記事を探す

あめいろぐの活動を
ご支援ください。

ブログについて

小児科の中でもとても稀な遺伝病・先天代謝異常を専門にしています。検査システムなど日本とアメリカで大きく異なるため、日本では診断されていないような稀な病気の診断にも関わらせていただいています。そういったシステムの違いなどから生じる医療の違いなどをご紹介させていただきたいと思います。

泉 幸佑

横浜市出身。慶應義塾大学医学部卒。医学部時代に遺伝症候群に興味を持ち小児科医を志す。2007年からRainbow Babies and Children’s Hospitalで小児科レジデンシーと遺伝科レジデンシーを開始。2010年よりChildren’s Hospital of Philadelphia遺伝・代謝科フェロー。

泉 幸佑のブログ
2012/06/05

Rare disease (稀少疾患)と家族会・サポートグループ

あなたの子供や家族が、数万人に1人くらいにしかいない、稀な病気と診断されたらどうしますか?おそらくインターネットなどで情報を集めようとするかもしれませんが、この程度の頻度の病気になると、あまり信頼できる情報がネット上には掲載されていないことが多いです。特に日本語の情報となるとさらに難しくなります。
遺伝科で普段診る病気は大部分がこのようなとても稀な病気です(稀少疾患)。
一般的に頻度の高い病気に比べ、こういった稀な病気は専門家も少なく、診断をつけることも難しく、診断がつけられず原因不明の難病として扱われている少なくありません。
さらに、こういった稀少疾患の診断がつけられても、その病気の原因・合併症などあまり良く知られていないので、患者さん・その家族は情報の少なさから、確定診断自体が、家族にとって精神的なストレスにつながることも少なくありません。
そういった稀な病気の情報を提供する目的も含めて、アメリカでは患者さんの家族が中心となった家族サポートグループが充実しています。さらにそういったサポートグループでは研究の支援もおこなっています。
現在、自分は遺伝病の一つである染色体異常症のパリスター・キリアン症候群の診療・研究に従事しています。おそらく、世界中でこの病気を研究している研究施設は自分の研究室以外には無いと思います。自分がこの症候群の研究を始めたきっかけは、自分のボスがこの症候群の診療・研究の第一人者であったからなのですが、そのボスがこの症候群の研究を始めたきっかけも、家族会・サポートグループと大きく関係しています。
6年前に家族会・サポートグループから研究を始めてくれないかとの依頼されたのが、うちの病院でのパリスター・キリアン症候群の研究プロジェクト開始のきっかけでした。
先日、この病気の患者さんを診る機会がありましたが、その女の子はコロラド州からわざわざ飛行機に乗って一日がかりでフィラデルフィアまで自分のボスに会いに来ていました。その女の子のご両親は、パリスター・キリアン症候群の診断がわかったときの話、その病気に関する情報があまりなく、家族会・サポートグループのホームページには非常に助けられた、という話をしてくださいました。
どんな病気であっても、その病気を良く知っている人に診察してもらいたいという気持ちは同じです。
社会全体としてのニーズを考えると、頻度の高い病気に興味が集中するのは当然のことと思います。逆に、頻度の低い病気はあまり重要ではないのでしょうか?自分は稀な病気が重要でないとは思いません。むしろ、患者さん・その家族の精神的負担を考えると、稀な病気の原因解明・治療法の開発も大切だと思います。稀な病気は頻度自体は少ないですが、数自体も多いので、Rare diseaseの診断をうける患者さんの患者数の総計は少なくないのです。
どのように稀な病気の診療体制を整える、そして研究を進めていくかというのは非常に難しい問題です。国の社会福祉にも関係している分野でもあり、国の医療政策に取り入れられていくべき問題と個人的には思います。しかし、予算的な問題もあり一筋縄にはいかないでしょう。そういった問題を補う、患者さんの家族主体のイニシアチブによる活動である家族会・サポートグループは(特に遺伝病の分野では)非常に大きな役割を果たしています。
今月、パリスター・キリアン症候群の家族会・サポートグループの集会が開催されます。そのレポートも後日書いてみたいと思っています。

12件のコメント

  1. 中田優子 より:

    初めまして。現在5歳の息子がパリスターキリアン症候群です。
    4ヶ月のときに分かり、現在は保育やリハビリに通っています。

    知的DQは13前後。
    身体は座位は取れるけど、保持は困難。
    立位、独歩、有意義語は不可。
    内臓疾患は特にありませんが、てんかんと睡眠障害があり、内服中です。

    日本では、パリスターの情報を持っている医師が殆どおらず、
    親はどうやって育てていけば良いのか、正直途方にくれています。
    (英語の医学書のコピーを1枚もらったきりで、後は対処療法しかない、と言われています)
    アメリカにはパリスターの子はどれくらいいるのでしょうか?

