記事を探す

あめいろぐの活動を
ご支援ください。

ブログについて

現在日系のクリニックでニューヨーク近郊の日本人のかかりつけ医として日々奮闘しております。自ら海外駐在員であった経験と産業/予防医学の専門性を生かし、駐在員とその家族の健康維持に関する情報や、アメリカのプライマリーケアの一面を紹介できたらと思います。

中釜 知則

広島大学総合科学部卒業。住友信託銀行に就職しニューヨークに駐在。ポートフォリオマネージメントに従事後帰国を前に退職。 セーバー医科大学、イリノイ大学医学部産業/環境医学科卒業。ヒンズデール病院家庭医学レジデンシー、イリノイ大学産業環境医学レジデンシー修了。同公衆衛生大学院を卒業し公衆衛生修士号を取得。米国予防医学会認定医。産業医学専門医。現在マンハッタンウェルネスメディカルケアークリニックグループ総院長。

中釜 知則のブログ
2012/01/10

アメリカで臨床をしている理由(転職編)その1

僕はもともと銀行員でニューヨーク駐在員だった変り種の臨床医としてマンハッタンで在米邦人の健康維持のお手伝いをさせていただいています。ご挨拶もかねてここにいたった経緯を紹介したいと思います。

海外志向、マーケット志向だったのを入社以来会社によく汲み取ってもらい、結婚と同時に駐在員としてニューヨークへ派遣されました。自ら求めて意気揚々と始めた駐在員でしたが、何しろ初めての海外、最初から苦労の連続となりました。

大丈夫とタカをくくっていた自分の英語能力のなさ!!レストランのオーダーで食べたいものがなかなか食べれず、レンタル家具は待てど暮らせど届かず、ソーシャルセキュリティー取得、車の免許、銀行口座開設などなど、最低限の生活インフラが整うまでの道のりは永遠に続くように思えました。日常のコミュニケーション力のなさに意気消沈してしまいました。しかし、なにより苦労したのは新婚の奥さんが病気になったときでした。僕が会社に行っている間、郊外のアパートで熱にうなされ、「声が出ない、体が震える」と訴える妻。「医者にいかなきゃ」と思ったとたんに、どこへ??どうやって??。英語で医師と話すなんて、と突然えもいわれぬ恐怖感に駆られ、かといって日本語を話すドクターのいるクリニックの情報もなく、途方にくれました。

何とか情報誌をたよりに診てもらった先生はまるで「地獄のなかの仏様」。症状だけでなく新しい生活に悪戦苦闘する日々についてどう感じているか、シンパシーたっぷりに話をしっかり聞いてもらうだけで二人とも心が安らかになり病も吹っ飛んでしまったのを覚えています。同時に診療所だけどオフィスのような部屋で診てくれたアメリカンドクターが頼もしくそして何故かとてもプロフェッショナルに、かっこよく、感じてしまいました。先生はそれほど意識していなかったかもしれませんが、僕らには本当に輝いて見えたのです。

月日は過ぎ仕事も軌道に乗り、英会話もスキルが増したというよりはこんなもんかと開き直れたことから気が楽になり、マンハッタンの生活を楽しめるようになりました。心に余裕が出てくるといろいろなことが見えてきました。移民の国アメリカに住む人々のあくなき向上心というか職業観というか、その気になればチャレンジを受け入れてくれる雰囲気に満ち、そしてその道筋もあることなど。当時日本はバブルがはじけ閉塞感が漂い始める中、この国にはまだその後の9・11やリーマンショックの気配すらなく、世界に冠たる唯一の大国と人々が信じるなかで輝かしい金融マーケットやITビジネスでの成功物語が溢れていました。学生時代から漠然と持ち続けていた海外留学してみたいという願望とあいまり、この国でしばらくとどまって技術や知識を身につけたいという思いがにわかに沸いてきました。

周りの何人かの同僚がそうしたように、普通の流れで言えば、それまでの経験を生かして金融のスキル、知識を深めるためにMBAなどを目指すべきだったのでしょう。しかしどうせやるなら思いきって今までとまったく違うことに挑戦したい、と浅はかにも(?)当時30台、子供を持つ前で最後のチャンスと考えてしまいました。そこで浮かんだのがドクターへの道。あの心細かったころに救いを与えてくれた存在、身につけた知識と経験で人を救うことの出来るプロとして残りの人生勝負してみたい!ところが言うは易し行なうは難し。当然ながら妻のみならず双方の両親は大反対。何とか3、4年をかけて訴え続けついに周りが根負けし、12年勤めた会社を円満退職してここアメリカで学校に戻ることにあいなりました。

2件のコメント

  1. 藤田 亨 より:

    中釜様、
    このブログで高いモチベーションを持って海外で働いていらっしゃるドクターが多いのを拝見して、感動しました。特に私と同じ金融界(私もJPM,AIGなどで計25年勤めました)のご出身での転身と伺い、脱帽の思いです。現在私は日本でコンサルタントとしてドクターのサーチをしている者です(決して怪しいものではありません。。。)、もしFBで時々、情報交換をさせていただければと思い、友達リクエストを遅らせていただきました。何卒よろしくお願いいたします。

    • 中釜 知則 より:

      藤田様、
      はじめまして。このブログをで私もこれだけ多くの日本人ドクターがアメリカで活躍されているのを知って驚きました。日本もまだまだ期待できそうです。ちなみに私の元上司もJPMに転職されて大いに活躍されています。今後ともよろしくお願いします。

ページトップへ↑