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ブログについて

Dance/Movement Therapyは、心理療法の中でもまだまだマイナーなので、少しでも魅力をお伝えできればと思います。

荒木 淳子

福島県出身。大学院卒業後、就職活動に苦戦するも、無事にダンスセラピストとして就職。現在は、メリーランド州とワシントンDCのカウンセラー資格を有し、子ども・成人・家族を対象に、心理療法・カウンセリング・ダンスセラピーを提供。

荒木 淳子のブログ
2020/12/23

ダンスセラピストのお仕事ー病院

私がかつてお世話になった病院には、アートセラピスト、ミュージックセラピスト、ヨガセラピスト、ダンスセラピストで成る芸術療法チームがありました。精神科には、摂食障害専門のプログラムや院内学級を含め、小・中・高校生が入院、または通院していました。芸術療法チームは各プログラムと連携し、個人やグループ、家族のセッションを提供し、加えて、精神科以外の部門からも個人セッションの要請を受け付けていました。

私がおこなったダンスセラピーでは、からだや小道具を使ったゲームやダンスの創作、即興ダンスを通して、主に子どもたちの気づきや自己肯定感を高めることを目標にしていました。

例えば、うつ症状と自傷行為で入院していたAちゃんは、誰にも受け入れてもらえないという思いが強く、家族や友達とも距離をとっていました。そこで、音楽をかけながらの即興ダンスを通して、Aちゃんの不安をやわらげ、自由な表現が生まれるお手伝いをしました。私の役割は、Aちゃんの表現を受け止め、Aちゃん自身やAちゃんの表現には価値があると実感してもらうことです。はじめは、既存の振り付けやステップを使っていたAちゃんですが、回を重ねるごとに、より自分らしい表現やリアルな感情が出てくるようになりました。そのなかで、家や学校で感じている葛藤や不安を少しずつ話してくれました。数回のセッションの後Aちゃんは退院しましたが、最後のセッションでは、家族セラピーで自分の思いを伝えたいと話してくれました。

知的障害と発達障害に加え内臓疾患があり、お友達とうまく関われずにいたBくんとは、キャッチボールを発展させながら、コミュニケーションの基本を練習しました。Bくんは、自分の世界とまわりの世界がうまくつながっておらず、まわりから、ぼーっとしているように見えたり、集団行動が苦手でした。実際、最初は、Bくんがランダムに投げるボールを私が拾いに走るという、とてもキャッチボールとは呼べない状況で、Bくんの世界に私が存在しているのかさえ怪しいものでした。Bくんの気づきや私との関わりを促すために、Bくんや部屋の様子を擬音語や擬態語で表現したり描写したりして、Bくんに伝えることから始めました。そのうち、Bくんが私に向かってボールを投げるようになると、お互いの動きを模倣して、より関係を実感できるようになりました。その後、フラフープや他の小道具も使ってルールを作ったり、より複雑なゲームができるようになりました。グループの中で、Bくんが悪目立ちすることが減ったという報告もありました。

赤ちゃんが頻繁に入院を繰り返していたママは、パンク寸前でやってきました。赤ちゃんが心配なあまり、ママ自身が疎かになっていたので、呼吸法やリラクセーション、マッサージなど、セルフケアを実践しました。どれだけ自分のからだが強張っていたか実感し、また、自分のための時間を作ることで、表情が柔らかくなったように見えました。

もちろんこちらの思ったような成果が見られないことも多々ありますが、それもまた一つの情報として次のプランに生かしていきます。ダンスセラピーは、プレイセラピーや理学療法、作業療法と見た目が似ていることもあります。ダンスセラピストは、からだが生み出すあらゆる”表現”をメンタルヘルスの治療に役立てていきます。

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