  2. 泉 幸佑 より:

    中田さま、
    コメントありがとうございます。現在、フィラデルフィア小児病院では80人程度のパリスターキリアン症候群の患者さんを見ております。80人のうちには10人程度のヨーロッパ、オーストラリア等のアメリカ以外の国からいらっしゃる患者さんですので、アメリカ国内に住んでいて、家族会を介して自分の病院に来ている患者さんは70人程度かと思います。
    実際には診断することも難しい病気ですし、どの程度の割合の患者さんが家族会に参加しているかどうかはわからないので、実際にどの程度の頻度でアメリカで見られるかは、性格にお答えするのは難しいですね。

  3. 奈美 より:

    泉様
    パリスタ-キリアン症候群の診療、研究に携わっておられるとの事ですか、患者さんの合併症を少しでも回避する治療方法はありますか?
    日本には、この病気を研究している研究施設がありません。
    藁をも掴む思いでフィラデルフィアへと考えている次第であります。

    • 泉 幸佑 より:

      奈美様、
      ご連絡いただきどうもありがとうございます。直接メールを差し上げようとしたのですが、携帯電話のメールアドレスで、パソコンからのメールはブロックする設定になっているようでした。
      残念ながら、パリスターキリアン症候群の特効薬のようなものは現在存在しませんが、パリスターキリアン症候群に高頻度で合併する症状(たとえば難聴やてんかん)の有無などを早めの年齢から検査する事により、合併症を早めに見つけ、治療を開始する事は可能と思います。
      このような目標を念頭に、自分たちの病院では、他の専門診療科の先生(発達小児科/消化器科など)と一緒に最適な治療を提供できるように努力しております。
      実際にフィラデルフィアにいらしていただいたとして、どの程度のメリットがあるかは、自分自身には想像が難しいです。日本でこの症候群に関する情報が手に入りにくい現状を考えると、この診断に関する有用な情報を提供する事は可能と思います。しかしながら、フィラデルフィアにいらしていただいた事で、劇的に治療法が変わるという事は想像しにくいかな、とも感じます。
      出来る限り、お役に立てればと思いますので、またご連絡いただければ幸いに存じます。

  4. 奈美 より:

    泉様
    ご返信ありがとうございます。
    パソコンからのメールブロックをしており、申し訳ありませんでした。
    ブロック解除致しましたので、ご返信の程宜しくお願いします。
    病院には定期的に受診し合併症の早期発見に務めておりますが、やはりこの病気を直す特効薬がないのは残念でなりません。
    私はよく夢を見ます…子供の病気が治り、私の名前を呼んでくれる…
    もぉ~嬉しくて×2(*^▽^*) 
    いつの日か…
    近い未来…
    泉様達のように研究なさっておられる先生方からの嬉しいご報告を期待しております。
    この世に起こる事には、全てに意味があり、無意味な事なんか何もないと信じて…

  5. おがた より:

    はじめまして。
    娘2歳5k月がパリスターキリアンモザイク症候群です。

    身体的特徴:
    髪の毛;1歳ぐらいまでは、髪の毛のカールがきつく、孫悟空の頭の輪っかをはめたような形に、髪の毛が生えない部分もありました。
    現在は全体に生えそろい、くせ毛程度の弱いカールになっています。

