜2年目の始めから、準備を開始しないと間に合いません。私のハワイ時代の後輩は、現在3年目ですでに小児血液腫瘍にマッチしていますが、1年目後半より血液腫瘍にマッチするための準備(リサーチ計画など)を開始していました。それぞれのマッチングのスケジュールは以下で確認できます
http://www.nrmp.org/participating-fellowships/