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松木隆志

ブログについて

日本で精神科というとまだまだ怖いイメージを持たれる方も多いと思います。でも米国では内科や小児科と同じように誰でも気軽に受診する一般的な診療科のひとつなんです。ニューヨークの精神科医の日常について徒然なるままにお伝えします。また、日本で携わっていた在宅医療のことなども時々アップして行きたいと思います。

松木隆志

神奈川県出身。東京医科歯科大学卒業。横須賀米海軍病院、横須賀市立うわまち病院救急総合診療部勤務を経て在宅医療の世界へ。日本最大規模の在宅医療診療所である湘南なぎさ診療所で院長を務める中で精神科の重要性を強く認識、一念発起し渡米。現在は精神科の研修には定評のあるニューヨークのBeth Israel Medical Center精神科レジデント。

★おすすめ

米国、特にニューヨークではサイコセラピー(心理療法)がとてもポピュラーです。

 サイコセラピーは様々な精神疾患に効果があることが実証されているのですが、アメリカ人の場合、ちょっとした悩み事でも気軽にサイコセラピーを受けます。サイコセラピーを行う心理療法家はセラピストと呼ばれます。治療は患者さんとセラピストの対話のみによって行われます。

 登場人物がセラピストに悩み事を相談しに行くシーンはアメリカ映画ではおなじみですね。富裕層の間ではサイコセラピーを受けていることが一種のステータスシンボルとみなされているくらいです。体の健康だけでなく、心の健康にも気を使う経済的、時間的余裕があることの証なのでしょう。自分のセラピストがいることを自慢げに語る人もたくさんいます。
 サイコセラピーには色々な種類があります。1回45分週1回のセッションが一般的ですが、頻度や期間も様々で、精神分析とよばれる伝統的なサイコセラピーの場合、1回45分週4~5回のセッションが数年間続きます。医療保険も使えます。
サイコセラピーは医師資格を持つ精神科医の他に、心理学博士号を持つ臨床心理士、修士号と臨床資格を有するソーシャルワーカーが行います。一人前のセラピストになるには学位や資格取得後にも更に数年間のトレーニングが必要です。トレーニングの一環として、まず自分自身がサイコセラピーを受けることが必須とされています。
 私の勤務先の精神科はセラピストを養成することを特に重視しているため、精神科の研修医は全員サイコセラピーを受けるよう強く推奨されています。そんなわけで私の職場の精神科医の多くが自分自身もサイコセラピーを受けているのです。私もサイコセラピーに週2回せっせと通っています。
 アメリカにも日本人のセラピストが何人もいます。ちょっと心が疲れたときには一度気軽にサイコセラピーを受けてみてはいかがでしょうか?心が楽になりますよ。

2件のコメント

  1. 懐かしいですね。お元気そうで嬉しいです。ストレスを溜めないようにNYライフも楽しんでいますか? 特にレビー小体型認知症や前頭側頭型認知症などの幻視や易怒、うつ状態、パーキンソン症候群などに対する精神科や神経内科の処方やアリセプト高容量が状態を悪化させている可能性について知られてきていますが、アメリカでは認知症の周辺症状はプライマリーケア医の担当?それとも精神科?

    • 小野先生
      大変ご無沙汰しております。コメントありがとうございました。御返事遅くなり申し訳ありません。お陰さまで元気にやっております。認知症の周辺症状は少なくともニューヨークでは精神科の担当です。認知症やパーキンソンなどの神経変成疾患に限らず、背景にあるさまざまな内科疾患や他科の処方や精神症状の原因あるいは増悪因子になっていることがしばしばあり、精神科医にも内科的疾患を含めた患者さんの全体像を把握する能力が求められます。

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