    口;下の歯が2か所 結合歯で隙間があり、噛み合わせが上下逆です。

    先天性皮膚洞;おしりの上1センチほどの所に窪みあり。検査の結果、脊椎には以上なしでした。

    目;間欠性外斜視。1歳半近くまでは殆ど追視もせず、物に触ることはなく、見えていない可能性もあると言われました。
    9か月、1歳、2歳 と、3回 視覚誘発電位の検査を受け、1度目は平均よりも反応が倍ほど遅かったのですが、3回目の検査では 平均値とほぼ変わらない結果が出ました。
    1歳半ごろから追視をよくするようになり、目に表情が出てきて、目の前に差し出したお菓子やスプーンに手を伸ばしたりします。(ただし、物を見ながら触るということはしません)

    疾患;生後10カ月でウエスト症候群(点頭てんかん)を発症。
    1歳の時にACTHをして発作が止まり、1年後(2歳)に発作再発。2歳2カ月で2度目のACTHをして発作がとまり、現在にいたっています。

    発達:有意義語は発しません。パパパパ、マーンマのみ。
    お座りは不安定ですが、胡坐で30分から40分保てる時もあります。
    スプーン、フォークはすくって手渡してやれば、自分で口に入れて食べます。
    コップも持ち上げて持たせてあげれば、両手をつかって自分で飲めます。

    その他:引っ張ると音の出るおもちゃをひたすら引っ張り続ける、または鈴を振る程度はしますが、おもちゃに興味を示さず、独りで手をパチパチたたいてばかりいます。

    前置きが長くなってすみません。
    先生に教えていただきたい事があります。

    ☆娘は頬の内側の粘膜をとる検査で35%。血液の検査で25%の染色体異常が見つかりました。成長発達の可能性と染色体異常の割合の大きさというのは関係するのでしょうか?

    ☆娘のように(手をたたくというような)常動運動をする子の場合、これはずうっと続いていくものなのでしょうか?それとも、ある時期がくれば止まる可能性もあるのでしょうか?

    ☆下記URLの女の子は、大きな障害もなく成長されているように見えるのですが、このような例も他にあるのでしょうか?
    http://www.pk-syndrome.org/Kelsey.htm

    ☆パリスターキリアン症候群の患者さんの中で、てんかんを患っている方はどのぐらいの割合でいらっしゃるのでしょうか?

    娘は難治性てんかんの為、脳波が乱れ始めると発達が退行してしまいます。
    (お座りが出来なくなる。起き上がろうとしなくなるなど)
    でも、治療して発作が止まってすぐは出来ることが増えます。
    パリスターキリアンであっても、てんかんの発作さえコントロールできるようになれば、出来ることは少しずつでも増えていくと信じたいのですが。。。

    お忙しいところ恐れ入ります。
    お時間のあるときに教えていただけたらありがたく存じます。

    • 泉 幸佑 より:

      おがたさま、
      質問の方、返答させていただきたいと思います。
      1)成長発達の異常と染色体異常の割合:何パーセントの細胞で染色体異常がみられるかという数字と病気の重症度には全く相関は見られません。これは、発達の遅れなどを考えた場合に、一番重要と思われるのが、頭の中の脳のどの程度の割合の細胞に染色体異常があるかです。しかし、血液・皮膚の異常細胞の割合の間にも相関が無く、さらに脳にどの程度の割合で染色体異常があるか調べる方法は現時点では無いということが、何パーセントの細胞で染色体異常がみられるかと病気の重症度に関連がない理由の一つと考えられます。
      2)常道運動に関してですが、申し訳ありませんが正直なところわかりません。大きくなってもこのような常道運動のある患者さんを見たことはありますので、このまま続く可能性もあると思いますし、成長とともに、より目立たなくなる可能性もあると思います。
      3)症状の軽いパリスターキリアン症候群の患者さんに関して:一般的に、この症候群は非常に重度の発達の遅れを伴うと考えられていたのですが、最近では、中等度の発達遅れの子供たちも見つかってきています。実際のところ、もっと軽症のパリスターキリアン症候群の子供たちが診断されずに見逃されている可能性はあると思います。
      4)てんかんをわずらっている患者さんの割合:約半数の患者さんがてんかんを患っています。
      パリスターキリアン症候群は進行性の病気ではないので、てんかんのコントロールさえ充分に出来れば、各々の子供たちのペースでいろいろなことを学んでいきます。そういう意味では、おがたさまのお子様の状況ではてんかんのコントロールが大切なように思われますね。

