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ブログについて

Dance/Movement Therapyは、心理療法の中でもまだまだマイナーなので、少しでも魅力をお伝えできればと思います。

荒木 淳子

福島県出身。大学院卒業後、就職活動に苦戦するも、無事にダンスセラピストとして就職。現在は、メリーランド州とワシントンDCのカウンセラー資格を有し、子ども・成人・家族を対象に、心理療法・カウンセリング・ダンスセラピーを提供。

荒木 淳子のブログ
2020/12/23

ダンスセラピストのお仕事ー長期治療施設

私が勤務していたResidential Treatment Center(RTC)と呼ばれる長期治療施設では、精神科の治療が必要な13歳から21歳までが、平均で9〜12か月の間、治療を受けながら暮らしていました。施設内には学校もあり、日中は授業を受け、午後からはセラピーのグループやレクリエーションに参加します。子どもたちは、治療対象となる症状や年齢によって別々のユニットに分かれ、精神科医、精神科ナースプラクティショナー、セラピスト、看護師、ユニットスタッフ等から成るチームが治療に当たります。 施設はすべてのドアが施錠され、子どもたちはスタッフ同伴でないと移動ができません。

施設に来るまでの過程は様々ですが、自傷や暴力行為、破壊行為、無断外泊、薬物使用、売春、DV、虐待、育児放棄などの経歴や、精神科への入院を繰り返したり、自由度の高い施設での治療効果が見られなかった子どもたちが多く、様々な理由で24時間体制のサポートが必要な子どもたちが、同施設で治療を受けていました。個人やグループのセッションでは、子どもたちが、安全で健康な生活を送るためのスキルを身に着けることに重点を置きながら、個々の問題に取り組みました。施設で治療を終えた子どもたちは、元の家に帰ったり、治療的里親に預けられたり、自由度の高い施設に移ったりして、社会復帰を目指します。

ダンスセラピーのグループでは、ゲームやラインダンス、ダンスの創作、即興ダンス、ヨガ等を通して、自分の気持ちやからだの気づきを促したり、社会的スキルを練習しました。自由参加のグループなので、人数もメンバーも変動があり、予定と違うことをするのもしょっちゅうでしたが、リラクセーションやセルフマッサージ等のセルフケアは、多くの子どもたちの反応がよく、頻繁にリクエストがありました。

私が受け持ったCちゃんとの個人セッションでは、セルフコントロールの向上に、チアリーディングの動きを取り入れました。Cちゃんは、感情のコントロールが難しく、癇癪をおこしたり、衝動に任せて自傷や暴力行為、破壊行為をすることがあったので、チアリーディングの動きを通して、コントロールできるという感覚を実感してほしいと思いました。最初は簡単なポーズや動きからはじめて、短い振付を作りました。当初は、自分のアイディアを出すこともためらっていたCちゃんですが、次第に新しいアイディアを出したり難度を上げたりと、積極的に創作活動に関わって、一人で通して踊る自信もつきました。

Dくんはうつ症状が強く、自己肯定感がとても低く、頻繁な自傷行為がありました。Dくんとのセッションでは、小道具を使って、自分の異なる感情(例:喜怒哀楽)のオブジェを作ったり、バランスボールやストレッチバンドを使って、からだの感覚や動きのバリエーションを増やすことから始めました。学芸会で二人でダンスを披露したことが、一つの転機になったと思います。Dくんの即興ダンスをもとに組み立てた振付を、とても熱心に練習していて、この成功体験で自信をつけた様に見えました。それから退所までの間、Dくんは彼自身のこれまでと今について、ダンス作品を作りました。学芸会の時とは異なり、振付や選曲、衣装等、すべてDくん自身が考え、担当チームに招待状を送って行ったミニリサイタルは、大成功でした。Dくんは退所後、学校のダンスチームに入ったと聞きました。

RTCに来る子どもたちは、深刻なトラウマや家庭環境を抱えていることも多く、治療の進度や効果がすぐ目に見えることは多くありませんが、数少ないポジティブな変化が、私を支えていました。

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