Skip to main content

「回診は毎日、7時半から。病棟で会おう。」
支給されたばかりのBlackBerryにメールが入った。オリエンテーションが終わり、いよいよ次の日からMDアンダーソンでのフェロー研修が始まる。指導医となるDr.Eからのメールだった。ローテーションも発表されたばかりだ。最初の三ヶ月は、白血病科、リンパ腫・骨髄腫科、そして幹細胞移植科の研修になっていた。血液悪性腫瘍志望の自分としては、はじめに志望科のローテが組まれているのはありがたかった。どうやら、他のフェローも志望科がある程度決まっている人はそこから始めるらしい。早めに志望科のローテをしてその科の指導医と関係を作っておけば速やかに研究が進められる。
まるで入学式を終えたばかりの新入生のように、心の中は新鮮な期待と漠然とした不安が入り混じっていた。白血病の患者さんを診るのは、実はしばらくぶりだ。NYの病院ではそんなに症例がなかったからだ。虎の門の時に学んだことを、ひとつひとつ頭の中で反芻しながらあすの回診のためにカルテを読む。
MDアンダーソンの血液悪性腫瘍科は、上述のように白血病科、リンパ腫・骨髄腫科そして移植科の3つに別れている。昔はすべて一つだったようだが、スタッフと患者数が伸びるにつれて今のように3つに別れた経緯がある。今では、リンパ腫と骨髄腫をさらに分離するか、という議論も持ち上がっているらしい。
NYのスローン・ケタリング癌センターもこのように病気別に科を分けているが、これには賛否両論がある。幹細胞移植が必要なときの連携がうまくいかなかったり、時には症例の奪い合いになることもある。新規の白血病患者さんは寛解導入と地固めは白血病科の医師が行い、移植となると移植科に転科し、万一移植後に再発するとまた白血病科に戻ってくる。治療の最初から最後まで診るという観点からするとやや断片的で、患者さんにとってもこれが最適なのかどうか疑問が残る。ボストンのMGHやダナファーバーは規模が同程度だが、ゆるやかな専門性はあるものの、あえてこのシステムをとっていないようだ。
研修初日に配属された白血病科は、多い時で100人近い入院患者を抱えている。そのうち、半分は寛解導入や入院が必要な抗癌剤投与中の入院。そして残りの半数が抗癌剤治療中の合併症、その大半は感染症によるものだ。常時、5つの入院チームが稼働しており、それぞれに20人~30人の患者さんが割り当てられてられている。
前日にほぼ徹夜でレビューした患者さんのリストを抱えながら、初日の朝の病棟へ向かう。

米川能弘

去年ハーバード大学医学部の眼科レジデンシーを始め、最初のころに会った患者は中近東のクウェートから治療のために来米した70代の元気な女性で、黒い民族衣装を着ていた。同伴の娘は英語が使えた。娘の説明では、母親は 5年前から両 […] » 続きを読む

三枝孝充

この記事は「日米腎臓内科ネット活動ブログとの同時掲載です 米国の透析が日本と異なる点はいくつかありますが、特に驚いたのが「透析血流の速さ」と「透析膜の再使用」です。透析膜の再使用は日本では認められていませんが、米国と多く […] » 続きを読む

日暮沙織
★おすすめ

音楽療法が効果的と言われているケースに自閉症や言語障害を持ったこどもたちへのリハビリがあります。 『音楽』を人類共通の言語ととらえ、言葉の使いこなせない子供たちと音を使ってコミュニケーションをはかり、言語への架け橋をする […] » 続きを読む

斎藤浩輝

先日まで囚人患者専用の病棟がある病院にローテーションで行ってきました。すでにその病院に行ったことのある同僚の研修医からの評判はまちまちでしたが私は個人的にはとても有意義な経験をさせてもらえたと思っています。 病棟はマサチ […] » 続きを読む

川名正隆
★おすすめ

以上のようにアメリカの医学教育における臨床実習の内容を様々な角度から見てきました。私の経験では、ほとんどの学生がやる気十分で臨んでおり、特に自分の興味のある科の実習においては高評価を得ようと必死になっています。このような […] » 続きを読む