  6. りえこ より:

    泉先生、はじめまして。
    うちの娘は、中枢神経系の遺伝の難病の診断を受けました。
    研究なされている分野ではないのですが、良いお医者様を捜しています。
    DC近郊にすんでいて、ナショナルチルドレン病院にお世話になったのですが
    専門の先生が急に引っ越しをされることになりました。あとはチームができている
    ので他の分野もかねて見てもらったいますが、できるだけ最高の情報、状態を
    娘に与えてあげたいので、CHOPに変えてみようかと悩んでいます。
    小児病院では、CHOPが全米でベストであるとウェブでもみました。
    娘の分野でもそこに専門の方がいるようです。ただ、ドクターショッピングは
    いかなものなのか、とにかくこの分野の専門のお医者様はかなり少ないなので
    誰でもがわかる分野ではありません。治る病気でも治療もないのですが
    年単位で進行していくものなのでこれからの新薬や新治療を期待はしていますが
    遠くても年に2度ほどの診察なら先生ならやはり転院をおすすめされますか?
    ちなみにCMTという病気です。お忙しいとは思いますが、もしお時間があれば
    ぜひアドバイスをよろしくお願いいたします。

    • 泉 幸佑 より:

      りえこさま、
      コメントありがとうございます。私見を述べさせていただきたいと思います。
      CMTのような稀少疾患の場合、年に一回程度その病気の専門家に診察してもらうのは良いことと思います。これは、一般の小児神経科の先生では手に入りにくいような、最先端の治療の情報なども、特定の病気の専門家の先生は知っていることが多く、新しい治療法などの恩恵も受けられる可能性が高まるからです。
      ドクターショッピングと思われるのでは、という風には考えなくていいと思います。自分の病院でも、病気の専門家が内部にいないような稀少疾患の場合には、他院の専門家の先生に紹介して受診していただくことはしばしばありますので。ですので、National Children’sでCMTの専門家が居ない、ということでしたら、他の小児病院のCMTの先生を探すのは良いアイディアと思います。ただ、やはりチーム医療が必要ですので、普段のセラピーなどは地元で行ない、年に一回程度、CMTの専門の先生に診てもらうのが良いのではないでしょうか。
      あと、一点気をつけていただきたいのですが、CHOPは全米でNo.1の小児病院といわれることもありますが、すべての病気の専門家がそろっているというわけではありません。その点は、現在診察してもらっている神経の先生とご相談いただき、東海岸でCMTの専門家の先生に相談するなら、どの先生が適任か検討いただくのがよろしいかと思います。

  7. 泉 幸佑 より:

    パリスターキリアン症候群に関する様々な質問をお寄せいただいてありがとうございます。現在、自分の所属している東京大学分子細胞生物学研究所のホームページにパリスターキリアン症候群に関する説明を掲載させていただきました。そちらも参考にしていただければ幸いに存じます。

    http://www.iam.u-tokyo.ac.jp/chromosomeinformatics/izumi/index.html

    泉幸佑

  8. ユーママ より:

    初めてまして。熊本市に、住んでるユーママです。二年前に四人目の子供を緊急帝王切開でうみました。四番目のこどもは、仮死の、状態で産まれ、産まれてすぐ、いろんな検査したら高インスリン低血糖、痙攣、無呼吸発作、四ヶ月ほど、病院に、入院してました。しかし、産まれてすぐ、斑な髪のはえかた、頭の、イビツ、なぜ、こんな、病気に、なったかを、色々調べても、わかりませんでした。この前、主治医が、12番目の染色体を、調べてみましょうと、言われ、調べた結果、12番目の染色体異常て、判明!パリスターキリアン症候群て、いわれ、極て珍しい病気ていわれました。色んな情報を、知りたくて、自分なりに調べてるのですが、なかなかよくわかりません。

  9. 泉 幸佑 より:

    ユーママさま、
    コメントありがとうございます。上記の自分のWebsiteにパリスターキリアン症候群に関する情報を掲載してあります。参考にしていただければ幸いに存じます。そして更に、詳しいご質問がございましたら、Websiteに掲載されている電子メールアドレスまで直接ご連絡いただければ幸いに存じます。

ページトップへ↑